観た、『ハスラー』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『ハスラー』を観ました。

 

一流ハスラーのエディは、マネージャーのチャーリーと共に賭けビリヤードでカモを探す日々を送っていた。

そんな中、いつかは勝ってみたいと思っていた名人ファッツと邂逅を果たしたエディは勝負を挑む。二人の実力は五分五分どころかエディが優勢だったものの、気の緩みから大敗を喫してしまう。文無しになったエディはチャーリーと別れ、当てのない旅に出る。

酒浸りの大学生サラと知り合ったエディは彼女の部屋に転がり込み、二人は同棲を始める。

バートの援助を受ける事になったエディは、再びファッツへの勝負に意欲を燃やす。しかしサラは、エディに足を洗って欲しいと願い……といったお話。

 

一度負けた男が修行(?)を経て再戦に臨むという勝負モノの王道ストーリーです。

ビリヤードを題材にしているという事で、ルールを知らなければ楽しめなさそうに感じてしまいますが、そんな事はありません。

本作を紹介する際は“ミネソタ・ファッツとの対決が云々”と言ってますが、対決シーンはそこまで多くありません。

むしろ、人間ドラマに重きを置いているので、万人が楽しめると思います。むしろ素人の方が「あんなの入れちゃうのスゲー!」といちいち感動できるんだろうね、俺ッチのごとく(笑)。逆に、ビリヤード目当てで見る人はガッカリしちゃうかもしれません。

そもそもスポーツを題材にした作品のほとんどは、ルールを知らない人も楽しめるように気を遣って作られているんだよね。ハリウッド映画の間口の広さはさすがです。

 

「ビリヤードの世界を題材にした映画と言えば?」と聞かれれば、おそらく本作(シリーズ)一択でしょう。ビリヤード映画が稀有である証拠ですね。

本作にはハスラー、プール、ビリヤードといった用語が出てきますが、色々と誤認していた事に気付きます。

ハスラーとはビリヤードのプレイヤーですが、そもそも“hustler”という言葉に博打打ちという意味がある事から、賭けビリヤードをする人とかビリヤードのプロを指すようです。

そして日本ではビリヤードという言葉で普及していますが、海外ではプールと呼ぶ方が伝わりやすい、もしくは正解のようです。

まぁ、本作を観るにあたってはプールという認識でオッケー。

 

ファッツに負けて再戦に至るまでの間、エディは技を磨くための訓練をするかと思いきや、ほとんどキューは握りません。

サラと過ごす日々がエディにとっての精神修行の場だったようですが、サラがありきたりではない、危うい女性だった事がエディの人格形成に一役買っているのは間違いありません。

エディはサラへの愛とキューを秤に掛けるような状況に陥りますが、どちらを選んでもどちらかを失う結果になったと思います。

ファッツとの初戦は人格で負けたとされましたが、そうでもしなければ勝てないのであれば、エディの人生はチト悲しすぎますね。

 

1961年=とっくにカラー作品が蔓延している時代の作品ながら、敢えて映像はモノクロにしているようです。

プールシーンでボールの色(=番号)が分かりづらくなるというデメリットがあるけど、別にプレイの内容がドラマに影響を与えるものでもないから、むしろモノクロの方がクールです。

そして、それだけ古い作品であれば映像のトリックも使えませんから、プールシーンでプレイする姿は俳優自身によるものがほとんど。ポール・ニューマンさんやジャッキー・グリーソンさんらのキュー捌きは必見ですよ。

 

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ありゃ、配信版は見当たらず。

Blu-ray版は映像特典満載、ポール・ニューマンさんが当時を振り返るインタビューはいいですね。