観た、『ダーティハリー3』 | Joon's blog

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『ダーティハリー3』を観ました。

 

相変わらず過剰なやり方で犯人を追い詰めるハリーは人事課に配置転換させられてしまう。

その頃、兵器工場に賊が侵入。数々の兵器を盗み出そうとする彼らを発見したフランクは、賊のリーダーであるボビーに殺されてしまう。

殺人課に戻ったハリーは、元相棒だったフランクの今わの際の言葉をヒントに捜査を開始するも、新たな相棒をあてがわれる。それはハリーが人事課で面接をした、女性ながらも刑事を志すムーアだった。

ボビーは人民革命軍を名乗り、サンフランシスコ市長に対し大金を要求。ハリーはメンバーの一人であるヘンリーを逮捕するが、ボビーらに捕らわれた市長はアルカトラズ島に連れ去られてしまい……といったお話。

要約すれば、ハリーが女の相棒と共にテロリストを追い詰める話です。

 

文字通りのシリーズ第3弾。

とは言え、前作&前々作の作風に変化が見られ、それまではしっかり“映画”になっていたのに、今作はテレビスペシャルのような雰囲気。

それなりに予算も割いているのは見て取れるし、どうしてだろう?とも思うんですが、これはBGM=劇伴に一因があるんじゃないかと。

ハリーとヘンリーによるビルの屋上の追いかけっこのシーンに顕著なんですが、音楽自体もテレビドラマ風味というかポップで軽い感じなんですよ。そもそも、これまでの作風であれば、ああいう音楽の使い方はしなかったんじゃないかなぁ。

 

さらに言えば、敵側のキャラやドラマが薄いのも原因でしょうかね。

敵の首領であるボビーも、冒頭のガス職員を殺すあたりの描写には光るものがあったんですが、結局は凡庸な“殺人犯”であって“殺人鬼”ではないんですよね。ベトナム帰りなんてワードに期待したんだけど…。

『~(1)』の“さそり”なんて遠く及ばず、ただ世の中の一部を困らせる程度のチープなテロリストで終わってしまったのは残念です。

 

今作の特徴と言えばムーア刑事。

あれほど硬派なシリーズだったのに、ハリーの相棒が女性ってんだから意外や意外。

女性でも男性と同等に云々とか言いたがるババアはこの頃から存在しているようで(面接のシーンに登場するグレイ女史はその象徴)、『ダーティハリー』というシリーズは時事ネタというか、当時の世相を作品に反映させるところがありますから、これを取り入れたんでしょう。

若い頃に本作を観た時には、ハリーの相棒が女なんて!と違和感は払拭できませんでしたが、いい歳になってから観直すと、これはこれで悪くないどころか、むしろ面白い組み合わせじゃないかと感じるのは本作のパロディ作品『俺がハマーだ!』に感化されすぎてるんだろうなぁ(笑)。

ハリーのような腕っぷしはないながらも、ムーアはハリーにできない(というか、やらない)ような側面から捜査をしたり、あくまで自分にできる範囲で協力して、どうにかハリーに食らい付こうとする姿が健気なんですよね。ハリーの物腰が柔らかくなっていくのは、ムーアを認める証でもあるんです。

それ故、今作で退場するのは勿体ない!

 

今作のクライマックスの舞台はアルカトラズ刑務所。

イーストウッドさんからすれば、帰ってきたぜアルカトラズ!と感慨深くなるんでしょうと思いきや、『アルカトラズからの脱出』は本作(=1976年)の後の話(=1979年)でした…。

 

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Blu-ray版の映像特典はドキュメンタリー系の映像集。

余談ながら、吹替版のムーアを演じるのは若かりし頃の戸田恵子さんというのもあって、よりムーアの初々しさを感じ取れるんじゃないかと思います。

 

 

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