今や、古い作品の映像ソフト化は珍しくありませんが、公開後からコンスタントに話題になる事もないマイナー作品がソフト化される事は稀有な事です。
時間と共に忘れてしまっていた作品がソフト化される報を聞いて、あんなに好きだった頃を思い出す事ってありますよね。
って事で、俺ッチにとってのそれである『バトルファイターズ 餓狼伝説』を観ました。
テリーとアンディのボガード兄弟が、10年ぶりにサウスタウンに帰って来た。2人の父ジェフを殺した男ギースへの復讐を果たすために…。
強大な力でサウスタウンを牛耳るギースは金で警察を懐柔した上で、今年もキング・オブ・ファイターズを開催しようとする。世界中から集まった格闘家が優勝を目指す大会だ。
ボガード兄弟はギースに近付くチャンスであると、アンディの友人であるジョーも含めてキング・オブ・ファイターズに参加。
順調に勝ち進むボガード兄弟がジェフの子らである事を知ったギースは、二人への妨害を画策し……といったお話。
本作が放送された1992年と言えば、1対1の対戦格闘ゲーム全盛期。
その火付け役である『ストリートファイターⅡ』の、赤の他人が対戦相手として乱入できるシステムは、まるでゲーム代をカツアゲされたような気分になるので、ほとんど乱入のない『餓狼伝説』をよく遊んでいたものです。
『ストⅡ』に比べれば完成度はおそろしく低いながらも(笑)、『餓狼~』はストーリー性が強い点が好きだったんですよね。
そんな『餓狼伝説』がアニメ化! 土曜の真っ昼間に放送!って事で、当時のゲームバカな仲間と共に盛り上がっていたっけ。もう30年近くも経つんだなぁ…。
って事で、久々の再見ですが、ノスタルジック補正も加わって、やっぱり面白い。
ゲーム版に登場するキャラが多々登場するものの、キャラ同士の因果関係が変更されていたり、当時はその辺にもツッコんでいましたが、今になって客観視してみれば、作劇としては絶妙なアレンジだと感じます。
ただ、アニメ版オリジナルのリリィという、女キャラの存在が要らないですね。少なくとも初代『餓狼~』の世界には女っ気のない、硬派な世界観が好きだったので。
キャストも新鮮味があって好きなんですよ。
テリー:錦織一清さん
アンディ:難波圭一さん
ジョー:佐竹雅昭さん
…どうよ、このバラエティに富んだ、令和の今なら大炎上が確約されたキャスティングは? 特にジョー=佐竹さんの芝居とか、微笑ましすぎて笑ってしまいます(とは言え、まぁまぁ声が出ている点は及第点ギリギリ?)。
そしてテリーを演じるのが錦織一清さんと聞いて、「ええ〜、少年隊のニッキかよ?」と訝しんでいましたが、実際に観てみれば、これがなかなかマッチしているんですよ。
ゲームのテリーって普段着のまんまで、それまでの格闘ゲームのキャラにはなかった風貌だったと思います。ベタベタな格闘家って感じのファッションじゃないんですよね。それ故、『~2』以降の、肩の袖を破ってマッチョな腕を見せたがる感じは好きじゃないんですが。
つまり、その辺を歩いてるような話しかけやすい兄ちゃんのような印象があるんですよ。
もちろん腕っぷしは強いけど、そこに人好きのする感じやヤサ男の要素が加味された、アニメ版としての新たなテリー像を作り上げたのは錦織さんの起用があればこそです。声もいいし、ややぎこちない所はあるけど、芝居も決して悪くないレベルです。いや、むしろカッコ良い。
アニメ版は、この後に2作品が作られていますが、錦織さんは全作でテリーを担当しているのが好印象です。
「テリーは橋本さとしさんだろ!」とかメンドくせぇ子もいるんでしょうが…。
本作のキャラクターデザインは大張正巳さん。
メカデザインで名を馳せた人ですが、人間のキャラデザインをする事も注目されていたように思えました。
…しかし、“90年代 アニメ 絵柄”で検索すると分かりますが……90年代のアニメ(の半分くらい?)って、アクが強すぎるというか、デフォルメがキッチぃんですよ。
バリさんのキャラデザも実に個性的でクセも強いから(笑)、令和の今に見ると「ああ、90年代だな…」とノスタルジーに浸るわけです。
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映像特典は、“餓狼伝説”→“FATAL FURY”と海外版に差し替えたカットを収録。まぁオマケ未満ですね。
画質に関しては輪郭がシャープで発色は鮮やか、『~2』も収録されて値段も安めってんだから、コスパ良すぎです。
国内で出る可能性も低そうだし、見掛けられる時に買っとくといいと思います。
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