延期に延期が重なり、ようやく公開となった『OO7/ノー・タイム・トゥ・ダイ』。
近々観に行く予定ですが、その予習の意味も含めて『OO7 カジノ・ロワイヤル』を観ました。
MI6内で汚職に手を染めていた上司を殺したジェームズ・ボンドは、殺しの許可証“OO(ダブルオー)”を得た。
マダガスカルで独自の捜査をするボンドは、爆弾魔の携帯電話からディミトリオスという男を探し当てる。
ディミトリオスがスカイフリート社の新型旅客機を爆破する事を知ったボンドは、どうにかこれを阻止する。
このおかげで、ル・シッフルはスカイフリート社の株の空売りに失敗し、多額の損害を被ってしまう。テロ組織から預かっていた金を取り戻すため、ル・シッフルはカジノ・ロワイヤルで開催されるポーカーに参加。
そして、ル・シッフルをマークしていたMI6はテロ活動の資金を絶つべく、軍資金の監視役である財務省のヴェスパーをパートナーにしたボンドを潜り込ませるが……といったお話。
個人的に一番好きだったピアース・ブロスナンさんが降板し、ダニエル・クレイグさんが演じる6代目ボンドの第1作目です。
公開当時はボンドがOO7になったばかりの話という触れ込みで、とうとうOO7でもエピソード・ゼロ商法をやるようになっちまったかと思ったものです。
それ故、今作のボンドは粗野で短気で感情的で、挙げ句にロクにジョークも言えないんだから、これまでのスマートなボンドとはかけ離れたキャラとして描かれています。
国の金がテロの資金になってしまうのを阻止したい気持ちが根っこにあるとは言え、ポーカーで負けたからって、ナイフを隠し持ってル・シッフルの元に向かおうとするシーンは、もはや慄然です。
そんな感じで、「お前なんかボンドじゃねぇ」と言いたい気持ちはありますが、今作のボンドは“OO7”としてはド新人。青臭くて未熟なのも仕方がなく、今後も続くシリーズにおいて、我々が知っているボンド(像)に近付いて行くのでしょう。
――と、当時は信じていたんだっけな…。
↑を初め、OO7としては「や、そうじゃねぇんだよ…」とツッコみたい点は多々ありますが(バスルームでボンドがヴェスパーを慰めるシーンとかさぁ…)、シリーズでも何でもない単発作品として観れば、かなり面白いと思います。
それ故、「最近ゼロゼロセブンに興味があるんだけど、どれから見ればいいかな?」という初心者さんには、今作とそれ以降だけをオススメして、それ以前のものは見なくていいと言い切ってしまいますね。こういう手合いは温故知新なんてクソくらえ、最新こそが最も面白いと感じるクチでしょうから…。
ボンドがあんな感じな反面、敵の大ボスであるル・シッフルは魅力を感じます。
涙腺の障害で血の涙を流すとか、かつてのシリーズの大ボスには、身体に何かしらの特徴や障害を抱えていた人が多かったですからね。これを踏襲しているのは良いと思います。
さらに、テロリストからの借金をギャンブルで取り戻そうとするダメっぷりも面白い。
OO7シリーズの大ボスって、悪党ではあるけど生粋のクズではないのが、どこか憎めないんですよね。
ル・シッフルと言えば、転落人生を送る原因となった、空売りという言葉。
株とは無縁である俺ッチによるざっくり解説をすると、今後株価が下がりそうな(持ってもいない)株を売って、実際に下がった=安くなった時に買い戻し、その差額が儲けになるというものらしいです。
実際はもっと複雑みたいだけど、映画の中の会話でサラッと出てくる言葉なんて、この程度知っておけばどうにか理解できるものです。
本当は、普段から視野や見識を広めておくのが一番良い事なんですが…。
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