複数のリバーブと曲の世界観
ProToolsでのミックス時に複数のリバーブを使う個人的なやり方を紹介します。音楽の聴き心地や好みは人それぞれ違うと思いますので、ここではわたし個人の好みの設定を紹介していきたいと思います。AUXトラックに各楽器に使いたいリバーブを立ち上げ、バス経由で各トラックのリバーブの深さを調整します。写真ではドラムのスネアに使うリバーブ(ホール)、ギター(ルーム)、ボーカル(プレート)、の3種類のリバーブを立ち上げています。一つだけにして、各楽器やトラックに応じてレベルを調節してもいいのですが、楽器やトラックごとにリバーブの深さや明るさ等の、細かい設定が出来るので、複数のリバーブを使用しています。他にもキーボードやピアノ、ストリングス、パーカッションなどにも、専用のリバーブを立ち上げることもあります。もちろん必要なければ沢山、立ち上げる必要はないのですが、わたしの場合、曲の世界観を表現するのにやりやすいからです。例えば、気になる異性に『好き』ということを伝えるのにも、色んな比喩の言葉や会話、はたまた仕草や行動、見つめ方etc...を駆使して『好き』ということを伝えるのと同様に、曲の世界観、『言葉では説明出来ない"これ" を感じ取ってほしい』というものを表現する手段として、複数のリバーブを立ち上げ、ミックスして表現したい曲のサウンドを作っています。個人的には歌も歌いますが、ボーカルのダイナミクス。。。シャウトやウィスパーボイス、歌詞なども言葉では言い表せない、世界観を表現するための『方便』として用い、伝えたいものを表現するのが好みです。楽器のテクニックや、ボーカルのテクニックも、最終的には楽曲全体の世界観を表現するパズルのピースであって、パズルそのものではないという感じです。もちろん歌の上手さ、楽器の上手さ、歌詞の良さ、を追求した音楽や、楽曲もそれはそれで素晴らしいものですが、わたし個人は持って生まれた、気質というか好みが、どうやら各パートや楽器のテクニックよりも、楽曲全体の世界観を表現するのが気持ちいいみたいです。