ベテラン刑事
「(ホワイトボードの前で考え込んでいる)うーん・・・。」

新人刑事
「(入ってくる)失礼します!」

ベテラン刑事
「ん?」

新人刑事
「こちらの捜査本部の応援に駆けつけました!
 よろしくお願いします!」

ベテラン刑事
「あぁ、よろしく。
 早速だが、事件の内容について話そう。」

新人刑事
「はい。」

ベテラン刑事
「被害者は皆藤直樹24歳。」

新人刑事
「はい。」

ベテラン刑事
「死亡推定時刻は12月24日の深夜23時から翌朝2時の間。
 死因は後頭部を殴られたことによる脳挫傷だ。」

新人刑事
「なるほど。
 容疑者は?」

ベテラン刑事
「被害者の上司が1人挙がっているが、
 死亡推定時刻に鉄壁なアリバイがある。」

新人刑事
「その容疑者というのは?」

ベテラン刑事
「この男だ(写真を渡す)。」

新人刑事
「(写真を受け取る)・・・。」

ベテラン刑事
「運送屋を営んでいる男らしいんだが・・・。」

新人刑事
「(写真を見ながら)あの・・・。」

ベテラン刑事
「被害者とその男の間に何があったのか・・・。」

新人刑事
「この写真は・・・。」

ベテラン刑事
「容疑者だ。
 名前はサンタクロース。」

新人刑事
「(写真を見て)ですよね。」

ベテラン刑事
「さっき言った運送屋はフィンランドにある。」

新人刑事
「ですね・・・。」

ベテラン刑事
「さっきも言ったが問題はアリバイだ。」

新人刑事
「アリバイ・・・。」

ベテラン刑事
「事件のあった24日深夜から翌朝までの間、
 ヤツは世界中の子供たちに荷物を届けていたというアリバイがある。」

新人刑事
「あー、クリスマスの夜だから。」

ベテラン刑事
「周囲に聞き込みをしたところ、
 確かに翌朝、子供たちの枕元には荷物が届いていたらしい。」

新人刑事
「聞き込みしたんですね。」

ベテラン刑事
「しかし不思議なことに、
 どの子供からも本人を見たという証言は得られなかった。」

新人刑事
「『不思議なことに』?。」

ベテラン刑事
「つまり、やつのアリバイはグレーと言える。」

新人刑事
「グレー・・・。」

ベテラン刑事
「そもそも一晩で世界中の子供に荷物を届けるなんてことが可能なのか。
 その証言すら怪しいものだ。」

新人刑事
「えーと、はい。」

ベテラン刑事
「そもそもこの人相はなんだ。
 これも変装の可能性がある。」

新人刑事
「・・・あの、はい。」

ベテラン刑事
「今はできるだけ多くの刑事に協力を依頼し、
 事件当夜にヤツを見たという目撃者を探しているところだ。」

新人刑事
「あー、だから応援を・・・。」

ベテラン刑事
「まず、お前にはブラジルに飛んで欲しい。」

新人刑事
「とんでもない指示が出ましたね。
 『最初の目的地ブラジル』って桃鉄でしか聞かないですよ。」

ベテラン刑事
「しかし、ヤツのアリバイトリック・・・。
 すなわちどうやって一晩の間に世界中の子供に荷物を届けたのか。
 そのトリックが解けない限り、ヤツを逮捕することはできない。」

新人刑事
「いや、トリックも何も・・・。」

ベテラン刑事
「一晩で世界中の子供に荷物を・・・?
 そんなことできるか・・・?」

新人刑事
「・・・え、真剣に考えてるんですか?」

ベテラン刑事
「そもそも一晩の間に
 世界中の子供に荷物を届ける発注ってなんだ?」

新人刑事
「確かに発注者がいたとしたら鬼の所業ですけど。」

ベテラン刑事
「一晩で世界中の子供に荷物を・・・。
 どんなトリックを使えば・・・。」

新人刑事
「いや、真相は単純ですよ。
 それは・・・。」

ベテラン刑事
「言わないで!!」

新人刑事
「え?」

ベテラン刑事
「当てる!!」

新人刑事
「『当てる』って何ですか?」

ベテラン刑事
「わー、なんだなんだ?
 一晩でしょ?世界中でしょ?
 子供にだけ届けるんでしょ?」

新人刑事
「何考えてるんですか?
 大の大人がホワイトボードの前で。」

ベテラン刑事
「うわ、なんだろ。
 これ当てたいね!」

新人刑事
「『当てたいねー』じゃないんですよ。
 これなんの時間ですか?
 ひらめき待ちですか?」

ベテラン刑事
「ヒント!ヒント!
 いい感じのヒント!」

新人刑事
「ヒント・・・?

 えーと・・・12月24日です!」

ベテラン刑事
「それは知ってる!
 他、他!」

新人刑事
「あのー・・・、クリスマスイヴです!」

ベテラン刑事
「何それ、何それ、何それ!」

新人刑事
「ウソでしょ?!
 小さい頃、プレゼント枕元に置いてませんでした?」

ベテラン刑事
「枕元に・・・?」

新人刑事
「そうです。」

ベテラン刑事
「・・・あ!」

新人刑事
「あったでしょ?」

ベテラン刑事
「そういえば子供の頃、
 朝起きたら、ごくまれにラッピングされた箱が
 枕元に置かれてることがあったな。
 どういうことかわからなかったが・・・。」

新人刑事
「『クリスマス』を認識しないまま、
 イベントだけこなされてたんですか?」

ベテラン刑事
「じゃあ、その箱を置いたのは・・・。」

新人刑事
「一応、サンタということになってます。」

ベテラン刑事
「なんてことだ・・・!
 オレとヤツは子供の頃、接点があったなんて・・・。」

新人刑事
「あ、ややこしいんですけど、そのサンタというのは・・・。」

ベテラン刑事
「ということはオレの両親なら、
 ヤツのことを知ってる可能性があるな!」

新人刑事
「あ、ごめんなさい、あの・・・。」

ベテラン刑事
「よし、ちょっと秋田の両親に話を聞いてくる。」

新人刑事
「やめてください!
 親御さん泣きます!
 大きくなった息子が帰省するなり
 真顔でサンタクロースについて聞いてきたら。」

ベテラン刑事
「・・・というか、お前はいつまで日本にいるつもりだ。」

新人刑事
「ブラジル行かないです!

 まだブラジルの目撃者探そうとしてるんですか?
 ・・・そもそも動機がないじゃないですか。

 サンタが被害者の・・・えーと・・・。」

ベテラン刑事
「皆藤な。」

新人刑事
「そう。

 その皆藤を殺す動機が。」

ベテラン刑事
「これは私の推測だが、
 皆藤の方がヤツに殺意を持っていて、
 逆に殺されたのではないかと考えている。」

新人刑事
「返り討ちってことですか?」

ベテラン刑事
「そうだ。
 皆藤はサンタからパワハラを受けていたらしい。」

新人刑事
「パワハラ・・・。
 サンタクロースがそんなことを・・・?」

ベテラン刑事
「毎年極寒の冬に
 ヤツが乗ったソリを曳かされていたらしい。」

新人刑事
「トナカイだ!」

ベテラン刑事
「『空を飛べ』と無茶を言われてたらしい。」

新人刑事
「トナカイだ!
 そういえば、被害者の名前って・・・?」

ベテラン刑事
「あぁ、皆藤な。」

新人刑事
「カイトーナ・・・。
 カイトーナ。
 トナカイだ!」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

2023年も終わりが近づいてきましたね。

クリスマスのコントも過去何本書いたでしょうか。

 

メリークリスマス。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】金太郎
【お題コント】同姓同名
【コント】手紙チェス
【コント】居酒屋
【コント】結婚したい!

 

 

 

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