店員
「いらっしゃいませー!

 お二人さまですかー?」

美咲
「はい、二人です。」

店員
「2名さまテーブル席ご案内でーす。」

美咲たち
(座る)

店員
「ご注文お決まりでしょうかー?」

美咲
「とりあえずビール。中ジョッキで。」

店員
「かしこまりましたー。中一丁ー!」

店員たち
「中一丁ー!」

美咲
「ドラキュラはどうする?」

ドラキュラ
「んー。A型の血、ジョッキで。」

店員
「かしこまりましたー。A一丁ー!」

店員たち
「A一丁ー!」

美咲
「あと、枝豆。

 ドラキュラは?」

ドラキュラ
「ニンニクのホイル焼き。」

美咲
「ニンニクいけるんだ。」

ドラキュラ
「慣れた。」

美咲
「慣れる慣れないの次元なのね。

 とりあえず以上で。」

店員
「かしこまりましたー!」

美咲
「ねぇ、ドラキュラ。」

ドラキュラ
「何?」

美咲
「今日、映画館で前に座ってる女の人の血、吸おうとしたでしょ。」

ドラキュラ
「ごめん。

 どうしてもノドが渇いて。」

美咲
「タンブラーに入れておいた分は?」

ドラキュラ
「いや、持ち込み禁止だし。」

美咲
「自販機で買うとか。」

ドラキュラ
「炭酸の血しかないんだもん。

 俺、炭酸ダメなんだよね。」

美咲
「だからって、他のお客さんの血は吸っちゃダメよ。

 女の人、背後の殺気を感じて、他の席に移動しちゃったじゃない。

 悪いことしたわ・・・。」

ドラキュラ
「それは悪いことした・・・。」

店員
「申し訳ありません、お客様。」

ドラキュラ
「どうしました?」

店員
「A型の血がなくなってしまいまして。

 別の血液型ならお出し出来るのですが・・・。」

ドラキュラ
「じゃあ・・・、ABあります?」

店員
「ございます。」

ドラキュラ
「じゃあそれで。」

店員
「かしこまりましたー。AB一丁ー!」

店員たち
「AB一丁ー!」

美咲
「AとABって違うの?」

ドラキュラ
「よく言われることだけど、ABの方がクセが強いね。」

美咲
「よく言われることなんだ。

 ごめん。ドラキュラ業界のこと、よくわからないから。」

店員
「お待たせしましたー。中ジョッキとABジョッキですね。

 あと、枝豆とニンニクのホイル焼きになります。

 ごゆっくりどうぞー!」

美咲
「じゃあ、カンパーイ!」

ドラキュラ
「カンパーイ!」

美咲
「あぁ、おいしい。」

ドラキュラ
「あ、このAB、クセが強くなくて飲みやすい。」

美咲
「そうなんだ。」

ドラキュラ
「後で誰の血か店員さんに聞いてみよう。」

美咲
「やめてよ、みっともない。」

ドラキュラ
「いいだろ。

 おいしいものはどこで手に入るか知りたいんだよ。」

美咲
「知ってどうするのよ。」

ドラキュラ
「その人の家を調べて、次の日の夜に、その女性の家に行って・・・」

美咲
「だから、それがみっともないのよ!」

ドラキュラ
「なんだよ、もう。

 あーあ!蛇口からA型の血、出ないかなぁ!」

美咲
「やめてよ、大声で。

 それがうれしいの、ドラキュラくらいよ。」

ドラキュラ
「え、でも、小さい頃、友だち言ってなかった?

 『蛇口からA型の血、出ないかなぁ』って。」

美咲
「それはあなたの小さい頃の友だちがみんなドラキュラだったからよ。

 知らないわよ、『ドラキュラあるある』なんて。」

ドラキュラ
「小さい頃といえばさぁ、学生の頃にテーブルマナー講習とかやらなかった?」

美咲
「あ、やったかも。」

ドラキュラ
「当時はなんの役に立つのか、全くわからなかったね、アレ。

 何?あの『女の人を噛むときは、女の人の首を右に45度傾けて、左から・・・』」

美咲
「あぁ、ごめん。」

ドラキュラ
「何?」

美咲
「何度も言うようだけど、『ドラキュラあるある』はわからない。

 え、ドラキュラ、小さい頃にテーブルマナー講習で、女の人の噛み方の練習してんの?」

ドラキュラ
「してる。」

美咲
「マナーとかあるんだ。」

ドラキュラ
「ある。」

美咲
「知らなかった・・・。」

ドラキュラ
「でも、ちゃんと身になったのはバイトの経験が大きいかな。」

美咲
「バイト?

 え、ドラキュラ、バイトしてたんだ。」

ドラキュラ
「してた。」

美咲
「どんなバイト?」

ドラキュラ
「どんなって・・・。

 女の人を噛むバイト。」

美咲
「女の人を噛むバイト?」

ドラキュラ
「うん。」

美咲
「・・・。」

ドラキュラ

「・・・。」

 

美咲
「・・・。」

ドラキュラ
「・・・。」


美咲
「・・・あ。バイトって、『噛む』って意味の『バイト』か。」

ドラキュラ
「(メニューを見て)あ。」

美咲
「何?」

ドラキュラ
「今限定の特別メニューで、

 1960年もののO型の血が980円だって。」

美咲
「珍しいの?」

ドラキュラ
「1960年は豊作の年って言われてるからね。」

美咲
「そうなんだ。」

ドラキュラ
「これ頼もうかな・・・。」

美咲
「別に頼んでもいいけど、ドラキュラ、顔赤いよ。」

ドラキュラ
「あ、赤い?」

美咲
「うん。」

ドラキュラ
「血を飲みすぎたかな。」

美咲
「血を飲みすぎても赤くなるのね。」

ドラキュラ
「まぁ、いいや。

 1960年ものはまた今度にする。

 お会計しようか。」

美咲
「わかった。次、どこいく?」

ドラキュラ
「うーん・・・。献血?」

美咲
「血を飲みすぎたのね。」

 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

設定自体は前々から浮かんでいたものの、

形にできていなかったコントを今回作りました。

 

最近のコントの中では比較的短めになりましたが、

浮かんだアイディアはほぼ入れたので、これくらいの長さかと。

 

2018年もよろしくお願いします。

 

【上演メモ】

人数:3人

美咲

ドラキュラ

店員

 

所要時間:3分~4分
難易度:★☆☆☆☆
備考:苦労する点と言えば、ドラキュラの衣装くらいかと思います。

あとは基本的に動きのない会話によるコントです。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】霊媒師
【コント】私のあしながおじさん
【コント】出陣の朝#2
【コント】ブラックジャック
【コント】伝書鳩の歴史

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

(内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。ご了承ください。)



↓こちらでも面白いブログがきっと見つかる!はず。
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