麻衣
「(部屋中を指差し確認しながら)あれは用意した・・・。これも準備OK・・・。あとは・・・。」

千夏
「ねぇ。ホントにやるの?」

麻衣
「当たり前でしょ?
 だからこそ、これだけ準備したんだから。」

千夏
「いまいち、これからやることの意味がわからないんだけど・・・。」

麻衣
「えー。何度も説明したじゃない。」

千夏
「説明は聞いたわよ。
 何度も聞いたけど、イマイチつながらないというか・・・。」

麻衣
「わかったわ。もう一度説明する。」

千夏
「お願いします。」

麻衣
「あたしたちは結婚したい。
 それがまず大前提。」

千夏
「うん。」

麻衣
「結婚するためには当然、相手が必要。
 でも、出会いがない。」

千夏
「そうね。」

麻衣
「ここ数回、友人の結婚式に出席して、
 友達が結婚相手を見つけたときの1つの共通点を見つけたの。」

千夏
「共通点?」

麻衣
「『共通の知人』よ。」

千夏
「共通の知人・・・。」

麻衣
「そう。友達はみんな、『共通の知人』から紹介されて、結婚相手を見つけているの。
 ここまでわかる?」

千夏
「えぇ・・・。まぁ・・・。」

麻衣
「そこで、黒魔術のプロである、このあたしが黒魔術で『共通の知人』を召喚しようって算段よ!」

千夏
「あー、んー、えー・・・。」

麻衣
「ん?なに?どこかわからないところある?」

千夏
「いや、途中まではわかったの。
 最後にフルスロットルで置いてかれたの。」

麻衣
「だから、どこがわからないの?」

千夏
「えーと、あたりまえのように言っている『黒魔術』の部分が・・・。」

麻衣
「そこ?!この話のキモになるところなのに・・・。」

千夏
「ごめんなさい・・・。」

麻衣
「あたし、3年前から黒魔術使えるようになったの。」

千夏
「3年前から・・・。」

麻衣
「本気になったら、大原よ。」

千夏
「通信教育で・・・。」

麻衣
「で、黒魔術を使って『共通の知人』を呼び出すの。」

千夏
「えーと、その共通の知人っていうのは・・・。」

麻衣
「共通の知人を召喚したら、どんなイケメンを紹介してもらおうかしら。」

千夏
「共通の知人って黒魔術で召喚するものなの?」

麻衣
「もしかして、共通の知人自体がイケメンだったりして・・・!」

千夏
「聞いてます?」

麻衣
「うるさいわねぇ。
 あんまりごちゃごちゃいうと、共通の知人に踏み潰してもらうわよ。」

千夏
「大きいの?
 あなたが想像してる共通の知人って大きいの?」

麻衣
「さて。召喚に必要な材料の最終確認ね。」

千夏
「『進撃の巨人』みたいなイメージなのかな。
 『進撃の巨人』『共通の知人』。
 言葉の構成は似てるけど。」

麻衣
「マンドラゴラの葉・・・。
 ルビーのかけら・・・。
 亀の甲羅の粉末・・・。」

千夏
「ねぇ。どこで買うの?こういうの。」

麻衣
「トカゲのしっぽ・・・。」

千夏
「これも召喚に使うの?」

麻衣
「共通の知人が集めてるらしいの。」

千夏
「なにその趣味。
 とかげのしっぽ集めてる共通の知人がいたら、知人の縁切るわよ。」

麻衣
「よし、準備OK!
 さぁ、それじゃあ『共通の知人』を召喚するわよ。」

千夏
「もう召喚って考えは揺るがないのね。」

麻衣
「ちょっと離れてて。
 『共通の知人』は召喚されて最初に見たものをご主人様と思い込む性質があるから。」

千夏
「ヒナ鳥?
 共通の知人ってヒナ鳥なの?」

麻衣
「あー!共通の知人を召喚したら、どうしよう!
 まずは結婚相手を紹介してもらうでしょ。
 あと2つの願い事は何にしよう!」

千夏
「え、何?共通の知人って願い事3つ叶えてくれるの?
 どんなイメージ抱いてるの?共通の知人に対して。」

麻衣
「では、いきます・・・。
 エロイムエッサイム・・・。エロイムエッサイム・・・。」

千夏
「そういうことやってるから、結婚できないんじゃないの?」

麻衣
「出でよ!共通の知人!!」

爆発音
「ボンっ(煙と共に女性が現れる)」

千夏
「あれ、遥。」


「ゲホッゲホッ!ここどこ?
 さっきまでみんなでボウリングしてたのに。」

麻衣
「遥じゃない。」


「あ、麻衣。
 何してるの、こんなところで。」

麻衣
「黒魔術。」

千夏
「すごい会話ね。」

麻衣
「共通の知人を召喚しようとしたら、あなたが呼ばれちゃったの。」


「あぁ。まぁ、麻衣とは友だちだからね。」

麻衣
「あ、はい。トカゲのしっぽ。」


「ん?」

千夏
「渡さなくていい!渡さなくていい!」

麻衣
「で、ここに呼び出した本題だけど。」


「うん。」

麻衣
「イケメン紹介して。」

千夏
「召喚直後からズカズカ踏み込むのね。」


「突然イケメンって言われても・・・。」

麻衣
「だれでもいいの。
 彼女募集中って人いない?」


「んー。」

爆発音
「ボンっ!(突然、煙が上がり、消えてしまう)」

千夏
「え?え?え?消えた・・・!
 どういうこと?!」

麻衣
「他の人が黒魔術で遙を召喚したのね。」

千夏
「え、黒魔術ってそんなに世の中に浸透してるの?
 あたしが知らないだけで。
 っていうか、黒魔術ってそもそもこういうものなの?!

 そして、遥はそんなに黒魔術で召喚したい逸材なの?!」

麻衣
「共通の知人を取られてなるものか・・・!
 エロイムエッサイム・・・。エロイムエッサイム・・・!」

爆発音
「ボンっ(煙と共に女性が現れる)」


「ゲホッゲホッ!もう!ちょっと何?!」

麻衣
「ごめんね、遙。
 まだイケメン紹介してもらってないから。」

千夏
「麻衣、さっきから友だちにすごいこと言ってるからね。」


「イケメンって言われても・・・。んー。」

爆発音
「ボンっ!(突然、煙が上がり、消えてしまう)」

麻衣
「また取られた!
 エロイムエッサイム・・・。エロイムエッサイム・・・!」

爆発音
「ボンっ(煙と共に女性が現れる)」


「ゲホッゲホッ!何なの、これ!」

麻衣
「遥!イケメン!!」

千夏
「何なの?この黒魔術で一人の人間を取り合う感じ。」


「あー。一人心当たりあるわ。」

麻衣
「誰!誰!」

千夏
「グイグイいくのね。」


「今、あなたの他にもう一人、黒魔術であたしを取り合ってる人がいるけど、その人、イケメン。」

麻衣
「ホント?!連れてきて!連れてきて!」


「連れてきてって言われても、どうすれば・・・?」

麻衣
「この後、あなたがそのイケメンに召喚されたら、あたしが召喚し返すから、その時連れてきて。」

千夏
「黒魔術ってそういう使い方できるのね。」


「わかったわよ・・・。
 では、召喚お願いしまーす!」

爆発音
「ボンっ!(突然、煙が上がり、消えてしまう)」

千夏
「どういう原理?!
 『召喚お願いしまーす』って言葉、相手に聞こえてたの?!」

麻衣
「よし、そろそろかな?
 エロイムエッサイム・・・。エロイムエッサイム・・・!」

爆発音
「ボンっ(煙と共に女性と男性が現れる)」


「ゲホッゲホッ!この煙なんとかならないの?」

一緒に現れた男性
「ゲホッゲホッ!ん・・・?どこだ、ここ?」

千夏
「ホントに連れてきた!」

麻衣
「イケメンだー!」

男性
「キミは?」

麻衣
「麻衣って言います!
 えーと・・・、もしよろしければ、あたしと付き合っていただけませんか!」

男性
「・・・えーと・・・ごめん。」

麻衣
「話が違うじゃないのよっ!!」

千夏
「うん・・・。まぁ、そうなるでしょうね・・・。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

『共通の知人』という言葉から広げたコント。

日常でよく聞く表現も見方を変えればコントになります。

そこに召喚術を混ぜて作った感じです。

 

【上演メモ】

人数:4人

麻衣

千夏

男性

 

所要時間:5分~6分
所要時間:★★★☆☆
備考:人が登場したり、消えたりの部分をどう表現するかですね。

後半は出たり消えたりの繰り返しなので、テンポよくできる仕掛けでやる必要があります。

普通に舞台袖で演技して出たり入ったりを繰り返してもいいかも。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】放課後
【コント】白雪姫と七人の小人
【コント】鬼が島の戦い
【コント】霊媒師
【コント】黄門さまのおさばき#2

 

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

・内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。

・お題をいただいてから、公開までに数か月かかることがあります。

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