吉田
「お!」

橋口
「おぉ!久しぶり!」

吉田
「久しぶりだなぁ!
 すごい偶然!何してるの?」

橋口
「ちょっと買い物。」

吉田
「そうなんだ。
 え、何年ぶり?」

橋口
「・・・3年?
 4年くらい?」

吉田
「そうか、それくらいになるか。」

橋口
「お前は何してるの?」

吉田
「ちょっと飲もうかなぁと思って。」

橋口
「友だちと?」

吉田
「いや、一人で。」

橋口
「さみしいな。」

吉田
「よかったら一緒に飲む?」

橋口
「お、いいよ。」

吉田
「よし、決まり!
 行こう!」

橋口
「おう!」


(30分後)


吉田
「いよいよだな!」

橋口
「・・・。」

吉田
「たのしみだな!」

橋口
「・・・。」

吉田
「わくわくすんな!」

橋口
「・・・。」

吉田
「な!」

橋口
「うるさいよ。
 っていうか、何だよこれ。」

吉田
「何って・・・。」

橋口
「『飲みに行こう』って誘われたんだぞ。」

吉田
「うん。」

橋口
「何で胃カメラ飲むことになるんだよ。」

吉田
「俺、最初からそのつもりだったよ。」

橋口
「だったら『胃カメラを』ってつけろ!」

吉田
「ごめん。
 そのとき、頭の中バリウムでいっぱいだったから。」

橋口
「頭のレントゲンでも撮るのか!
 何だよ、頭の中バリウムでいっぱいって。」

吉田
「いやぁ、それにしてもいよいよだよ!
 うわぁ、ドキドキする!」

橋口
「なんでそのテンションになれるんだよ。
 胃カメラだぞ?」

吉田
「胃カメラだよ。
 胃が健康かどうか診てもらえるんだぞ。
 テンション上がらないヤツいる?!」

橋口
「テンション上がらないヤツしかいないよ!」

吉田
「やっぱ年末が近づいてくると
 胃カメラの季節だなぁって感じるな!」

橋口
「胃カメラに季節を感じたことないよ。」

吉田
「俳句の季語にならないかな。」

橋口
「ならないよ。
 俳句に胃カメラ出たら、それはもうサラリーマン川柳だよ。」

麻酔技師
「(やってくる)はい、こちら麻酔になります。」

吉田
「お、来た来た来た。」

橋口
「最初の料理が来たみたいに言うな。」

麻酔技師
「それでは準備ができましたら始めさせていただきます。」

吉田
「はーい!」

橋口
「忘年会の幹事へのスタートの確認みたいになってるから!」

吉田
「(麻酔を見て)あ、これいつもと違うやつ?」

麻酔技師
「あ、はい。
 今までのヤツは製造が終わってしまいまして。
 そちら、同じ薬品会社の後継の麻酔になります。」

吉田
「なるほど。2023年ものだ。」

橋口
「ワインかよ。」

吉田
「知ってる?
 この会社の麻酔の最高傑作は1963年ものなんだけどさ。」

橋口
「知らないよ。
 あんのかよ、最高傑作とか。」

吉田
「今、日本でそれが飲めるのは数軒しかないんだよ。」

橋口
「飲んじゃダメなやつだよ!
 60年前の麻酔だぞ!」

吉田
「とりあえず今日は23年ものを味わおう。」

橋口
「麻酔は味わうものじゃないから。
 あと、『とりあえず今日は23年もの』って言われると、
 今後63年もの飲みに行こうとか言われそうで怖いんだけど。」

吉田
「あ、これは知ってるか?
 麻酔って舌の上である程度転がしてから飲むといいんだって。」

橋口
「うんちくみたいに言うな。
 胃カメラ前の麻酔はそういうものだよ。」

吉田
「さ、飲むよ(麻酔を口に含む)。」

橋口
「やだなぁ(麻酔を口に含む)。」


※ここからは麻酔が効いてうまく喋ることができないため、字幕付きでお楽しみください


吉田
「はー。
 ひーへぇ、ほろはろり、ひひはふひふはっへふはー。
 (あー。いいねぇ、この香り。いい麻酔使ってるわー。)」

橋口
「ははんのはほ!
 ほほほひっほはほ、はふひはんへ!
 (わかんのかよ!
  どこも一緒だよ、麻酔なんて!)」

吉田
「ほふふーはんへんほほは、
 ほへほひほっほはほひはふほひんはほ。
 (63年ものは、これよりもっと香りが強いんだよ)」

橋口
「ほふほふふーはんへんほほほふんひふはひーはは!
 (もう63年もののうんちくはいいから)」

吉田
「は、へんひんはんもいっはいほーへふは?
 (あ、店員さんも一杯どうですか?)」

橋口
「はふいひひはんほほほほ、
 へんひんはんっへいふは!
 (麻酔技師さんのことを、店員さんって言うな)」

麻酔技師
「ごめんさない。
 今、勤務時間なんで。」

橋口
「ほほはひはははおはひーほ!
 ひんふひはんはっはははんはっへひふほ?!
 (断り方がおかしいよ!
  勤務時間だったら何だっていうの?!)」

麻酔技師
「それではベッドに横になってください。」

吉田
「はぁ、ひほひほは!
 (さぁ、いよいよだ!)」

橋口
「はんへほんはほほひ・・・。
 (なんでこんなことに・・・)」


(1時間後)


麻酔技師
「お大事にー。」

吉田
「(フラフラになりながら)どうれした?
 胃カメラの結果は?」

橋口
「何で泥酔なの?!
 酔う要素あった?!」

吉田
「ぼくはれすね、
 とっっってもけんこーな胃でした!」

橋口
「うん。よかったよかった。
 ほら、まっすぐ歩いて!帰るよ!」

吉田
「よし、もう一軒いこー!!」

橋口
「胃カメラはしご?!」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

「今度飲みに行く?」の誘いから胃カメラへ、という案は随分前からアイディアメモにありました。

 

麻酔が効いてる部分のやりとりは演じる環境などでどうアレンジするか。

いろいろできそうですね。

 

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】ランプの魔人#3
【コント】霊媒師
【コント】インテリボクサーのユウウツ
【コント】大名行列
【コント】羊が一匹

 

 

 

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今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

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