＃２のコントですが、独立しているので、
＃１を読んでいなくても楽しめます。
ちなみに、＃１はこちら！
声
「えっ？！
こんな状態からでも入れる保険があるんですか？！」
（幽霊が立っている）
幽霊
「さすがに無理じゃないですか？！」
保険屋
「いえ、入れます！」
幽霊
「（自分の体を指して）もうこんな感じになってますよ。」
保険屋
「まだ大丈夫です！」
幽霊
「なんですか、その往生際の悪さ。
往生際・・・。
もう往生してますけど。」
保険屋
「では保険の方、紹介していきますね。」
幽霊
「カタログいっぱい出てきた・・・。」
保険屋
「えーと、まずはこちらの保険ですね。
『地獄の沙汰』。」
幽霊
「それはどんな保険ですか？」
保険屋
「えんま大王に『地獄行き』と宣告されても、
再審の請求費用を我々が負担します。」
幽霊
「あの、ごめんなさい。
えんま大王の裁きのシステムよく知らないんですけど、
不服な場合、再審請求できるんですか？」
保険屋
「一定の手続きを踏めば。」
幽霊
「そうなんですね。」
保険屋
「以前、再審を請求した結果、
針山地獄は免除された前例があります。」
幽霊
「針山地獄"は"免除？
あとの地獄は一通りやったってことですか？」
保険屋
「続いての商品はこちらですね。
『ささやかな気持ち』。」
幽霊
「それはどんな・・・？」
保険屋
「お客さまの葬儀の香典に我々が２割程度上乗せします。」
幽霊
「なるほど。」
保険屋
「あくまでこっそり上乗せです。
この保険のことは勘付かれずに香典の金額が増えます。」
幽霊
「先ほど２割"程度"とおっしゃいましたけど、
ピッタリ２割ではないんですか？」
保険屋
「金額は時期によって変わります。
例えば今であれば・・・（タブレットで調べて）２１.８％ですね。
１５万円なら３２７００円上乗せです。」
幽霊
「３２７００円をこっそり追加・・・。」
保険屋
「はい。バレないように。」
幽霊
「香典に小銭が入りますけど、バレませんか？」
保険屋
「続いての保険は『草葉の陰から』。」
幽霊
「それはどういう・・・？」
保険屋
「亡くなった場所に留まり、
１００年に渡りご家族の成長を見守ります。」
幽霊
「地縛霊ってことですか？」
保険屋
「ちなみにお客さまが亡くなった場所は？」
幽霊
「交通事故で運ばれた病院です。」
保険屋
「であれば病院に１００年間留まっていただいて、
ご家族のその後の生活を見守ることができます。」
幽霊
「いや退屈極まりないですよ。
病院ですよ？」
保険屋
「でも、ご家族のその後、気になりませんか？」
幽霊
「まぁ、婚約者を遺して交通事故で亡くなったんで、
婚約者の・・・彩乃のその後は気になりますけど。」
保険屋
「ですよね。」
幽霊
「でも、彩乃はもうその病室には来ないですから、
病室に留まったところでやることないですよ。
１００年も病室でなんもやることないって生き地獄じゃないですか。」
保険屋
「あ、生きてないので・・・。」
幽霊
「じゃあもう地獄だ！」
保険屋
「しかし、こちら結構人気の保険でして、かなり加入者の多い保険です。」
幽霊
「そうなんですか？」
保険屋
「『よく出る』と噂の病院には、
この保険加入者の方がいっぱいいらっしゃいます。」
幽霊
「病院からしたら迷惑極まりない保険ですね。」
保険屋
「次が最後の保険です。」
幽霊
「何ですか？」
保険屋
「保険名は『生まれ変わっても』。」
幽霊
「全体を通して保険名が独特なんですけど。」
保険屋
「次に生まれ変わったとき、生前のあなたの恋人と再度結ばれます。」
幽霊
「彩乃と・・・？
でも、それは私ではないんですよね？」
保険屋
「はい。
お客さまが生まれ変わった別人です。」
幽霊
「なんか切ない・・・！」
保険屋
「こちらもかなり人気の保険ですね。」
幽霊
「ちなみに保険料は？」
保険屋
「前世の記憶です。」
幽霊
「切なすぎる！
彩乃のこと忘れちゃうってことでしょ？！
映画みたいなシチュエーション！」
保険屋
「さて、ご紹介できる保険は以上になりますが、どうなさいますか？」
幽霊
「（カタログを見比べながら）えー・・・。」
若くして交通事故により婚約者と死別した女性・彩乃。
その出来事がきっかけで、彼女は恋をすることが怖くなり、ひたすら仕事に打ち込む生活を送っていた。
そんな彼女の前にかつての婚約者と瓜二つの青年が現れるのは、それから２０年後のことである。
たまに書きたくなる『いい余韻』のおはなし。
２０年後、２人は幸せになれたのでしょうか。
【コント】視力検査
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【コント】本能寺の変＃２
【コント】読書感想文
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