『杉並区美人OL殺人事件 ダイイングメッセージを読んで』
警視庁捜査一課 巡査部長 森田はじめ
今日は杉並区美人OL殺人事件のダイイングメッセージを読みました。
最初にこのダイイングメッセージを見たとき、これは他殺だと思いました。
あと、ダイイングメッセージは血で書かれていたので、これは絞殺ではないと思いました。
ダイイングメッセージにはカタカナで「スズキ」と書かれていたので、
スズキさんが事件に関わっていると思いました。
僕は殺された人はかわいそうだと思いました。
明日からはスズキさんを片っ端から連行したいと思います。
■上司所見
森田君。
事件の報告書を早く書いてくれとお願いしたのですが、
何故、読書感想文の文体なのでしょうか。
あと、スズキさんを片っ端から連行しても犯人にはたどり着かないと思います。
捜査一課課長 仙堂
『杉並区美人OL連続殺人事件 2人目の被害者のダイイングメッセージを読んで』
警視庁捜査一課 巡査部長 森田はじめ
今日は杉並区美人OL連続殺人事件の2人目の被害者の現場検証に行きました。
今回の被害者もダイイングメッセージを残していました。
このダイイングメッセージを見たとき、これは他殺だと思いました。
あと、ダイイングメッセージは血で書かれていたので、これは感電死ではないと思いました。
ダイイングメッセージには「ヨウスケ」と書かれていました。
僕はこのメッセージを読んだとき、犯人はスズキヨウスケさんだと思いました。
何故かというと、一人目の被害者がスズキというダイイングメッセージを残していたからです。
僕は殺された人はかわいそうだと思いました。
明日からはスズキヨウスケさんという名前の人を順番に連行したいと思います。
■上司所見
森田君。
前回からなんら改善されていないのが残念です。
普通の殺人事件が連続殺人になってしまったのですから、
もう少し、緊張感を持ってください。
なお、他殺だとか、感電死とか、死因を誇らしげに書いていますが、
残念ながら、現場にいたすべての人間がわかっていたことです。
スズキヨウスケさんを片っ端から連行する件ですが、
スズキさんをとにかく連行するよりは効率がよくなりましたが、
君はターミネーターではないのですから、
名前だけで無差別に連れてくるのではなく、
ちゃんとした捜査と裏付けの上で連れてくるようにしてください。
あと、昨日、キミが連れてきた3人のスズキさんには私から謝っておきました。
捜査一課課長 仙堂
『杉並区美人OL連続殺人事件 3人目の被害者のダイイングメッセージを読んで』
警視庁捜査一課 巡査部長 森田はじめ
今日は杉並区美人OL連続殺人事件の3人目の被害者現場検証に行きました。
仙堂先生から連続殺人という話を聞いたとき、すぐに他殺であり犯人はスズキヨウスケとわかりました。
なので、ダイイングメッセージにはイトウトシヒデと書かれていましたが、
スズキヨウスケに書き換えておきました。
僕は殺された人はかわいそうだと思いました。
明日も日本中から仙堂先生のところに、スズキヨウスケさんを集めたいと思います。
■上司所見
これを読んだときびっくりしたのですが、イトウトシヒデという名前は初めて聞きました。
ここに書いてある話は本当ですか。
だとしたら、すぐに捜査本部に報告してください。
とりあえず、スズキヨウスケさんを全国から集めるのは今日までにしてください。
こうして所見を書いている今も、続々とスズキヨウスケさんがやってくるので
私はここ数日、スズキヨウスケさん対応に追われています。
あと、私のことを『仙堂先生』と呼ぶのはやめてください。
最後に、毎回「僕は殺された人はかわいそうだと思いました」と書いてますが、
この一文はいらないです。
わたしもかわいそうだと思っています。
捜査一課課長 仙堂
『人事発令を読んで』
警視庁捜査一課 元巡査部長 森田はじめ
今日、壁に貼られている人事発令を読みました。
僕が巡査部長から巡査に降格と書かれていました。
僕はこれを読んだとき、なるほどなと思いました。
この人事発令を書いた人は杉並区美人OL連続殺人事件を早く解決したいんだなと思い、
作者の考えに共感しました。
僕は巡査部長から巡査に降格するのはかわいそうだと思いました。
■上司所見
朝、デスクに来たら、この感想文が置かれていたのですが、どういうことでしょうか。
なんか、この感想文から狂気すら感じ取れるのですが・・・
作者の考えに共感したのであれば、
スズキヨウスケさんを連れてくることに注力するのではなく、
早期解決に向けて努力してください。
あと、キミはかわいそうでもなんでもありません。
捜査一課課長 仙堂
【コント・セルフ・ライナーノーツ】
別のコントの設定を考えていたときに芋づる式に思いついた設定です。
典型的な読書感想文ってどんな感じだろうと探したのですが、
見つからなかったので、
小さいころを思い出しつつ、イメージで書きました。
2012年にスタートしたこのブログも5月6日に3周年を迎えます。
今後も日常からちょっとズレた世界を書いていくのでよろしくお願いします。