高嶋
(墓前で手を合わせている)

中井
「(隣の墓の前にやってきて合掌し)父さん。
 父さんの仇(かたき)、さっき討ってきたよ。」

高嶋
(隣の男を見る)

中井
「父さんの仇を探して10年。
 仇を見つけ機会を伺い続けること5年。
 思えば長い時間がかかったものだ。」

高嶋
(ものすごく興味を持って男を見ている)

中井
「でもついに今日、仇を討つことができた。
 報告が遅くなってごめん。
 だけど、いい報告ができてよかったと思う。
 じゃあまたね。」

高嶋
「あの!」

中井
「・・・はい?」

高嶋
「・・・仇、討ったんですか?」

中井
「聞いてたんですか。」

高嶋
「しっかり。」

中井
「・・・えぇ。
 討ちましたけど・・・。」

高嶋
「(手を差し伸べて)握手!握手!」

中井
「え・・・、はぁ・・・(握手する)。」

高嶋
「わぁ・・・!
 仇打ちした人と握手してもらっちゃった!」

中井
「あの・・・、あなたは?」

高嶋
「いや、こういうのって、
 映画とかフィクションの世界でしか見たことなかったんで、
 なんか感動です!」

中井
「感動するものですか・・・?」

高嶋
「写真!
 写真いいですか?」

中井
「えぇ・・・?」

高嶋
「(カメラモードにして)はい、笑ってー!」

シャッター音
「カシャ!」

高嶋
「SNSで拡散いいですか?」

中井
「いいわけないでしょ!」

高嶋
「誰の仇討ったんですか?!
 仇ってどんなやつでした?!
 強かったですか?!」

中井
「すごい聞いてくるじゃん!
 そんなに仇打ちに興味あるの?」

高嶋
「全く!」

中井
「なのに?!」

高嶋
「わかんないですけど、
 全く興味のなかったタレントを街で見かけたような感覚です!」

中井
「そういうときって、そういうテンションになるもの?」

高嶋
「チヤホヤするのもよくないけど、
 見て見ぬフリというのも失礼じゃないですか。」

中井
「見て見ぬフリでいいよ。
 別にチヤホヤしてほしくて仇討ったわけじゃないから。」

高嶋
「あ。
 今度、僕も仇打ちやってみようかな。」

中井
「仇いるの?」

高嶋
「いません。」

中井
「じゃあ無理だよ。
 『新しい趣味始めようかな』の感覚で始められないんだよ、仇討ちは。」

高嶋
「ぶっつけ本番は大変そうだから、
 練習した方がいいよな。」

中井
「練習?」

高嶋
「じゃああなた仇やってください。
 僕、仇討ちやるんで。」

中井
「漫才のノリで設定説明するのやめて。」

高嶋
「ここで会ったが100年目・・・。
 父を殺された恨み、今ここで晴らす!!」

中井
「どういう感情なの?
 どういう感情で僕をニラみつけてるの?」

高嶋
「わー!やっばい!やっばい!
 すっごいテンション上がる!!」

中井
「そうなの?
 そんなに上がるもの?」

高嶋
「(飛び跳ねながら)ヤバい!ヤバすぎる!」

中井
「(周囲の人に)すみません。
 彼、僕を見かけて舞い上がっちゃったみたいで・・・。
 そんな目で見ないであげてください!」

高嶋
「(飛び跳ねながら)どうしよ!どうしよ!」

中井
「(周囲の人に)墓地でこのテンションは異様ですけど・・・。
 別に、何かに取りつかれたとかではないので!」

高嶋
「(空を仰いで)仇討ちの魅力に取りつかれたかもしれない・・・。」

中井
「(周囲の人に)あ、ごめんなさい。
 取りつかれたみたいです。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

普通なら、仇討ち側が日常から脱線した側なのでボケ役に当たるのですが、日常生活してる側をボケ役にしました。

あまのじゃくなんですよね。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

 

【コント】記憶喪失
【コント】フック船長
【コント】金の斧、銀の斧
【コント】うさぎの餅つき
【コント】父と息子

 

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今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

【実演したい方へ】

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アレンジや改変も自由です。

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