「先生・・・。」

医師
「突然お呼びたてして申し訳ありません。
 ご主人のことでお伝えしたいことがございまして・・・。」


「今日は人間ドックだと聞いていましたが、
 何か見つかったのでしょうか?」

医師
「はい。
 先ほど精密検査をさせていただきました。
 結果についてご家族の方にお伝えした方がよいかと思い、連絡させていただきました。」


「はい・・・。
 それで結果は・・・?」

医師
「落ち着いて聞いてください。」


「はい・・・。」

医師
「ご主人ですが・・・。」


「はい・・・。」

医師
「・・・脳みそが筋肉です。」


「・・・。」

医師
「・・・。」


「・・・はい?」

医師
「脳筋です。
 初めて見ました。
 脳が筋肉なんです。」


「え、え、え、え、え?」

医師
「こちら、脳のMRIの結果です。
 ここが脳です。
 全部筋肉です。」


「いやいやいや、待ってください。
 待ってください。」

医師
「はい?」


「え、なんか思わぬ展開についていけてないのですが。」

医師
「簡単です。
 ご主人、脳筋です。」


「うん。
 あの、よく脳みそが筋肉の人って表現は聞きますが・・・。」

医師
「ご主人はガチの脳筋です。」


「ガチですか・・・。」

医師
「こちら連続で撮影したMRIの画像です。
 これ見てください。
 ちょっと前の画像と形が違いますね。」


「はい。」

医師
「ご主人、撮影中に脳をピクピク動かしてます。」


「ピクピク・・・。」

医師
「マッチョな人がよく胸筋をピクピクさせることありますよね。
 ご主人、あれを脳でやってます。」


「ピクピク・・・。」

医師
「これ、左脳だけピクピク。
 こっちが右脳だけピクピク。
 最後、両方ピクピク。」


「今、主人は・・・?」

医師
「『施設の裏山にクマの気配がする』と言って、
 検査が終わると飛び出していきました。」


「脳筋だ・・・。」

医師
「ご主人、何か脳筋になる予兆のようなものはありましたか?」


「予兆ですか・・・。」

医師
「何でも構いません。」


「これは予兆かどうかはわかりませんが・・・。」

医師
「どうぞ。」


「ポーズを決めながら、
 私に『前頭葉から海馬にかけてのこの盛り上がり見てくれ』と言われたことはあります。」

医師
「がっつりですね。
 がっつり予兆ですね。」


「何か生活で気をつけることは・・・?」

医師
「ご主人、昨日は何をお召し上がりに?」


「とりあえず、朝昼晩プロテインと・・・。」

医師
「まず、それやめましょうか。」


「あと、夜食にささみシェイクを。」

医師
「それもやめましょう。」


「あ、違いました。」

医師
「違いましたか。」


「プロテインバーですね。」

医師
「まだ足りませんか。」


「先生。
 主人はどうなるのでしょうか?」

医師
「そうですね。
 私よりもっと脳医学に詳しい大学病院の先生を紹介しましょうか?」


「お願いしたいのですが・・・、
 医療費結構かかりますよね・・・?」

医師
「そうですね。
 かなり・・・。」


「主人に確認してみます。
 えーと、電話は・・・?」

医師
「ここを出たところに。」


「ありがとうございます(部屋を出ていく)。」

医師
「(脳のMRIを見ながら)・・・脳キレッキレだなぁ。」


「連絡取ってきました。」

医師
「早いですね。
 どうでした?」


「『脳医学に詳しい先生に診てもらう?』と聞いたら
 『そいつはどれくらい強いんだ?』って言われました。」

医師
「・・・紹介状書きますね。」


「よろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

比喩を本気にするシリーズのコント。

今回は「脳筋」。

 

これはアイディア出しがかなりスムーズでした。

 

さて、今回のコントで450本目のコント。

11年半で450本。

たくさん書きました。

 

これからも、いつでも公演中のWeb上の架空の劇場・下北沢コントシアターでお待ちしています。

 

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】崖#4
【コント】男子100m走
【お題コント】スピッツ
【コント】クロスプレー
【コント】鬼が島の戦い

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

【実演したい方へ】

本ブログのコントは自由に演じていただいて構いません。

アレンジや改変も自由です。

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