田所
「・・・どうしよう。」
雨宮
「なんだよ。」
田所
「・・・見ちゃったんだよ。」
雨宮
「見ちゃったって、何を？」
田所
「・・・ドッペルゲンガー。」
雨宮
「自分に瓜二つっていうアレ？」
田所
「そう。しかも、今日だけで二人。」
雨宮
「マジかよ・・・。
・・・ん？確かドッペルゲンガーって３人見たら・・・。」
田所
「そう。死ぬんだよ。
どうしよう、俺死にたくないよ！」
雨宮
「大丈夫、落ち着け！
そんなに滅多なことでドッペルゲンガーには遭わないから。」
田所
「でも、今日だけで２人遭ってるんだぞ！
もうリーチなんだぞ！」
雨宮
「あ、もしかしたらその２人のドッペルゲンガー、同一人物なんじゃない？
一度会って、しばらくして別のところで同じ人に会ったとか。」
田所
「それはない。」
雨宮
「なんでわかるんだよ。」
田所
「二人が出くわした瞬間に鉢合わせたから。」
雨宮
「すげー決定的瞬間だな。」
田所
「お互い、『あーっ！』って指を指しつつ、カバンが手からこぼれ落ちる瞬間に鉢合わせた。」
雨宮
「めちゃくちゃ面白い光景じゃん。
・・・ん？でもお前が合流した時点で３人揃ったんなら、死ぬんじゃないの？」
田所
「いや、二人がこっちに気づいてない間に逃げてきたから。」
雨宮
「あ、全員がお互いを認識しないと死なないシステムなんだ。」
田所
「なんかそうみたい。」
雨宮
「意外と融通効くんだな、ドッペルゲンガーって。」
田所
「判定ゆるいね。」
雨宮
「それにしても、ドッペルゲンガーで死ぬってどんな感じなんだろうな。」
田所
「・・・わからないけど、同じ顔が３つ揃ったら死ぬってことは、
落ちものパズルみたいなイメージなんじゃない？」
雨宮
「消滅ってこと？」
田所
「で、上の奴らが落ちてきて
また３人揃うと連鎖が起こるんだよ。」
雨宮
「そのお前たちの上に乗ってるドッペルゲンガーなんなんだよ。
降りてもらえよ。」
田所
「とにかく、俺は今日ドッペルゲンガー２人に遭っちゃったんだよ。
この街には俺のドッペルゲンガー２人いるんだよ！」
雨宮
「そうなんだ。」
田所
「お前、なんでそんな冷静なんだよ！
オレ、瀕死なんだぞ！」
雨宮
「瀕死？」
田所
「瀕死だよ。
あと１人見たら死ぬんだから。」
雨宮
「（スマホをいじりながら）あ、見つけた。」
田所
「助かる方法？」
雨宮
「Googleストリートビューにお前によく似たやつが写ってる（スマホを見せる）。」
田所
「（顔を背ける）バッ！やめろ！
本当にドッペルゲンガーだったら俺、消えちゃうだろ？」
雨宮
「判定ゆるいから大丈夫だって（スマホを見せようとする）。」
田所
「（手をはねのけて）やめろってば！！」
雨宮
「似てるのになぁ・・・。」
田所
「・・・お前、本当に親友か？
ドッペルゲンガーをネットで探して本人に見せるって。」
雨宮
「こんなチャンス滅多にないんだぞ！
３人目のドッペルゲンガーに会う瞬間に立ち会えるんだぞ！」
田所
「とうとうチャンスって言葉で表現したな。
親友の危機を。」
雨宮
「（立ち上がって）俺、たった今、目標ができた！」
田所
「目標？」
雨宮
「俺、ノーベル賞獲る！」
田所
「・・・突拍子も無い宣言だけど、何をしようとしてるのか全部見えたわ。」
雨宮
「（スマホをいじりながら）これお前のドッペルゲンガーのツイッターアカウントじゃない？（スマホを見せようとする）」
田所
「早速、実験しようとするなって！」
雨宮
「化学の発展のため、犠牲になってくれ！」
田所
「ドッペルゲンガーについてわかっても、なんの発展にもならないよ！
『怖いね、ドッペルゲンガーって』って言って終わりだよ。」
雨宮
（ゆっくりとスマホの画像を見せようとする）
田所
「無言でドッペルゲンガー見せようとするな！
それ以前に俺のドッペルゲンガーがヒットする検索ワードが気になるわ！」
雨宮
「・・・知りたい？」
田所
「知りたくない！
検索結果見たら死ぬから！」
翌日から、雨宮は毎日ラインで俺に画像を送ってくるようになった。
最初は怖くて見れなかったが、
怖いもの見たさで見てみたところ、
・・・俺のそっくりさんの画像ばかりだった。
ちなみに今、
俺のスマホの画像フォルダは俺のそっくりさんで埋め尽くされている。
ドッペルゲンガーって３人そろうとどうやって死ぬんでしょう・・・？
そもそも何故？・・・というか、どこから出てきた話なのか・・・。
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