まさひこ
「(スロットをやっている)いいぞ!いいぞ!
 あーっ!また外した!
 よし、次こそは・・・!」

オリバー
「(通りかかり、スロットをやっている男の顔を見て)・・・まさひこ?」

まさひこ
「ん?
 ・・・あ、オリバー。」

オリバー
「何してんだよ、こんなカジノで。」

まさひこ
「・・・いや、あの・・・。」

オリバー
「お前、魔王を倒す旅に出たんじゃなかったっけ?」

まさひこ
「うん、えーと、そうなんだけど・・・、
 あの・・・。」

オリバー
「そのお前が何カジノでスロットなんかやってるの?」

まさひこ
「いや、これはなんていうか・・・。」

オリバー
「王様、心配してたぞ。
 『勇者として送り出したまさひこから未だ何の便りもない』って。」

まさひこ
「あぁ・・・、そうなんだ。」

オリバー
「王様に伝えようか?
 『まさひこ、隣町のカジノでスロットやってた』って。」

まさひこ
「いや、それはやめて!
 変な誤解生まれるから!」

オリバー
「誤解も何も実際にカジノで遊んでるじゃん。」

まさひこ
「いや、これは違うんだって!」

オリバー
「違うって何が?」

まさひこ
「ここのカジノの景品がすごい強い剣で、
 その剣を手に入れるためにこうやって・・・。」

オリバー
「稼いで手に入れようとしてたの?」

まさひこ
「そう!
 だから、これも魔王を倒すために必要なことなの!」

オリバー
「んー、まぁ、それならいいけど・・・。」

常連客
「(通りかかる)おー、まさひこ!
 こないだジャックポット当てた時に交換した特上ステーキ、味どうだった?」

オリバー
「特上ステーキ?」

まさひこ
「え、いや、あのー・・・。」

常連客
「このカジノで一番高価な景品だからな!
 絶品だったんだろうな!」

まさひこ
「いや、あの、ごめん、ちょっと黙って。」

常連客
「あ、そうそう。
 前にこのカジノで当てて交換したリムジン、また乗せてくれよな。」

オリバー
「リムジン・・・?」

まさひこ
「あっちいって!
 早くあっちいって!」

常連客
「お、そうか?
 それじゃあな。(去っていく)」

まさひこ
「ふぅ・・・。」

オリバー
「・・・。」

まさひこ
「・・・。」

オリバー
「・・・え、強い剣を手に入れるためって言ってたけど・・・。」

まさひこ
「この次に手に入れようとしてたんだって!」

オリバー
「特上ステーキを優先でゲットしたみたいだけど。」

まさひこ
「力が必要でしょ?
 魔王を倒すには!」

オリバー
「リムジンっていうのは?」

まさひこ
「魔王の城は歩行者進入禁止区域だから。」

オリバー
「高速道路的な?」

まさひこ
「そう!」

オリバー
「で、次に剣と。」

まさひこ
「そう!
 ステーキ、リムジン、剣!
 魔王を倒すためのアイテムがもう少しで揃うところなんだから!」

オリバー
「ステーキ、リムジンのくだりが納得いかないんだけど・・・。」

まさひこ
「大丈夫!
 もうすぐ魔王倒すから!」

オリバー
「あ、そう。
 ・・・手に入りそう?」

まさひこ
「もうちょっとだね。」

オリバー
「ふーん。
 邪魔しちゃったね。続けて。」

まさひこ
「あ、うん。(スロットを続ける)」

オリバー
(スロットをしている勇者を後ろから見ている)

まさひこ
「あぁっ!
 また外れた!」

オリバー
「(スマホを取り出し、スロットをする勇者を撮る)カシャ!」

まさひこ
「(振り返る)っ!!」

オリバー
(スマホをいじり出す)

まさひこ
「(スマホをいじっている手を掴む)待って待って待って!
 何する気?!」

オリバー
「いや、別に・・・。」

まさひこ
「『いや、別に』じゃなくてさ!
 (スマホを奪って)いや、なにスロットやってるところの画像付きでツイートしようとしてるの?」

オリバー
「顔のところは画像で隠すから・・・。」

まさひこ
「いや、『魔王討伐準備中』って文章と一緒にツイートしようとしてるじゃん!」

オリバー
「大丈夫。」

まさひこ
「ごめん。『大丈夫』の意味がわからない。
 ホントやめて!
 妙な誤解生むから!」

オリバー
「えー。」

まさひこ
「いや、ホントに!
 国を上げて送り出してくれた勇者だからさ!
 こんな画像見せられないって!」

オリバー
「でも・・・。」

まさひこ
「(ふところからカードを取り出す)これ!
 ここのカジノの会員証!」

オリバー
「会員証持ってるの?」

まさひこ
「たまたまね!」

オリバー
「たまたまねぇ・・・。」

まさひこ
「これをキャッシャーに入れれば僕が預けたコイン引き出せるから!」

オリバー
「そうなの・・・?」

まさひこ
「(オリバーの手に会員証を握らせて)これで・・・ね。
 ということで・・・ね。
 わかるよ・・・ね。」

オリバー
「え、どういうこと?」

まさひこ
「『くれぐれも』・・・ということでね。」

オリバー
「・・・いや、なんか日本人の悪いとこ出てるよ。
 その『察して』っていう感じ。」

まさひこ
「皆まで言うな。」

オリバー
「うん。
 少なくともあんたが言うセリフじゃないよ。」

まさひこ
「その会員証で引き出せるコインは自由に使っていいから。」

オリバー
「(会員証を見ながら)どのくらい預けてるの?」

まさひこ
「1000・・・くらい?」

オリバー
「いやもうがっつりやってるじゃん。
 旅立つ時に王様からもらったお金50ゴールドだよ?
 それを元手に1000って・・・。」

まさひこ
「あ、もうちょっとあったかな。
 1500・・・いや、2000?
 ・・・2500?」

オリバー
「いや待って待って。
 どこまで上がるの?
 1000って時点で結構やってると思ったけど、
 その数秒後に2.5倍に跳ね上がったよ。」

まさひこ
「もうちょっとあったかな。」

オリバー
「まだ上がるのかよ。」

まさひこ
「あ、7500だ。」

オリバー
「逆に最初の1000って数字は何だったんだよ。」

まさひこ
「そのコインは自由に使っていいから。」

オリバー
「(会員証の裏面を見て)入会日、お前が旅立った日の翌日じゃん!」

まさひこ
「いや、これもホント違うから!
 ちゃんと勇者としての仕事はやってるから!
 カジノはサブ!
 必要アイテムを集めるため!」

オリバー
「ふーん・・・。
 (会員証を見て)それだけ大事なものなのにもらっていいの?」

まさひこ
「どうぞどうぞ。
 その代わり・・・ということで、ね。」

オリバー
「その具体的なところを濁すあたり、よくないよ?」

まさひこ
「皆まで言うな。」

オリバー
「うん。
 だから、あんたのセリフじゃないって。」

まさひこ
「はい、じゃあこの話はここまで!」

オリバー
「本来ならお前にこの話を遮る権限ないからな。
 (会員証を見て)7500くらいあるんだっけ?」

まさひこ
「そう。」

オリバー
「うん・・・。わかった。
 せっかくだし、ちょっと遊んでみるかな(キャッシャーに向かう)。」

まさひこ
「おう!がんばれよ!
 さてと・・・。
 (スロットを続ける)よし!よし!来い!」

オリバー
「(戻ってくる)おい!おい!!」

まさひこ
「あぁっ!
 また外した!!」

オリバー
「おいったら!」

まさひこ
「なんだよ、また戻ってきたのかよ!」

オリバー
「お前がこの会員証で預けてるコイン。
 7500って言ってたやつ。」

まさひこ
「うん。」

オリバー
「7500万枚だったんだけど。」

まさひこ
「・・・。」

オリバー
「・・・。」

まさひこ
「皆まで言うな!」

オリバー
「いや、全部言うよ。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

RPGでカジノで遊んでいるところを見られたら、多分こんなやりとりになるだろうな・・・というところから作りました。

 

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【お題コント】栗
【コント】大きなカブ
【コント】金の斧、銀の斧#3
【コント】報酬とペナルティ
【コント】貞子と井戸、あとテレビ

 

 

 

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