ボークン青山
「クイズ!ハイリスク!ローリターン!!」



(拍手)



ボークン青山
「さぁ、始まりました。
 あなたの人生を変えるクイズ番組!!
 クイズ!ハイリスク!ローリターン!!
 司会のボークン青山です。」



(拍手)



ボークン青山
「さぁ、この番組、地方ローカルでスタートしてついに20周年になります。
 それもひとえにご覧いただいた視聴者のみなさま、
 そしてなにより出場していただいた皆様のおかげです。
 ありがとうございます。」



(拍手)



ボークン青山
「そこで今回は、東京からスペシャルゲストにお越しいただきました。
 クイズ番組10冠、まさにクイズ王!上条憲二さんです!」


上条
「よろしくおねがいします。」


ボークン青山
「さぁ、上条さんがこの番組でも優勝してしまうのか。
 それとも他の出場者の方が阻止するのか。
 楽しみになってまいりました!
 それではクイズに参りましょう!」



(全員構える。)



ボークン青山
「ルールはいつもと同じです。
 形式は早押しクイズ。
 1問正解・賞金1万円。
 お手つき・誤答は3年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金です。
 それでは参りましょう!
 問題!!」


SE
「ジャジャン!」


上条
「(手を上げる)ちょちょちょちょちょっとすみません!!」


ボークン青山
「おおっと、クイズ王!
 問題を聞く前から回答か。しかも、挙手で。」


上条
「違いますよ。どんだけ型破りなヤツなんですか。」


ボークン青山
「では何でしょう?」


上条
「いや、あの・・・、聞き違いかな。
 ちょっとルール説明で気になることがあったんで・・・」


ボークン青山
「形式は早押しクイズ?」


上条
「その後です。」


ボークン青山
「1問正解・賞金1万円?」


上条
「その次です。」


ボークン青山
「お手つき・誤答は3年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金?」


上条
「うん、そこ!!」


ボークン青山
「何か問題でも?」


上条
「いや、大アリですよ。
 え?お手つき、誤答は犯罪クラスのペナルティってことですか?」


ボークン青山
「はい。この20年で3000人以上の出場者が懲役を食らった当番組。」


上条
「無法地帯クラスの数字じゃないですか。」


ボークン青山
「中でも今回出場された中森さんは当番組で前科6犯になってしまったツワモノ!」


上条
「常習犯だ・・・。」


ボークン青山
「出所する度に
 『今度こそ、まともな人生を送る。その生活資金としたい。』
 と当番組に参加してくれました。」


中森
(照れる)


ボークン青山
「しかし、結果はいずれも誤答。
 今回、7度目の出場でリベンジを誓います!」


中森
(カメラに向かってガッツポーズ)


上条
「まともに働いた方がいいですよ。」


ボークン青山
「それでは問題!」


SE
「ジャジャン!!」


ボークン青山
「1853年に・・・」


SE
「ピンポン!」


ボークン青山
「さぁ、問題の途中ですが、前科6犯の中森さん!」


中森
「ペリー!」


SE
「ブー」


ボークン青山
「残念!
 1853年に来航したペリーは日本のどこにやってきたでしょう?という問題。
 正解は浦賀でした。」



(警官がやってくる。)



ボークン青山
「というわけで、中森さん、連行です。」


中森
「(警官に羽交い絞めにされる)俺じゃねぇ!俺じゃねぇ!!」


ボークン青山
(中森に手を振っている)


中森
「(上条の方を見て)俺じゃねぇ!俺じゃねぇ!!」


上条
「(ただただ中森を見つめている)・・・。」


中森
「(上条をガン見して)俺じゃねぇ!俺じゃねぇ!!」



(中森、退場。)



上条
「ものすごい、僕の方見てた・・・。」


ボークン青山
「『俺じゃねぇ!』って言ってましたね。
 でも、間違えたのはあなたですよー。
 それじゃ、次の問題です。」


SE
「ジャジャン!!」


上条
「(手を上げる)あの!あの!!ちょっとすみません!!」


ボークン青山
「おおっと、クイズ王!
 またしても問題を聞かずに回答か!しかも挙手で!」


上条
「だから、違いますよ。
 どんだけルールを理解しないヤツだと思われてるんですか。」


ボークン青山
「では、何でしょう?」


上条
「いや、ちょっとペナルティキツくないですか?」


ボークン青山
「ペナルティがキツい?
 20年やってて初めて言われました。」


上条
「誰も疑問を抱かなかったんだ・・・。」


ボークン青山
「執行猶予があった方がいいですかね?」


上条
「執行猶予がないからゴネてるんじゃないんです。
 懲役自体をなくした方がいいんじゃないかってことです。」


ボークン青山
「ちょっとプロデューサーと相談してきますね。(席を立つ)」


上条
「よく20年もやってきたな、この番組。」


ボークン青山
「(戻ってくる)相談してきました。
 プロデューサーも『前々から、ちょっとキツいと思ってた』とのことです。」


上条
「うすうす感じてはいたんだ・・・。」


ボークン青山
「というわけでルール変更です。
 形式は早押しクイズ!
 1問正解・賞金1万円。
 ここまでは変わりません!」


上条
「ペナルティはどうなりました?」


ボークン青山
「お手つき・誤答をした場合、当番組のプロデューサーが
 あなたの家族を人質に、あなたの家に立てこもります!」


上条
「なに?その誰も得しないペナルティ。」


ボークン青山
「斬新でしょ?」


上条
「斬新すぎますよ。
 番組で誤答して『あー、誤答しちゃったなぁ』ってなるけど、
 番組はそのまま進行して、
 特にペナルティなかったなぁ、と思って家に帰ったら、
 プロデューサーが家に立てこもってるんでしょ?」


ボークン青山
「いやぁ、斬新だ。」


上条
「特にカメラが回ってるわけでもないし・・・。
 大体、要求もないのに立てこもるって変じゃないですか。」


ボークン青山
「要求はありますよ。
 逃走用のヘリを要求します。」


上条
「いや、最初から立てこもらなければいいじゃないですか。」


SE
「ブー!ブー!!」


ボークン青山
「おおっと!上条さんがゴネるから、逆転チャンスの時間になってしまいました!」


上条
「私のせいにされた・・・。」


ボークン青山
「ここからは1問正解・2万円!
 お手つき・誤答の場合、誤答者の血液にオレンジジュースを注射します!」


上条
「もう、クイズ番組のペナルティの域、超えてるじゃないですか!」


ボークン青山
「糖尿になっちゃいますね。」


上条
「いや、糖尿以前に死んじゃうよ!」


ボークン青山
「大丈夫です。今回出場している荒木さんは通称『逆転チャンスの鬼』と呼ばれるツワモノ。
 逆転チャンスでしかボタンを押さないことからこの異名がつきました。」


上条
「あー、このチャンスで賞金を持ちかえってるんだ・・・。」


ボークン青山
「いえ、必ず誤答します。」


上条
「ダメじゃないですか。」


ボークン青山
「その度に彼の血液にオレンジジュースが注射されています。
 でも、死なない。そんなタフな男です。」


荒木
「・・・これ以上、オレンジジュースを注射されたら、死ぬと思う。(瀕死)」


上条
「・・・病院!クイズやってる場合じゃない!病院!!あと、警察!!」


ボークン青山
「それでは問題!」


SE
「ジャジャン!!」


ボークン青山
「藤子・F・不二雄の漫画で青いネコ型ロボット・・・」


SE
「ピンポン!!」


ボークン青山
「さぁ、逆転チャンスの鬼・荒木さんが押した!正解は?!」


荒木
「ドラえもん。」


SE
「ブー!」


ボークン青山
「残念!
 青いネコ型ロボットが登場する『ドラえもん』。
 このドラえもんの妹の名前は何でしょう?
 正解はドラミちゃんでした。」



(医者がやってくる。)



ボークン青山
「というわけで、荒木さん、別室で注射します。」


荒木
「(医者に羽交い絞めにされる)俺じゃねぇ!俺じゃねぇ!!」


上条
「(連行される荒木を見ている)・・・。」


荒木
「(上条を見ながら)俺じゃねぇ!俺じゃねぇ!!」


ボークン青山
(ニッコリ笑って手を振る)


荒木
「(上条をガン見して)俺じゃねぇ!俺じゃねぇ!!」



(荒木、退場。)



上条
「また、ものすごいガン見された・・・。
 あと、退場の際、必ず『俺じゃねぇ!』って言う往生際の悪さ、何なの?」


ボークン青山
「さぁ、回答者は上条さんしか残っていません。
 というわけで、上条さん優勝です!!」


SE
「テッテレー!」


ボークン青山
「さぁ、上条さん。勝因は?」


上条
「二人が自滅しただけです。」


ボークン青山
「さぁ、上条さんにはミサイルチャンスに挑戦していただきます。」


上条
「なんですか。その悪いニオイしかしないクイズは。」


ボークン青山
「上条さんには2択のクイズに挑戦していただきます。
 答えが○だと思ったら赤のボタンを。
 答えが×だと思ったら青のボタンを押してください。」


上条
「はい。」


ボークン青山
「正解の場合、ボタンは天井のくす玉につながっていて、
 紙吹雪が舞います。
 賞品として、ビタミン剤3日分差し上げます!」


上条
「ここは病院か!」


ボークン青山
「不正解の場合、ボタンはとある国のミサイル発射装置につながっています。
 あとは・・・もう知りません。」


上条
「なすりつけた!全責任を回答者になすりつけた!」


ボークン青山
「さぁ、上条さん。
 世界の未来が託されましたが、お気持ちは?」


上条
「不愉快です。」


ボークン青山
「なるほど。
 それでは参りましょう!
 ミサイルチャンス!!」


SE
「ジャジャン!」


ボークン青山
「問題・ワタクシ、ボークン青山と当番組プロデューサー・エンペラー野田は遠い親戚である。
 ○か×か!?」


上条
「知らねぇよ!そして、どうでもいい!!」


ボークン青山
「さぁ、上条さんはどっちのボタンを押すか?
 ビタミン剤3日分ゲットなるか?!」


上条
「ビタミン剤が欲しくてやってるんじゃない!
 ミサイルが飛ぶのを阻止したくてやってるんだ!」


ボークン青山
「おぉ、名言出ました!
 録音するんで、もう一回言ってください。」


上条
「誰が言うか!!」


ボークン青山
「さぁ、制限時間いっぱいです!どっちを押す?!」


上条
「もうどうにでもなれ!
 ○ーっ!!(ボタンを押す!)」


ボークン青山
「・・・!」


上条
「・・・!」



(紙吹雪が舞う)



ボークン青山

「おめでとうございます!正解です!!」


上条
「本当ですか?よかったぁ・・・(座り込む)」


ボークン青山
「私とプロデューサーのエンペラー野田は遠い親戚です。
 エンペラー野田の家系図を見ると、隅っこに私が載っているんですよ。」


上条
「どうでもいいよ、その情報・・・。

 緊張の糸が切れた・・・。
 倒れそう・・・。」


ボークン青山
「大丈夫ですよ。
 ビタミン剤3日分、差し上げます。」


上条
「そうだった・・・。」


ブザー
「ブーッ!ブーッ!」


上条
「何?この音?」



(スタッフがボークン青山の横に来て、何やら耳打ち。)



ボークン青山

「そうですか。伝えておきます。」


上条
「どうしました?」


ボークン青山
「えー、申し訳ありません。
 技術スタッフのミスで正解のボタンとミサイル発射装置がつながっていたみたいです。
 今、発射準備に入ったそうです。」


上条
「はぁーっ?!」


ボークン青山

「えー、技術スタッフのミスとはいえ、
 上条さんがミサイル発射の引き金を引く形になりましたが、
 今の心境は・・・?」


上条
「いや・・・あの・・・。
 ・・・お、・・・俺じゃねぇ!俺じゃねぇ!!」


ボークン青山
「(モニターでテレビのニュースを見ながら)
 あー、もう発射されますね。」


上条
「(ボークン青山を見ながら)俺じゃねぇ!俺じゃねぇ!!」


ボークン青山
「というわけで、あなたの人生を変えるクイズ番組!
 クイズ!ハイリスク!ローリターン!!
 次回の放送は未定です!
 それではまた次回!!(手を振る)」


上条
「(クレーンカメラに向かって手を振りながら)俺じゃねぇ!俺じゃねぇ!!」



(拍手)








【コント・セルフ・ライナーノーツ】
前回のコントに続いて、怖いことをシレっというコントです。
『お手つき・誤答は3年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金』
という言葉から広げました。

公開した後で、弟からアドバイスを受けて、オチを変えてみました。




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