その昔、スフィンクスは目の前を通り過ぎる旅人たちに謎を出していた。


スフィンクス
「朝は4本。昼は2本。夜は3本。
 これは何だ。」

旅人
「朝は4本。昼は2本。夜は3本・・・?」

スフィンクス
「お主にこの謎が解けるかな。」

旅人
「うーん・・・。」

スフィンクス
「ふふふ・・・。
 悩んでおる悩んでおる。」

女性の声
「(奥から)あんた!」

旅人
「うーん・・・。」

スフィンクス
「悩め。悩むのだ。」

女性の声
「(奥から)あんた!!」

スフィンクス
「(奥に向かって)なんだよ!」

女性の声
「(奥から)ちょっと来て!」

スフィンクス
「(奥に向かって)今、いいとこなんだけど!!」

女性の声
「いいから!!」

スフィンクス
「わかったよ。
 (旅人に)ちょっと待っていろ。」

旅人
「うーん・・・。」

スフィンクス
「(やってくる)なんだよ。こんな時に。」

スフィンクスの妻
「あんた、いつまでこんなことやってるの?
 いい加減に定職に就きなさいよ。」

スフィンクス
「だから言ってるだろ?
 俺はクイズ作家になるって。」

スフィンクスの妻
「あんたねぇ、クイズ作家で食べていける人って本当に一握りなのよ?
 アタック25ですら終わる時代なんだから。」

スフィンクス
「有名になれば『Qさま』とかから声がかかるから。」

スフィンクスの妻
「もうちょっと現実的な話をしなさいよ。
 あんた、近所からなんて呼ばれてるか知ってる?」

スフィンクス
「何?」

スフィンクスの妻
「クイズおかっぱ。」

スフィンクス
「この髪型、おかっぱじゃないから!」

スフィンクスの妻
「近所からはそう呼ばれてるのよ。」

旅人
「(外から)すみませーん。」

スフィンクス
「あ、ほら外で旅人が呼んでるから戻るよ。」

スフィンクスの妻
「何の問題出してるの?」

スフィンクス
「朝は4本・・・のやつ。」

スフィンクスの妻
「あんたいい加減、他の問題作りなさいよ。
 馬鹿の一つ覚えみたいにおんなじ問題ばかり出して。」

スフィンクス
「いいだろ。
 名作なんだから。」

スフィンクスの妻
「だいたい正解されたらどうなるの?」

スフィンクス
「賞金100万円。」

スフィンクスの妻
「出せるの?そんな金額。
 だいたい一問一答で100万円ってどんなクイズ番組よ。」

スフィンクス
「ただ、お手つき誤答は俺に食い殺されるから。」

スフィンクスの妻
「そんなペナルティ放送できないわよ。」

スフィンクス
「地上波ではね。」

スフィンクスの妻
「地上波じゃなくてもよ!」

旅人
「(外から)すみませーん!すみませーん!」

スフィンクス
「ほら、呼んでるから戻るよ。」

スフィンクスの妻
「あ、ついでに牛乳買ってきて。」

スフィンクス
「『ついで』ってなんのついで?
 出かけるわけじゃないんだけど。」

スフィンクスの妻
「靴を履くついでよ。」

スフィンクス
「それ『ついで』って言わないだろ。
 それがついでになるならもはや何でもアリだよ!」

旅人
「(外から)すみませーん!にんげーん!
 こたえ、にんげーん!」

スフィンクスの妻
「ほら答えられてるじゃない、あなたの問題。」

スフィンクス
「違うよ。
 シンキングタイムが長すぎたから検索されちゃったんだよ。」

スフィンクスの妻
「そもそも検索でヒットするレベルの問題なのよ。
 もう使い古されてるんだから、新しい問題作りなさいよ。」

スフィンクス
「わかったよ。」

スフィンクスの妻
「あ、ついでに牛乳ね。」

スフィンクス
「だから、ついでじゃないって・・・。
 あ!この問題どう?」

スフィンクスの妻
「何か思いついた?」

スフィンクス
「『消費税は何パーセントでしょう?』」

スフィンクスの妻
「あんた、クイズ作家として最低レベルね。
 子供でも答えられるわよ。」

スフィンクス
「ダメかー。」

スフィンクスの妻
「このクイズおかっぱが!」

スフィンクス
「あ、じゃあ少しひねって『今から10年前、消費税は何パーセントだったでしょう?』とか。」

スフィンクスの妻
「あー、それならまだマシかも。」

スフィンクス
「よし、問題差し換えよう。」

スフィンクスの妻
「ついでに牛乳ね。」

スフィンクス
「1パックでいい?」

スフィンクスの妻
「うん。」

スフィンクス
「了解(外に出て行く)。」

スフィンクスの妻
「夜になったら改めて、仕事探すように説得しなくちゃ・・・。」

スフィンクス
(戻ってくる)

スフィンクスの妻
「ん?どうしたの?」

スフィンクス
「(手を出しながら)お金。」

スフィンクスの妻
「あ、牛乳代?」

スフィンクス
「違う。100万円。」

スフィンクスの妻
「あっさり解かれてるじゃない!!」

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

意外とこのブログで扱ったことのなかったスフィンクス。

彼もなかなかコントに使えそうなアイディアがありそうです。

 

【上演メモ】

人数:3人

スフィンクス

スフィンクスの妻

旅人

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★☆☆☆☆
備考:冒頭だけスフィンクスと旅人を舞台上に上げて、コント中盤からはスフィンクスと妻の2人を上げる構成のイメージで書きました。

オチのセリフを際立たせるためにも、スフィンクスが旅人に問題を差し替えてるところは舞台上で演じないほうがいいかなと。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】ウィリアム・テル ~エピソード0~
【コント】ヒーローインタビュー
【コント】マーメイド
【コント】弟子入り
【コント】正しい桃の選び方

 

 

 

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