桃太郎
（店内の桃を見て回っている）
店員
「いらっしゃいませ。桃をお探しですか？」
桃太郎
「はい。」
店員
「もしよろしければ、私の方でご案内いたしますが・・・」
桃太郎
「あ、よろしくおねがいします。」
店員
「今回は業務用か何かでしょうか・・・？」
桃太郎
「そうですね。鬼が島の鬼が悪さをしているって聞いて、
そろそろ桃で流れておじいさんおばあさんに拾ってもらおうかと思ってるのですが・・・
ただ、どの桃を選んだらいいかなぁと・・・」
店員
「なるほど。
んー、お客様の体型ですと、こちらのサイズなんかいかがでしょうか？」
桃太郎
「これですか？
ちょっと入ってみていいですか？」
店員
「どうぞ。」
桃太郎
（桃に入る）
店員
「いかがですか？
わりとゆったりめに作ってあるんで、苦しくはないかと思うのですが。」
桃太郎
「そうですね。結構、中は広いですね。」
店員
「じゃあ、出てきていただいて・・・」
桃太郎
「ん・・・開かない・・・」
店員
「開けるにはコツがいるんですけど、ちょっと力を入れていただいて」
桃太郎
「あ、開いた。
開けるには結構、力がいりますね。」
店員
「そうですね。
以前は桃を開ける際のおじいさんおばあさんへの負担を少なくするという意味で
割と簡単に開いてたのですが、
最近は力を入れないと開かない仕組みの桃が多いですね。」
桃太郎
「あー・・・
以前、友人がおじいさんおばあさんに拾ってもらったことがあるんですけど、
そのとき、おじいさんおばあさんが桃を開けられなくて、
結局、川に再リリースされたって話を聞いたんで、
できれば、開けやすい桃がいいんですが・・・」
店員
「これには事情がありまして、
数年前に桃が店頭から一斉回収されたってニュースがあったじゃないですか。」
桃太郎
「あ、５年くらい前？」
店員
「はい。
あれ、川で流れている最中に桃が開いてしまう事象が多発しまして、
政府から注意が入ったんですね。」
桃太郎
「ニュースで見ました。
『桃からはみ出た桃太郎、全国で多発』って。」
店員
「なので、それ以来、開ける部分は頑丈に作られるようになってますね。」
桃太郎
「そうなんだ・・・」
店員
「開けやすいって意味では、最近はファスナータイプが人気ですね。」
桃太郎
「ファスナー？」
店員
「こちらになるんですけど、内側からも、外側からもファスナーで開けられるんで便利ですね。」
桃太郎
「あ、いいですね。これ。」
店員
「ただ、注意していただきたいのは、隙間が開くと、そこから水が漏れてしまうんですね。
ファスナーって結構、端まで閉めない方いらっしゃるので。」
桃太郎
「なるほど。」
店員
「あと、見た目こだわります？」
桃太郎
「そうですね。
やっぱりカッコいい桃がいいですね。」
店員
「であれば、こちらのアメリカ産の桃とかどうでしょう？」
桃太郎
「あ、カッコいい。」
店員
「はい。
サイズも全体的に大き目で、入り心地は快適かと思います。」
桃太郎
「あ、これいいですね。」
店員
「ただ、お客様がちょっと懸念される点として、
流れるときに『どんぶらこ』って言わないんですね。」
桃太郎
「なんて言うんですか？」
店員
「『Don't blood!! Don't blood!!』って言います。」
桃太郎
「それはちょっとヤダなぁ・・・
『Don't blood!!』の意味もわからないし。」
店員
「意味はわかりませんが、なんか争いを好まないって感じしますよね。
まぁ、『どんぶらこ』も意味わからないし、という理由でご購入される方いらっしゃいますね。」
桃太郎
「でも、やっぱり『どんぶらこ』でいきたいですね。」
店員
「そうですか。
ちなみに、流れる川に激流ポイントとかございますか？」
桃太郎
「途中に数ヶ所あります。」
店員
「なるほど。でしたら、エアバッグ搭載の桃がよろしいかと思います。
結構、桃の中でケガをされるお客様もいらっしゃいますので。」
桃太郎
「あー、内部に頭をぶつけることとかありますからね。」
店員
「あと、おばあさんの前にぴったり停まりたい方のために、
最近では、アラウンドビューモニターがついている桃が人気ですね。」
桃太郎
「アラウンドビューモニター？」
店員
「最近ＣＭでやってる桃を上から見下ろした画面がモニターに表示される機能です。」
桃太郎
「あ、ダーツのＣＭの。」
店員
「それです。
こちらがその桃になるのですが・・・」
桃太郎
「あ、これか。
カッコいい、これ！！」
店員
「結構、運転が苦手な方でも、目的の場所に停められるってことで、
最近、人気ですね。」
桃太郎
「あ、いいですね、これ。
これください。」
店員
「ご購入で。
ありがとうございます。
では、奥のコーナーで書類を記入していただきます。
本日、身分証の方はございますか？」
桃太郎
「免許証があります。」
店員
「でしたら、契約の方はスムーズに進みますので、
奥のコーナーでお待ちください。」
桃太郎
「はい。（奥に入っていく）」
（店に十二単を着た女性が入ってくる）
店員
「いらっしゃいませ。」
女性
「（店内の商品を手に取る）これじゃない・・・」
店員
「・・・。」
女性
「（店内の商品を手に取る）これは大きすぎかな・・・」
店員
「お客様、竹をお探しですか？」
かぐや姫
「はい。」
【コント・セルフ・ライナーノーツ】
最近、スーツを買ったり、部屋を探したりで
店員さんとの１対１のやりとりが多かったので、
このやりとりで何か作れないかと考えました。
ちなみに、来週引っ越しです。
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