織田
「さてと・・・(帰ろうとする)」
鈴木
「織田!(走ってやってくる)」
織田
「ん?」
鈴木
「もう帰るのか?」
織田
「あぁ。」
鈴木
「これ、みんなで書いたんだ!
もらってくれ!(色紙を取り出す)」
織田
(色紙を受け取る)
鈴木
「バイトのみんな全員で書いた寄せ書きだ!」
織田
「いや、こういうのやめてくれよ。(突き返す)」
鈴木
「みんな、お前がいなくなるのは寂しいって。(再び渡す)」
織田
「いや、ホントやめてくれって。(突き返す)」
鈴木
「みんな、名残惜しいんだよ。
もちろん、俺も。(渡す)」
織田
「ホント、いらないから。」
鈴木
「もらってくれよ!」
織田
「いらない。」
鈴木
「もらってくれって!」
織田
「いや、俺、別にここをやめるわけじゃないから!」
鈴木
「・・・。」
織田
「今日のバイトが終わったから帰るだけだから!」
鈴木
「・・・。」
織田
「明日も普通に来るし!」
鈴木
「・・・うん。だから、寄せ書き!(渡す)」
織田
「いや、だからいらないって!
ただ帰るだけ。
大丈夫。明日も来る。ちゃんとくる。
今日は時間いっぱい働いたから帰るだけ。」
鈴木
「帰るんだろ?」
織田
「あぁ。」
鈴木
「寄せ書き!」
織田
「だからなんで?
どういう環境で育ったの?」
鈴木
「みんなの想いが詰まってるから!
飛行機の中で読んで。」
織田
「いや、乗らないよ、飛行機。
俺、どこからバイトに来てると思われてるんだよ。」
鈴木
「もらってくれよ!
部屋に飾ってくれよ!」
織田
「いやだよ!」
鈴木
「なんでだよ!」
織田
「だいたいわかるだろ!」
鈴木
「わからないよ!」
織田
「もう部屋が寄せ書きだらけなんだよ!」
鈴木
「・・・。」
織田
「なんでここの職場、帰るたびに寄せ書きくれるんだよ!」
鈴木
「・・・。」
織田
「最初は『歓迎なのかな』って思って持って帰って部屋に飾ったけど、
その次の日も、更にその次の日も、毎日続いたんだぞ!
毎日帰り際に寄せ書き渡されたんだぞ!」
鈴木
「はい!今日の分!」
織田
「『今日の分』じゃないよ!
何で毎日寄せ書きもらわないといけないんだよ。
しかも、内容見ると毎日違うよな。」
鈴木
「毎回書いてもらってるから。」
織田
「最初こそ、『今までありがとう』とか、『一生忘れません』とか寄せ書きっぽかったけど・・・。
まぁ、それはそれでおかしいんだけど・・・。
最近は書くことなくなったのか、『今日はカレー食べます』とか、『今度脱出ゲーム行きます』とか、
少年雑誌の目次ページにある作者の一言コーナーみたいになってるじゃないか。」
鈴木
「いいじゃん。はい、今週号。」
織田
「だから、いらないって。
俺、何が楽しくてバイトメンバーの近況が書かれた寄せ書き、たくさん持ってんだよ。」
鈴木
「もらってくれよ!
俺たち、その程度の仲なのかよ!」
織田
「その程度の仲だよ!
逆に毎日、寄せ書きをもらう仲ってなんだよ!
家族や恋人でもやらないぞ!」
鈴木
「やらないの?!」
織田
「やってんの?!」
鈴木
「やってる。いつも帰り際に渡す。」
織田
「最後の寄せ書きのせいで、その一日台無しじゃん。」
鈴木
「この前の誕生日には、寄せ書きが書かれたTシャツあげた。」
織田
「なに、その鳥人間コンテストとかで見るやつ。」
鈴木
「あ、そういえば、昨日何も言わずに帰ったよな。
あれはなんで?」
織田
「寄せ書きをもらいたくないからだよ!」
鈴木
「これ、昨日のやつ。」
織田
「いらないよ。
ロッカーに貼ってあったから、机の上に置いて帰ってきたのに。」
鈴木
「あ、おとといも黙って帰ったな。
なんで?」
織田
「だいたいわかるだろ!
理由は一個しかないよ。」
鈴木
「仕方ない。
今日、三日分出しておくから。」
織田
「お薬かよ!
なんだよ、寄せ書き三日分って!」
鈴木
「せっかくみんなに書いてもらったから。」
織田
「ホントいらないって。
色紙代だってバカにならないだろ?」
鈴木
「それはもちろん給料から天引き・・・。」
織田
「なんでもちろん給料から天引きするんだよ!」
鈴木
「じゃあ、気をつけて!」
織田
「マジかー・・・。天引きされてるのかー・・・。」
鈴木
「元気でな!」
織田
「はいはい。」
鈴木
「向こうに行っても俺たちのこと忘れるなよ!」
織田
「忘れられないよ、強烈だから!」
鈴木
「手紙書いて送る!」
織田
「送るな!
寄せ書きの処理だけで手いっぱいだから!」
鈴木
「住むところが決まったら教えてくれ!」
織田
「住所は履歴書に書いてるよ!」
(織田の家)
織田
「はぁ。どうするよ、この寄せ書き。
壁はもう一杯だし・・・。
空いてるのは・・・天井か?」
インターホン
「ピンポーン。」
織田
「ん、誰だろ。
はーい(扉を開ける)。」
鈴木
「(大きなカバンを持って入ってくる)来ちゃった!」
織田
「地元の彼女の上京か!」
普通に帰るだけなのに、寄せ書きを渡してくれる人という設定から広げていったコントです。
雰囲気的にバイきんぐのコントに近いかも。そう思って読んでみると、また違って見えるかもしれません。
さて、5月6日でこのブログも7周年。いよいよ8年目に突入です。
まだまだアイディアある限り続きますよ。
読むブログというだけではなく、コント台本集としても少しずつ認知されてきた『アタフタ君の下北沢コントシアター』。
令和もよろしくお願いします。
人数:2人
織田
鈴木
所要時間:4分~5分
上演難易度:★☆☆☆☆
備考:色紙が1枚あればできるコント。周りの風景は見ている人の想像でカバーできるので、あとはセリフを覚えるだけです。
上演難易度は低いと思います。
【コント】ピノキオの鼻
【コント】オオカミ少年
【コント】ロミオとジュリエット
【コント】ブラックジャック
【コント】ランプの魔人#2
お題コントのお題を募集しています。
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