新入社員
「というわけで、3ヶ月の研修を終え、本日から開発部で働かせていただきます。」

社長
「うん。」

新入社員
「まだまだ至らない部分がありますが、よろしくお願いします。」

社長
「うん。がんばるんだよ。」

新入社員
「はい!」

少年の声
「(外から声がする)わー!」

社長
「何か目標はあるかね?」

新入社員
「そうですね・・・」

少年の声
「(外から声がする)わーーーーっ!!」

新入社員
「・・・外が騒がしいですね。」

社長
「気にしなくていいよ。」

新入社員
「あ、はい。目標ですよね。」

少年の声
「(外から声がする)オオカミが来たぞーーっ!」

新入社員
「?!

 『オオカミが来た』って言ってますよ?!」

社長
「いや、大丈夫だ。」

新入社員
「でも、オオカミですよ?!」

社長
「キャサリン。」

キャサリン
「(社長の隣に立っている)Yes, Boss.
 (手帳を見る)彼はこの街でも有名な嘘つきで、
 『オオカミが来た』という嘘だけでも、今月、8回目です。」

新入社員
「あ、大嘘つきなんですね。」

社長
「だから、気にしなくていい。続けなさい。」

新入社員
「あ、はい。目標ですよね。

 とりあえず、仕事に慣れてないので・・・」

少年の声
「(外から声がする)オオカミ来てるよー!本当に来てるよー!」

新入社員
「仕事に慣れるために・・・」

少年の声
「(外から声がする)ちょっと!ちょっと誰か!

 マジ!今回はマジ!」

新入社員
「(窓の方を見て)・・・大丈夫ですか?」

社長
「キャサリン。」

キャサリン
「Yes, Boss.
 (手帳を見る)彼は演劇部に所属しており、
 演劇発表会で優秀賞を取るほどの演技派です。」

新入社員
「あぁ、アレ演技なんですね。」

社長
「続けて。」

新入社員
「はい。仕事に慣れるために・・・」

少年の声
「(外から声がする)ちょっと!大切な羊が!
 田口さん!羊食われてる!田口さん!羊!羊!」

新入社員
「(窓の方を見て)・・・さすがに本当じゃないですか?」

社長
「キャサリン。」

キャサリン
「Yes, Boss.
 (手帳を見る)誰かの羊を食べられたというのは、彼の常套手段で、田口さんの羊は今回で5回目。
 他にも、藤崎さんの羊、加納さんの羊、森田さんの羊も過去に食べられたと嘘をつかれたことがあります。」

新入社員
「なるほど。お決まりなんですね。」

社長
「続けて。」

新入社員
「はい。先輩からの指示や指導内容をメモして・・・」

少年の声
「(外から声がする)ちょっと!こっち来ないで!
 痛い痛い痛い!噛むな!やめろ!俺はおいしくないから!」

新入社員
「(窓の方を見て)・・・襲われてますよ?」

社長
「キャサリン。」

キャサリン
「Yes, Boss.
 (手帳を見る)以前、血のりまで用意して、オオカミに襲われたという演技をしたことがあります。
 心配になった大人が駆けつけると、無傷の少年が両手を広げて、
 『てってれー!』とドヤ顔でネタばらしをしました。」

新入社員
「それはムカつきますね。」

社長
「続けて。」

新入社員
「溜まったメモ内容を・・・」

少年の声
「(外から声がする)ちょっと!やめろ!丸呑みやめろ!
 喰われる!喰われる!喰われ・・・」

新入社員
「(窓の外を見る)・・・。」

社長
「(窓の外を見る)・・・。」

キャサリン
「(窓の外を見る)・・・。」


(外から声がしない)


新入社員
「(窓の外を見る)・・・さすがに食べられたんじゃないですか?」

社長
「キャサリン。」

キャサリン
「Yes, Boss.
 (手帳を見る)実際に食べられたあと、お腹から出てきて、
 両手を広げて、『てってれー!』とネタばらしをされたことがあります。」

新入社員
「過去に前例あるんですね。

 何なんですか、そのドッキリに駆ける情熱。」

社長
「続けて。」

新入社員
「はい。」


(窓の外から救急車のサイレンの音がする)


新入社員
「(一瞬、窓の方を見て)先輩からの指示や指導内容をメモして・・・」

救急隊員の声
「(外から声がする)担架あるー?!」

新入社員
「(一瞬、窓の方を見て)メモ内容が溜まったら・・・」

救急隊員の声
「(外から声がする)よし、救急車に運ぶよー。」

新入社員
「(窓の方を見て)・・・さすがに本当なんじゃないですか?!」

社長
「キャサリン。」

キャサリン
「Yes, Boss.
 (手帳を見る)実際の救急車やパトカーを巻き込んだウソも過去に行われていて、
 病院に搬送されている最中に、両手を広げて

 『てってれー!』という声と同時にドヤ顔で起き上がったことがあります。」

新入社員
「もう、ひどいな・・・」

社長
「彼のことは無視して。」

新入社員
「はい。」

社長
「続けて。」

新入社員
「先輩からの指導内容を今後に活かすために・・・」


(外からお経が聞こえてくる)


新入社員
「(窓の方を見て)死んだ?!」

社長
「キャサリン。」

キャサリン
「Yes, Boss.
 (手帳を見る)葬儀まで開いて、実はウソだった、というドッキリも過去に実績があります。
 出棺の直前、棺が開いて、両手を広げて『てってれー!』とドヤ顔で出てきたことがあります。」

新入社員
「そんな実績もあるんだ・・・。(窓の方を見る)」


(外からお経が聞こえている)


新入社員
「でも、これは本当かも・・・。」

社長
「キャサリン。」

キャサリン
「Yes, Boss.
 (手帳を見る)過去、一番手が込んだドッキリが、葬儀を終え、火葬も終え、
 三回忌の場で後ろからそーっと参列客に近づいて、
 両手を広げてドヤ顔で『てってれー!』とネタばらしをしたことがあります。」

新入社員
「そのために2年潜伏してたんだ・・・。(窓の方を見る)」


(外からお経が聞こえている)


新入社員
「でも、これは本当かもしれない!(外に向かって走って行く)」

社長
「いや、行かなくても大丈夫だから・・・!!

 あぁ、行っちゃった・・・。」

新入社員
「(外から声がする)大丈夫ですか?!」

少年の声
「(外から声がする)てってれー!」


(外から殴る音)


少年の声
「(外から声がする)痛い!痛い!すみませんでした!すみませんでした!」

社長
「やっぱりウソだったか。」

新入社員
「(部屋に戻ってくる)あのドヤ顔、腹立つわー!」

社長
「だから言ったのに・・・。なぁ、キャサリン。」

キャサリン
「Yes, Boss.」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

 

主人公のオオカミ少年が一度も姿を見せず、周りの人間たちにスポットを当てたコント。

 

 

 

誰にも信用されなくなったオオカミ少年の末路はおそらく、こんな感じです。

 

 

 

【上演メモ】

 

人数:3~5人

 

新入社員

 

社長

 

キャサリン

 

少年

 

救急隊員

 

 

 

所要時間:4分~5分
難易度:★★☆☆☆
備考:窓の外から声がするというのを表現するため、(あと、新入社員たちが窓の方を見る演出があるため、)窓のセットはあった方がいいと思います。

 

少年と救急隊員はあらかじめ録音しておけば、3人でいけます。

 

 

 

【お知らせ】

 

7月はオール新作コントを公開していく予定です。

 

よろしくお願いします。

 


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(もふもふって名前ですが、僕です。

 

コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
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