#2のコントですが、独立しているので、

#1を読んでいなくても楽しめます。

 

ちなみに、#1はこちら

 


 

厚木

(喫茶店で座ってコーヒーを飲んでいる)

荻沢
「(喫茶店に入ってくる)おぅ、厚木。話ってなんだよ。」

厚木
「おぉ、荻沢。

 まぁ、とりあえず座って。」

荻沢
「あぁ。

 (ウェイターに)アイスコーヒー。」

ウェイター
「かしこまりました。」


(厚木の後ろにはたくさんの男たちが荻沢を見ながら立っている。)


厚木
「で、話なんだけど・・・。」

荻沢
「そ、その前に厚木。」

厚木
「ん?」

荻沢
「後ろの人たちは、誰?」

厚木
「あぁ。40人の盗賊。」

荻沢
「40人の盗賊?」

厚木
「そう。」

荻沢
「アリババの?」

厚木
「アリババの。」

荻沢
「全員?」

厚木
「全員。」

荻沢
「何でここにいるの?」

厚木
「あぁ。それに関する話なんだよ。お前を呼んだのは。」

荻沢
「そうなんだ。」

厚木
「この前、町の外れを散歩してたんだ。」

荻沢
「うん。」

厚木
「そしたら、40人の盗賊たちが木陰で居眠りをしてたんだよ。」

荻沢
「うん。」

厚木
「で、そのまま無視して通り過ぎようとしたら、

 1人が目を覚まして、俺を見るなり、『親方!』って叫んで、こっちにやってきたんだよ。」

荻沢
「親方?」

厚木
「うん。

 そして、その声で目が覚めた残りの盗賊たちも、

 目が覚めるなり、俺を見て『親方!』と叫んで、俺の元に走ってくるんだよ。」

荻沢
「ほうほう。」

厚木
「で、結果、これだよ。」

荻沢
「ついてきちゃったの?」

厚木
「ついてきちゃった。」

荻沢
「起きて目が合うなり?」

厚木
「起きて目が合うなり。」

荻沢
「『親方!』って言って?」

厚木
「『親方!』って言って。」

荻沢
「え、何?盗賊って、刷り込みの性質でもあるの?

 起きて最初に見たものを親方と思い込むとか。」

厚木
「わからない。

 で、ここからが本題なんだけど。」

荻沢
「なんだよ。」

厚木
「3人もらってくれない?」

荻沢
「何でだよ。

 何で、俺が突然、3人の盗賊の親方にならないといけないんだよ。」

厚木
「俺、親方の経験ないんだよ。」

荻沢
「俺だってないよ。

 何で俺に親方の経験があると思ったんだよ。」

厚木
「40人も養えきれないんだよ。」

荻沢
「それはわかるよ。

 40人養うって、もはや中小企業のレベルだよ。」

盗賊
「(店の奥から)ひらけごま!」

厚木
「頼むよ!」

荻沢
「イヤです!」

盗賊
「(店の奥から)ひらけごま!」

厚木
「この通り!」

荻沢
「無理です!」

盗賊
「(店の奥から)ひらけごま!」

厚木
「じゃあ3人じゃなくていい!2人で!」

荻沢
「人数の問題じゃないんだよ!」

盗賊
「(店の奥から)ひらけごま!」

厚木
「ちょっと待って。ちょっと待ってて。(店の奥に向かう)」


(厚木、盗賊を一人連れて戻ってくる)


厚木
「(盗賊に)いい?

 あのドアは『staff only』って書いてあるから、『ひらけごま!』って言っても開かないんだよ。」

盗賊
「(厚木に)ひらけごま!」

厚木
「・・・うん。

 何で俺に『ひらけごま!』って言ったのかわからないけど、

 その言葉、多分、万能じゃないから。」

盗賊
(うなずく)

厚木
「よし、いい子だ。

 (席に座り)3人もらってくれない?」

荻沢
「絶対イヤだよ。

 今のようなやりとりが日常茶飯事なんだろ?」

厚木
「いや、それほど多くないよ。

 1日1回くらい。」

荻沢
「それでも多いんだよ。」

バイブ音
「ウィーン。ウィーン。ウィーン。」

盗賊2
「もしもし。40人の盗賊のうちの1人です。

 はい。あ、産まれた!?

 妻は?母子ともに健康!ありがとうございます!」

厚木
「どうしたの?」

盗賊2
「子供が産まれました。」

厚木
「ごめん、41人の盗賊になった。」

荻沢
「おめでたい。

 おめでたいけど、俺には養えない。」

バイブ音
「ウィーン。ウィーン。」

盗賊3
「もしもし。あ、看護士さん。産まれた?!

 (厚木に)親方!俺のところも産まれました!」

バイブ音
「ウィーン。ウィーン。」

盗賊4
「もしもし。産まれた?!

 (厚木に)すみません!こっちも産まれました!」

バイブ音
「ウィーン。ウィーン。」

盗賊5
「もしもし。

 (厚木に)すみません!こっちもです。」

厚木
「44人になった。」

荻沢
「今、お前たちの間で何が起こったんだよ!

 1分の間に4人出産って!」

厚木
「5人もらってくれない?」

荻沢
「比例して人数増やすなよ!

 3人の時点で嫌がってるのに!

 なんなら、1人ですらダメだからね!」

厚木
「あ、こうしよう!」

荻沢
「何?」

厚木
「ジャンケンして、グーで勝ったら3人もらう。

 チョキで勝ったら6人もらう。

 パーで勝ったら6人もらう。

 どう?」

荻沢
「『どう?』じゃないよ。

 俺に何のメリットもないじゃん!」

厚木
「ジャーンケーン・・・!」

荻沢
「やるの?!やるの?!」

厚木
「ポン!」

荻沢
「あぁ!チョキで勝った・・・!」

盗賊たち
「よろしくお願いしまーす。(厚木から荻沢の背後に移動する)」

荻沢
「6人こっち来た。

 笑顔でこっち来た。

 これ、そもそも勝ったらもらうの?

 負けたらじゃなくて。」

厚木
「勝ったらです。

 では、2回戦。

 ジャーンケーン・・・!」

荻沢
「2回戦あるの?連戦なの?」

厚木
「ポン!」

荻沢
「あぁ!今度はグーで勝った・・・!」

盗賊たち
「よろしくお願いしまーす。(厚木から荻沢の背後に移動する)」

荻沢
「あぁ、でも3人移動で済んだ。

 何だろう、今となっては、3人の時点で手を打っておけばよかったと思うようになってきた。」

厚木
「ジャーンケーン・・・」
 


15分後



荻沢
(身構えている)

厚木
(身構えている)

荻沢
「・・・今の時点で厚木は盗賊17人。俺は盗賊27人。

 俺の方が養う人間が増えている。

 何とかしなければ。」

アリババ
「(喫茶店に入ってくる)おーい!俺の部下たちはいねぇか!」

荻沢
「何だ、あの人。」

厚木
「あの人がアリババ。この盗賊たちの元親方。」

アリババ
「(盗賊たちを見つけ)お!こんなところにいたのか!

 早くアジトに帰るぞ!」

厚木
「待ってください!」

アリババ
「何だ、お前は!」

厚木
「厚木と17人の盗賊です!」

荻沢
「あ、そうやって名乗るんだ。」

アリババ
「コイツは?」

厚木
「荻沢と27人の盗賊です!」

荻沢
「いや、返しますよ、27人。」

厚木
「ちなみに、さっき4人産まれたので合計で44人になります。」

荻沢
「そうだね。その報告必要だね。」

アリババ
「ソイツらは俺の盗賊だ!返してもらおうか?!」

厚木
「ダメですよ。アリババと0人の盗賊さん。」

アリババ
「がーん!」

荻沢
「メンタルが弱い!

 盗賊の数が心の支えだったんだ。」

アリババ
「返せ!俺の部下を返せ!」

厚木
「ジャンケンで勝ったら返しますよ。」

荻沢
「いや、普通に返しますよ。」

アリババ
「よーし!ジャーンケーン・・・!」

荻沢
「乗るんだね?!」

厚木
「ポン!」

荻沢
「あぁ、また、パーで勝った・・・。」

盗賊たち
「よろしくお願いしまーす。(厚木から荻沢の背後に移動する)」

荻沢
「厚木から俺に6人移動・・・!」

アリババ
「まだまだ!」

荻沢
「やるんだね?!」

アリババ
「ジャーンケーン・・・!」
 


15分後



荻沢
(頭を抱えている)


(荻沢の後ろに盗賊たち全員とアリババと厚木が立っている。)


荻沢
「悪夢だ・・・。」

厚木アリババ盗賊たち
「よろしくお願いしまーす!」

荻沢
「まさか、厚木とアリババも含めて、全員こっちに来るなんて・・・。」

厚木アリババ盗賊たち
「よろしくお願いしまーす!」

荻沢
「現実を受け入れられない・・・。」

厚木アリババ盗賊たち
「よろしくお願いしまーす!」

荻沢
「心を閉ざしてしまいそう・・・。」

厚木
「閉ざしてしまった心には?!」

厚木アリババ盗賊たち
「ひらけごま!」

荻沢
「万能だな、その言葉!」

 

 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

40人の盗賊がついてきてしまい、処理に困って「3人もらってくれない?」というセリフを思いついたところから始まったコントです。

お気に入りのツッコミがいくつか入った楽しいコントになりました。

 

【上演メモ】

人数:3人以上

厚木

荻沢

アリババ

盗賊たち

ウェイター

 

所要時間:6分~8分
所要時間:★★☆☆☆
備考:盗賊たちの移動などをどう表現するかが難しいところです。何人かは舞台上にいないと伝わりづらいですが、かといって40人上げるわけにもいかず、実際に人を動かしてみて確認だと思います。

ウェイター役は任意ですね。いなくてもいいと思います。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】カウントダウン
【コント】白雪姫と七人の小人
【コント】赤ずきんちゃんが聞く
【コント】天使と悪魔の2択の話#4
【コント】黄門さまのおさばき#2

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

(内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。ご了承ください。)

 

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(もふもふって名前ですが、僕です。

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