先生
「えーと、今日の三者面談は残り・・・、黄田親子と有馬親子の2組か。
 あと少しだな。
 (外に向かって)黄田、親御さん、お入りください。」

翔太
「(入ってくる)失礼します。」

レンジャーイエロー
「(入ってくる)失礼します。」

先生
「えーと。

 (レンジャーイエローを見て)えーと・・・?」

翔太
「あ、父です。」

レンジャーイエロー
「黄田翔太の父です。」

先生
「えーと、その格好は・・・。」

レンジャーイエロー
「あ、仕事着です。」

先生
「仕事着?」

翔太
「父は戦隊もののイエローなんです。」

レンジャーイエロー
「レンジャーイエローです。」

先生
「あ、ヒーローショーのスーツアクターか何かを・・・?」

レンジャーイエロー
「いえ、マジのやつです。」

先生
「マジのやつ?」

レンジャーイエロー
「地球を征服しようとしている悪の組織と日々戦っています。」

先生
「悪の組織と戦っている・・・。」

レンジャーイエロー
「あ、私のことはいいので、息子の話を・・・。」

先生
「あ、いや、えーと、あの、はい・・・。」

レンジャーイエロー
「翔太の学校での生活態度はどうですか?」

先生
「・・・え、あ、そうですね。
 特に問題ありません。
 学習態度もマジメですし、成績もいいですし。」

レンジャーイエロー
「そうですか。」

先生
「この調子なら、志望の進学校にも受かるでしょう。」

レンジャーイエロー
「ん?進学校・・・?」

先生
「はい。都内随一の進学校に・・・。」

レンジャーイエロー
「翔太。お前、将来は父さんの跡を継ぐんじゃなかったのか?」

先生
「跡を継ぐって、二代目レンジャーイエローってことですか?」

翔太
「父さん。
 父さんには言ってなかったけど、僕、イエローの跡は継がない。」

レンジャーイエロー
「何だと・・・?」

翔太
「僕、弁護士になる!」

レンジャーイエロー
「何をバカなことを!
 先生!
 先生からも言ってあげてください。」

先生
「いや、弁護士とレンジャーイエロー、
 どっちがバカなことかと言われたら、
 レンジャーイエローの方がバカかなと思いますけど。」

レンジャーイエロー
「翔太。
 戦隊ものは大変な仕事だ。
 常に危険と隣り合わせだ。
 だが、怪人を倒したときの喜びは何事にも変えられない達成感がある!」

翔太
「父さん。
 父さんはいつも問答無用で怪人を木っ端微塵にして喜んでるけど、
 怪人にも人生があると思うんだ。
 更生すれば、きっとやり直せる。
 僕はそのお手伝いがしたいんだ。」

レンジャーイエロー
「先生!先生からも言ってあげてください!」

先生
「いや・・・、問答無用で木っ端微塵より、
 翔太くんの方が大人な対応だと思いますけどね・・・。」

レンジャーイエロー
「翔太。
 弁護士になるにはものすごく勉強しないといけないんだ。
 司法試験も受けないといけないし。
 正直、現実離れしすぎてて、実感が沸かないよ。」

先生
「すみません。
 レンジャーイエローの方が、
 よっぽど現実離れしてる気がするんですけど。」

翔太
「進学のための学費は、収入がない父さんには払えないから、バイトで捻出する。」

先生
「え、お父さん、収入ないんですか?」

レンジャーイエロー
「はい。」

先生
「あ、きっぱりと。」

レンジャーイエロー
「秘密基地の入り口に募金箱が設置してあって、
 そこに入ったお金をメンバーで分け合います。」

先生
「お金入ることあるんですか?」

レンジャーイエロー
「秘密基地ですからねぇ。
 場所は一般に公開されてないんで、基本入らないですね。
 あ、でもこの前、秘密基地の前に、
 5人分のランドセルと『タイガーマスク』って書かれた手紙が置いてあったことがあります。」

先生
「そんなニュース、数年前にあったな。」

レンジャーイエロー
「翔太、お父さんの仕事を継ぎなさい!」

先生
「いや、お父さん。
 この状況で『仕事を継げ』って言っても、なんの説得力もないですよ。」

電子音
「ピピピピ・・・!ピピピピ・・・!」

レンジャーイエロー
「はい、イエロー。
 何?!採掘場でハリネズミ怪人が暴れてるって?!
 わかった!すぐに向かう!」

先生
「お仕事ですか?」

レンジャーイエロー
「5分で戻ります。
 面談を続けていてください。(走って、外に出ていく)」

先生
「・・・いつもこんな感じなのか?」

翔太
「僕が小さい頃から。」

先生
「怪人を倒したら、報酬が出るとか?」

翔太
「NPO法人なんで、メンバーに分配されることはないです。」

先生
「戦隊ものってNPOなんだ。」

爆発音
「(遠くの方で)ドカーーーーン!!」

先生
「(爆発した方を見て)倒したかな?」

レンジャーイエロー
「(戻ってくる)今、戻りました。」

先生
「お疲れ様です。」

レンジャーイエロー
「何の話でしたっけ?」

先生
「お父さんの収入の話を。」

レンジャーイエロー
「あ、収入はないです。NPO法人なんで。」

先生
「はい。さっき翔太くんから聞きました。
 お母さんは・・・?」

レンジャーイエロー
「妻は・・・出て行きました・・・。」

先生
「あ・・・、すみません・・・。」

電子音
「ピピピピ・・・!ピピピピ・・・!」

レンジャーイエロー
「はい、イエロー。
 何?!今度はアルマジロ怪人が採掘場で暴れてるって?!
 わかった!すぐに向かう!」

先生
「大変ですね。」

レンジャーイエロー
「5分で戻ります。(外に出ていく)」

先生
「お母さん、いないんだ。」

翔太
「僕が5才のときに・・・。」

先生
「そうなんだ。」

翔太
「今、父さんはピンクを狙ってる。」

先生
「ピンク?」

翔太
「メンバー唯一の女の人。」

先生
「あぁ。」

翔太
「ただ、ピンクはブルーと付き合ってて、他のメンバー公認の仲。」

先生
「そうなの?」

翔太
「でも、父さんは『まだ、ワンチャンある』って。」

先生
「何を以って『ワンチャンある』って言ってるんだろう。」

爆発音
「(遠くの方で)ドカーーーーン!!」

先生
「(爆発した方を見て)あ、倒したみたいだ。」

レンジャーイエロー
「(頬を手でおさえながら、戻ってくる)今、戻りました。」

先生
「お疲れ様です。」

レンジャーイエロー
(頬を手でおさえている)

先生
「頬、どうされたんですか?」

レンジャーイエロー
「アルマジロ怪人と戦ってる最中に、
 ピンクに何度も告白したんですけど、
 最終的に、平手打ちされました。」

先生
「そりゃ、されますよ。」

レンジャーイエロー
「まだ、ワンチャンある!」

先生
「無理です。」

レンジャーイエロー
「翔太!お父さんの跡を継ぎなさい!」

先生
「お父さん。」

レンジャーイエロー
「はい?」

先生
「無理です。」

レンジャーイエロー
「無理ですか。」

電子音
「ピピピピ・・・!ピピピピ・・・!」

レンジャーイエロー
「はい、イエロー。
 何?!採掘場に万引き犯が現れた?!
 わかった。すぐに向かう。」

先生
「万引き犯とも戦ってるんですね。」

レンジャーイエロー
「正義の味方ですから。」

先生
「何で、万引き犯は今、採掘場にいるんだろう。」

レンジャーイエロー
「5分で戻ります。(外に出ていく)」

先生
「いろんな敵と戦ってるんだな。」

翔太
「お金、出ないんですけどね。」

爆発音
「(遠くの方で)ドカーーーーン!!」

先生
「(爆発した方を見て)なんで?!なんで万引き犯爆破したの?!」

翔太
「更生すれば、まだ社会復帰できるハズだったのに・・・!(悔しそうに机を叩く)」

先生
「うん。黄田の弁護士になりたい気持ち、よくわかった。」

レンジャーイエロー
「(戻ってくる)今、戻りました。」

先生
「万引き犯も爆破なんですね。」

レンジャーイエロー
「はい。正義の味方なんで。」

先生
「なんだろう。
 絶妙に会話が噛み合ってない感があるんですけど。」

翔太
「とにかく、僕は中学を卒業したら、一人暮らしを始める。
 こんな、ニートと一緒に生活してても、苦しいだけだし。」

レンジャーイエロー
「こら!父さんに向かってニートとは何だ!
 ニートイエローと呼びなさい。」

翔太
「こんな、ニートイエローと一緒に生活してても、苦しいだけだし。」

レンジャーイエロー
「よし!」

先生
「『よし!』じゃないです。お父さん。」

レンジャーイエロー
「他に何かありますか?」

先生
「いえ。
 とりあえず、次回の三者面談までに、
 お子さんの進路、ご家族でよく話し合ってください。」

レンジャーイエロー
「わかりました。」

先生
「黄田。」

翔太
「はい。」

先生
「先生はお前の味方だから。」

翔太
「ありがとうございます!」

レンジャーイエロー
「翔太。」

翔太
「何?」

レンジャーイエロー
「父さんは正義の味方だから。」

翔太
「うるさい、ニート。(部屋を出ていく)」

レンジャーイエロー
「こら!ニートイエローと呼びなさい!(部屋を出ていく)」

先生
「いろんな職業があるんだな・・・。
 ・・・さてと。最後は有馬親子だな。
 (外に向かって)有馬、親御さん、お入りください。」

有馬
「(入ってくる)失礼します。」

アルマジロ怪人(有馬の父)
「(ボロボロの姿で入ってくる)し・・・、失礼します・・・。」

先生
「お父さん、大丈夫ですか?!」

アルマジロ怪人(有馬の父)
「すみません・・・。
 さっきまで、採掘場で戦ってたもので。」

先生
「あ、ニートと。」

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

三者面談は以前からコントに使えるなぁと思い、何かいい設定はないか考えていました。

そして、『お父さんは戦隊もの』という設定を思いつき、形にしたという流れです。

 

【上演メモ】

人数:5人

先生

レンジャーイエロー

翔太

アルマジロ怪人(有馬の父)

有馬

 

所要時間:4分~5分
難易度:★★★☆☆
備考:セットは机と椅子だけですが、レンジャーイエローとアルマジロ怪人の格好が面倒です。

アルマジロ怪人に至っては出番が一瞬なのに、一番、衣装に手間がかかるという・・・。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】お隣りさん
【お題コント】つくしともぐら
【コント】金田一少年の悩み
【お題コント】汗と涙のシンデレラストーリー
【お題コント】たまっち

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

(内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。ご了承ください。)

 

↓twitterです。

(もふもふって名前ですが、僕です。

コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
Twitter

↓こちらでも面白いブログがきっと見つかる!はず。
にほんブログ村 お笑いブログ 自作面白ネタへ
にほんブログ村


お笑い&ジョーク ブログランキングへ