良い病院の指標となるもの2
前回の"良い病院の指標となるもの1"の続きになります。前回の記事では、根拠に基づいた治療、ガイドラインに従った治療を行っている病院を一つの指標として探してみては?というお話をさせて頂きました。今回はそれに加え、さらにもう一歩踏み込んだところまで話を進めたいと思います。根拠に基づいた治療、ガイドラインに従った治療・・・今回はニキビを例に挙げますが、日本皮膚科学会が公開している「尋常性ざ瘡ガイドライン2017」によると、まず推奨度の高いもの(A~C2 ※Aが一番推奨度が高い)外用薬で言えば、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)、ディフェリンゲル(アダパレン)が推奨度がA。つまりまずニキビ治療の第一選択肢としてはこれらの薬が基本。さらにC1ないしC2になるが、上に挙げたような薬でもなかなかざ瘡の改善が見られない場合はケミカルピーリングを行っても良いとある。ただし、保険適用外であることに配慮する必要がある。他にも、スキンケア指導、ビタミン内服や、低用量ピル、レーザーなどの項目があるがどれも推奨度はC1ないしC2である。では、C2だと全く根拠のない治療で意味がないのかと言われれば、それは間違いである。どういう事かと言うと、患者のニキビの状態に応じて、薬や治療方針を決めていくため、例えば、1,2個ぽつっと出来ているようなニキビに関しては、クリダマイシンなどで十分だろうし、難治性のニキビに関してはガイドラインの推奨度に従って、治療を行うが、それでなかなか改善が見込めないようであれば、次はこの治療で。と選択肢がいくつも存在する。つまり推奨度はあくまでも推奨度。まず推奨度が高いものから試し、それで治ればおしまい。なかなか改善しなければC1~C2の推奨度である治療も視野に入れる。ただし保険適用外であったり、強い薬であればあるほど、患者と医師の間でしっかりとした信頼関係を持つことが重要なので、インフォームドコンセントをしっかり行う事が大事ということである。例えば、低用量ピルなどは推奨度C2だが、実際に物凄く効果がある。ホルモン療法と言う形で積極的に行う皮膚科も存在する。また日本のざ瘡ガイドラインには項目がないが、海外のガイドラインであれば、イソトレチノイン(アキュテイン)がここに入ってくる。もちろん効果は絶大だが、日本ではまだまだ取り扱っている皮膚科が少ない。また多数の副作用から、個人輸入などで自己判断で使う事はやめるようにと厚労省も注意喚起している。気になる病院の治療内容の項目に保険治療に加え、ケミカルピーリングやホルモン療法など、患者が幅広い治療内容から自身の納得のいく選択が出来る環境があることが大切であると思う。