提案しているアシナガバチの移設用巣箱も使いやすく進化しましたので、移設するマニュアル動画も新しくいたしました。巣箱の作り方は最後にリンクしてあります。
※屋根も格子巣門もない簡易な木箱でも充分です。

撮影してくれたのは、実家のハチミツ収穫のバイト仲間の松浦一成さんです。彼は、先月実際に移設を経験したので、大切なポイントを逃さずに的確に撮影してくれました。

移設にあたり、大切なことがありますので、あらためてここに書き加えておきます。必ず読んでいただきたいです。

1.巣の移設は巣が大きくなってから
作りたての巣だと母蜂の執着心が弱く、安易に巣を放棄しやすいです。また巣柄も弱く割り箸で挟みづらいです。あわてずに育房(巣穴)が15個以上(二週間以上)経ってから行うと成功率も高いです。攻撃を始める働き蜂の羽化は、山形だと6月中頃〜7月初め、温暖な地域でも6月初め〜中頃までは襲ってこない母蜂1匹です。慌てないで大丈夫です。
 

2.母蜂を巣に戻す時は、目の前で気づかせる。

巣箱に入れただけでは、逃げ出して早く巣に帰りたい気持ちが勝り、なかなか巣に気づいてくれません。必ずビニール越しに巣の目前まで誘導して気づかせます。ビニール袋は母蜂を痛めないよう、やわらかい薄手の30Lを使っています。

  

 

3.ひっこしは300m以上離れた場所に。短距離はNG!
アシナガバチの行動半径は50〜100mだそうです。ですから、記憶のある風景を見てしまうと元の巣の場所に戻ってしまい帰れなくなってしまうのです。ご自宅で営巣していた巣を飼ってみたいからと都合の良い敷地内に移動させて失敗する方がとても多いです。必ず300m以上離れた場所に移動させましょう。

●300m以上離れた場所に引っ越せる場所がない場合
野菜を作っている農園や家庭菜園をしている方に相談してみてください。(できれば無農薬栽培)「7〜8月に近づかなければめったに刺さないそうですし、フタモンアシナガバチは、一夏で2000匹のアオムシをキャベツ畑で狩るそうです」とお伝えください。きっと理解して受け入れてくださる農家さんがいらっしゃますよ。
 
4.どうしても短距離移動させたい時の方法
➀300m以上離れた知人宅にいったん預ける
母蜂は刺しませんから、友人の家に預かってもらって、働き蜂が数匹生まれたら返してもらうようにしてはいかがでしょう。働き蜂が生まれると母蜂は外に出なくなるので安心です。

②毎日20〜30cmずつ微移動させる。
巣箱へ移設した当日は巣のあった同じ場所に脚立や農業用コンテナを使って置きます。2日目からは母蜂が留守にしている間に、目的地に向けて一日30cm以内ずつ移動させます。その際、格子巣門は付けないで行ってください。

 

③学習させる
夕方蜂ごと敷地内の都合の良い場所に移動させます。翌朝、元の巣の場所で待っていて母蜂が戻ってくるのを待ちます。戻ってきたら捕虫網で捕獲してビニール袋に入れかえ移設時と同様、巣箱の巣の目の前で気づかせて戻します。これを何度も戻らなくなるまで繰り返します。1日付き合う位の覚悟が必要です。

 

5.遠くに引っ越すのは避けましょう。
同じ日本でも、種の保存状の問題があるかもしれません。場所により亜種がいる場合があります。自然形態の違う地域や、離島などには移動させないようにしてください。

 

6.慎重な移設作業を
母蜂はつかまない限り刺すことはありません。これまで刺されたこともありませんし、ビニール越しに刺激しても、お尻をねじ曲げ針を見せる行動すら見たことがありません。果敢に刺してくる働き蜂と大違いです。しかし、絶対はありません。アナフィラキシーショックで亡くなった方もいますので、移設は油断せずに注意して行ってください。

 

以上、どうぞよろしくお願いいたします。

動画はこちらです!

※動画中、試しに竹串を使って巣柄をはさんでいますが、
割り箸のほうがしっかり固定されるようです。

 

こちらも参考になさって下さい↓

移設巣箱の作り方


ストレスのない格子巣門の設置の仕方↓

 

一昨年の動画も参考にどうぞ↓


7月以降、働き蜂が生まれてからのひっこしの方法↓
※刺される場合があります。自己責任でお願いします。

 

捕獲リングを使って7月以降の巣を捕獲する↓

 

人工軸(巣柄)の作り方は



 

拙著「ハチ暮らし入門」にも詳しく紹介しました↓