父の恋

テーマ:

雁渡りをり八十の父の恋       荒木かず枝

父に話す本の粗筋水草生ふ      〃

 

私の父は母の亡き後の約15年を一人で暮らした

母を通さない父との会話に戸惑うものの慣れるのに

そう時間は掛からなかった

週に一度訪ねると見慣れない小皿が重ねて隅に置かれている

父の買うはずのない柄物の下着が竿にぶら下っている

父と私の間につまらない詮索など無用だった

むしろ、母以外の女性の好意を受け入れて

平然としている父を頼もしくさえ思った

 

本や映画の話をするとき

「どんな内容なんだ?」と簡単に言われても

掻い摘んで要点を話すにも要領がいる

娘の拙い話に眉一つ動かさず耳を傾ける父

私に父をまざまざと思い出させてくれた

かず枝さんに感謝、俳句に感謝ラブラブ!

 

 

 

 

星と水母の幻想的出逢い

テーマ:

星多き方へただよふ水母かな      荒木かず枝

 

詩的な表現をすると耽美的だ、季題趣味だと

しばしば指摘されるけれど、

抑えようもない作者の精神や資質が

作品となって結実するのだから仕方ない

かず枝さんの、歩いて得た沢山の写生句もいいけれど、

対局の、幻想世界に一刹那誘われるのもいいラブラブ!

 

 

 

 

煙草吸ふ左手ばかり冷えにけり      かず枝

 

右利きなら、右手にライター

左手に煙草

役割を終えた右手はコートのポケットへ

寒さに震えながら煙草を吸えば

左手だけが悴んで冷めたくなる

健康に悪いと知りつつ、否彼らはそう思ってない

一服に痴れる愛煙家を私は嫌いになれないラブラブ!

肉体の一部を見せることは

全体を描写するよりエロティックなことは

誰もが経験で知っているラブラブ!

 

*荒木かず枝さんは「鷹」月光集同人です

 

 

 

 

愛されず愛さず落葉焚きにけり    荒木かず枝

 

愛されずして沖遠く泳ぐなり  藤田湘子

をすぐに思うけれど

人を愛することが出来ない「愛せず」ではない

かず枝さんの「愛さず」のなんときっぱりしていることか

愛さなければ、愛されることもないのだから

瞳の奥まで見つめ合っていたい、

頬に、手に、腕に触れたいと狂おしいほど思う

何度恋してもそうなる愚かな繰り返し

理性的であれと思うけれど、理性に邪魔されたくもない

人を愛することは実はそう簡単なことではない

かず枝さんはわが身を何に重ねたのだろうか

静かに燃える落葉だろうか

それとも盛んに燃える炎だろうかラブラブ!

 

鷹7月号

テーマ:

白藤や永遠のふとおそろしき     兼城  雄

*月光集

 

緑がかって清楚な白藤の

可憐さを称えつつ、ふと思う

永遠の時間とは途轍もなく長く、怖ろしい

どれだけ経っても終末や死がやって来ないなんて

永遠は窮屈ガーン

鷹7月号

テーマ:

松も葉を広げたき夏来たりけり       小川軽舟

 

針のような細い葉を持つ松だって、夏になれば

広葉となって太陽の光を照り返してもみたいだろうな

と、主宰の素直で無邪気な感性に驚かされる

余談だけど、

宗像に白砂青松100選に選ばれた「さつき松原」がある

白い砂浜に突き出た枝と海のコントラストが実に美しい

 

父の日や松を眺めて夕餉待つ       軽舟

 

松はその枝ぶりを眺めて楽しむ樹木ラブラブ!

鷹7月号

テーマ:

むきだしの肩にひるむや夏初   近藤洋太(東京)

 

首回りを大きくしたようなシャツやニットを

両肩、あるいは片方の肩まで下げて着る

露出度の高いファッション

デコルテ(首から胸元までの範囲)が美しい女性に良く似合う

肌理が細かい白い肌と鎖骨に見惚れる

女の私でも目のやり場に困るのに

男性なら、尚更

大いに男たちをひるませたらいいラブラブ!

鷹7月号

テーマ:

よく笑ふ女と暮らす柳の芽         茂木とみお(東京)

 

私は男でないから、

話をしては笑う

聞いては笑う

テレビを見れば笑ってる女性と暮らすのが

幸せなのか分からないけれど、

男の立場だと太平なのかもしれない

私が男なら持ち重りがすると思う

猜疑心や嫉妬、羨望などのネガティブな感情が希薄で

その反対の感情、信頼、愛情、親切、思いやりの心が深い

だからいつも笑っていられる

女の笑顔を奪わない、

消さない責任を負うことから逃げたくならないだろうか

桜の満開の頃の柳の芽の美しさは格別だが・・・ニコニコ