吹き飛ばされた四肢べつべつに花へ這ふ 竹岡一郎
瓜畑めざめて目鼻掻き集む
草いきれ固めて僕として立たす
一郎さんの思考回路を借りると
つまらない人生が面白いもののように感じる
ばらばらになってしまったもの
自分勝手にどこかへ行ってしまったものが
一つになろうとする幻想は明るくて愉しい
つなぐ手やはらか葉月の山の闇をゆく 一郎
黒髪に千鳥の声を編みこむよ
花ふぶく夜は咆哮の閨となる
難解な作品の多い中で垣間見られる
これらの句の素直さにこそ
真実があるのではないだろうか蓼