アルゼンチンのシュート練習。 | 徒然に。

徒然に。

思ったことを気ままに。

 アルゼンチンからは、歴代凄まじい数のストライカーが輩出されています。

 マラドーナ、バティストゥータ、クレスポ、テベス、メッシ、ラウタロマルティネス、ディエゴミリート、アグエロ、イグアイン。ここ30年くらいでのストライカー輩出数は世界一でしょう。

 私としては、そんなアルゼンチンのボカジャパンのシュート練習動画を見ると、いつも感嘆します。

 本当によく考えられているなと思います。

 

 

 まず22秒からのシュートです。

 横にドリブルし、味方がその味方の裏を回ってボールをもらいシュートします。

 横にドリブルしたことで空いたスペースに走りこむという感覚が身につくと思います。

 さらにアルゼンチン流で私が素晴らしいと思うのが、ディフェンスラインに見立ててポールを置いていることです。

 効果としては、オフサイドぎりぎりでボールをもらう感覚、パスの出し手としてはスルーパスを相手の裏から通すのか味方の足元に入れるのかを、判断できるようになってくると思います。

 スルーパスをどちらのコースに出すかは非常に大事だと思います。

 私はこのスルーパスの使い分けが世界一うまいのが、ドイツ代表のヴィルツだと思っています。

 

 

 そしてこの感覚は、こういったシュート練習でディフェンス役としてのポールを置くということだけでも、それなりに養えると思います。

 

 27秒からは、プルアウェイ(近づいてから離れる動き)からのシュートです。

 これもストライカーとしては鉄板として身につけたい技術です。

 中に入る動きから、相手の裏を取るのです。

 

 そして私が最も感銘を受けたボカのシュート練習が、1分からです。

 まずパスをくさびの位置で受けた選手が、下がりながら前向きでボールを持てるように、視野の確保をするトラップをします。

 左から来たら右足トラップで前を向きます。

 パスを出した選手は走りこみます。

 くさびでボールを受けた選手は、相手役のコーチの動きによって、パスなのかドリブルなのかを選択します。

 

 これは、中央から崩す際の鉄板的な技術だと私は思っています。

 ワンツーかドリブルかを選択できる状態を作り、相手に的を絞らせないようにします。

 こういった動きを完璧にできれば、相手は止めようがないのだと思います。

 

 以上、アルゼンチンのシュートについて書かせていただきました。

 同じ南米といっても、ブラジルとアルゼンチンではまったく特徴が違うように思います。

 ブラジルは技術の多彩さで勝負するのに対して、アルゼンチンは手数をかけないシンプルな突破に特徴があります。

 ちなみに、ブラジルもアルゼンチンも、球際の競り合いを「技術」ととらえているのは共通していると思います。

 たとえば、↓ブラジル動画では、球際の競り合いをしっかり練習しています。

 

 

 ↓アルゼンチン、ボカジャパンスクール動画でも、球際の練習をしています。

 

 

 私の観点からすると、南米がヨーロッパに比べて自由にサッカーをやっているとは思いません。

 ヨーロッパは戦術的なことを多くやるので、規律的な部分が特徴として目立ちやすいだけだと思います。

 南米は球際の競り合いすら技術として細かくやるので、それがその個人のなかで完成したとき「おお、南米の選手はうまいな!」と思われるだけだと思います。南米の選手は、ヨーロッパの選手が戦術に造詣が深いのと同じように、技術に造詣が深いのだと思います。

 そして私は、実は日本人は南米流を目指した方がいいと思うのです。

 科学技術立国(現在の日本はもはやそうは言えない気もしますが)として、過去の栄光の時代は、とにかく技術でした。

 ホンダの本田宗一郎やソニーの井深大など、日本を代表する企業の社長は、社長業をやっているのではなくて「技術屋」だったと思います。

 だからこそ、栄光の日本を築けたのでしょう。

 

 

 井深大は、ソニー設立時の理念にこう書いています。

・真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由豁達にして愉快なる理想工場の建設。

・日本再建、文化向上に対する技術面、生産面よりの活発なる活動。

・国民生活に応用価値を有する優秀なるものの迅速なる製品、商品化。

・国民科学知識の実際的啓発。

 日本人は、技術を追求した方が、伸びる気がしています。

 今の育成年代は、一部を除いてヨーロッパ的な練習をやっているように思います。

 私が見た中では、90%以上の日本のチームがやっている練習は同じようなものだと思います。

 すなわち、まず基礎練習(2人組でボールを投げて返す等)をやって、鳥かごをやって、2対2などをやって、ゲームという流れです。

 もちろん「サッカーはサッカーをやることでうまくなる」というのは真実を含んでいると思います。

 実際にスペインなどは、そういった練習で世界トップクラスに君臨し続けています。

 ただ、私としてはヨーロッパ勢を追い越すためには、南米的な要素が必要かなと思うのです。そしてそれが日本人には合っていると思うのです。

 技術を追求することです。

 

 私は元々、ブラジル的な練習を志向していたのですが、最近は極端に技術練習をやるようにしています。

 すると、本当にたった1ヶ月くらいで、ネイマールみたいな動きをする子が出てくるのです。

 うちは市内でも最弱に近いチームですが、その中でも技術に特化して練習をすると、あっという間にうまくなってきました。

 最近、我ながら子どもたちがあまりにうまくなってきたように思うので、参考になればということで、練習メニューを書かせていただきます。

 4年生以下で、1時間半の練習です。

 

・手つなぎ鬼。

 鬼ごっこは鉄板の練習だと思います。変にサッカーをやるなら、鬼ごっこを延々とやった方がいいのではないかと思うくらいです。

 

・ボールコーディネーション。

 いろいろありますが、中心的なものは↓興国高校とブラジルのようなものです。

 

 

 

 

・コーンドリブル。

 コーンを三角形に置きます。

 1つは、普通のジグザグドリブル。

 2つは、皿コーンを50cm間隔くらいに8つくらいおいて、その間を利き足の小指だけを使って通り抜ける練習です。

 これはここ15年くらいでユース日本代表を普通の街クラブから2人輩出したM監督から教わった練習です。メッシやマラドーナのボールの持ち方をイメージしていただければと思います。

 3つは、ジグザグドリブルで、コーンの角度をつけます。

 この三角形のドリブルを、何度もやります。

 マンチェスターシティで活躍するベルナルドシルバも、こういった練習をやっていたようです。

 

 

 

・対面パス。

 ↓のように、ひたすらボールを止められるように、徹底してやります。

 

 

・2対2。

 ルールは「点を取ったとき、味方が全員相手のコートに入ってなければノーゴール」「点を取られたとき、味方が相手コートに1人でも残っていたら、相手が2点」です。

 

・オールコートボール3つゲーム。

 最後は楽しく、一生懸命ボールを追います。そして自分の好きなプレーを楽しみます。

 

 もうちょっと技術がついてくれば、「1対1」や「鳥かご」などもいれます。

 

 

 私としては、現在進行形で成果が出てきたと思ったので書かせていただきました。

 少しでも参考になればうれしく思います。