「3対1」詳細。 | 徒然に。

徒然に。

思ったことを気ままに。

 前回のブログで、教えた代のうち「3対1」を徹底した代からは、卒業後に小学時代の成績からは想像もつかないようなレベルで活躍した選手が何人も出たことを、書かせていただいた。

 卒業時に6人しかいなかった代「二代目」が典型だ。

 6年後半は勝つ試合が増えてきたけども、それまではずっと、10点以上取られて負ける試合は普通だった。ワーストレコードは「0対17」。

 それでも卒業生6人中2人がフォルツァ02にセレクション合格。そのうちの一人は絶対的な主力として活躍し、その後、関東大学リーグの副キャプテン。他にも高校サッカー都大会出場チームの副キャプテン1人とレギュラーになった1人。つまり「市内最弱レベル」のチームから実に、3分の2がユースカテゴリーでは、都大会出場チームのレギュラー以上になった。

 けっこう身体能力は、小学時代にどんなに差があってもそれなりに追いつくというのが私の経験則だ。

 だから「二代目」でも、6年後半になって身体能力が追いついてきたら、もう10点取られて負けることはなくなった。むしろ「選択肢の多いプレー」によって、こちらが一気に優位に立てる時間が増えてきた。

 それが私としては「3対1」の成果だと思っている。

 

 まず原則としては「左(右)からきたボールは右(左)足トラップ(ボディシェイプとか視野の確保と言われているもの)」「鬼と正対する(つまり右にも左にもパスを出せる身体の向きをつくる)」「鬼を引き付ける(鬼を引き付けることによって味方にスペースを作る)」だ。

 さらに基本的に大切なのは四角形の「点」に立つのではなくて「辺」に立つことだ。

 基本的にはボールホルダーの左右の辺に味方2人は立つようにする。

 ルール設定だが、私は独特な設定にしている。

 「鬼がボールを外に出したら、鬼の交代はなし(味方のパスミスはもちろん鬼交代)」「鬼がボールをとっても一回プレーリセットにはならず、その瞬間から取られた味方はボールを奪い返しにいく」

 これをやると、まず鬼の意識が変わる。

 ボールを外に出しても交代できないので、ボールを奪い切ろうとするようになる。さらにボールを取っても、取られた味方がすぐ取り返しにくるので、取ったボールを瞬時に判断して味方に繋がなくてはならない。

 取られた味方にしても「即時奪還」の意識がつく。

 だから「3対1」の練習なのに、局面でのデュエルが頻繁に発生するようになる。この設定でやれば、同時に球際の激しさを向上させることができる。

 

 この基本的な「3対1」の設定で、私が思うサッカーの本質のかなりの部分が身につくと思っている。

 視野の確保、敵と正対する、敵を引き付ける、攻守の切り替え、球際の激しさ。

 シンプルな「3対1」で、これだけ本質的なことが身につくと思う。

 

 ただ「3対1」はさらに奥が深い。

 さらに「ワンツー」と「ドリブル突破」、つまり突破の意識も磨けるのだ。

 

 まずは「ワンツー」。

 ボールホルダーが味方にパスをしてワンツーして対辺に走ってワンツーをもらえば勝ち。ちなみにそこで勝ちといっても、そこから連続して「3対1」をやる。たとえば1回成功したら鬼は腕立て1回とかにして、プレーが切れたら「罰ゲームの腕立て」をやるみたいな設定に私はしている。ただ、純粋にサッカーが好きな子だと、そんな罰ゲームとかじゃなくて、勝手に楽しそうにワンツーをやり始めるので、その辺は臨機応変にやっている。

 さらに大事なのは、ボールホルダーが走ったときの元いた位置に、3人目の味方が入ることだ。

 これはめちゃくちゃ大事だと思っている。こうやって「味方が走ったスペースに入る感覚」を養うのだ。

 ワンツーを狙って対辺に走る。その走った選手の元いた位置に3人目が入る。

 そこでパスの受け手は判断することになる。

 「ワンツーを返すか、3人目に出すか」

 こうやって、子どもたちの判断力に磨きをかけていく。

 さらに、たとえば「ワンツーをダイレクトで返したら1点」とか、逆に「3人目にダイレクトで返したら1点」とかの条件をつけると、さらにその子の判断の磨きをかけられる。

 というのは、子どもたちは考えるのだ。「1点取るためにそのプレーしたほうがいいかな」「でもこれきつそうだから違う選択肢の方がいいかな」

 そのように、その子のプレーの選択肢を増やすことが、その子の飛躍的な成長につながると私は思っている。

 

 さらにルールを付け加える。

 「対辺にドリブル突破したら1点」

 これはフェイントをかけてとかじゃなくて、ファーストタッチで1発で前に出て直線的に対辺までいければ1点という設定だ。

 ここには3つ観点がある。

 1つ目は「コントロール・オリエンタード」。

 ファーストコントロールで、対辺に向かってしっかりタッチする。

 2つ目は「敵を引き付ける」。

 パスの出し手は、十分鬼を引き付けないと、パスの受け手が一発のコントロールで対辺突破できない。

 3つ目は「プレーの選択肢の豊富さを身につける」。

 「ワンツーしたら1点」「ドリブル突破したら1点」という、複数のものを入れる。そうすると、その選手たちは豊富なプレー選択を考えるようになる。

 さらには「ダイレクトで7本つないだら1点」も入れる。

 こういう練習をやると「プレーキャンセル」も身につくようになる。常に頭の中で「どの1点を取ろうかな」と考えるようになるからだ。

 「ワンツーしようかな」「ドリブルしようかな」「ダイレクトでパスつなごうかな」みたいな感じで、子どもたちの頭が「複数の選択肢を持つ状態」になるのだ。

 

 実際にこういう練習をやってきた代は、小学時代にボロボロの戦績でも、かなり卒業後に活躍したので、私は意味があったと確信している。この練習によって、子どもたちの「頭」を鍛えられたと思っている。