ベルナルドシルバに学ぶドリブル練習。 | 徒然に。

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 ベルナルドシルバは、世界最高のチーム、マンチェスターシティで、主力として活躍しています。

 

 

 そのベルナルドシルバが、ドリブル練習方法を教えています。

 

 

 そして、ベルナルドシルバが勧めているのが、何の変哲もないコーンドリブルなのでした。

 

 そして私は非常に喜んだのでした(笑)。

 なぜなら、ベルナルドシルバが勧めているコーンドリブルのやり方は、私がチームでやっているコーンドリブルと種類がまったく同じだったからです。まったく同じというのもなかなかうれしいものです(笑)。

 以前に静岡学園や、堂安律出身の西宮SSのコーンドリブルを挙げさせていただきました。

 

 

 

 ただ、うちのチームは運動が苦手な子が多いチームでもあり、なかなか西宮SSや静岡学園のような細かい設定はできません。

 ですが仮にうちのチームの子がサッカーが上手でも、私はたぶんコーンドリブルに関してはシンプルにやると思います。

 具体的には、

 

1、右足だけ。

2、左足だけ。

3、アウトサイドだけ。

4、インサイドだけ。

5、自由にフェイントを入れる。

 

 これだけです。

 さらに、ベルナルドシルバがやっているように、一直線上にコーンを置くパターンと、コーンに角度をつけてドリブルのコース取りを難しくするパターンの2つをやります。

 というのは、↓のようなボールコーディネーション系とは、コーンドリブルをやる狙いが違うからです。

 

 

 元興国監督の内野さんが言っているように、ボールコーディネーションは、神経系に活をいれて、動きを滑らかにすることを目的にしてやっています。

 いろいろな動作ができるということは、それだけ脳神経のシナプスのつながりが多いということです。

 できるに越したことはないと思います。

 

 ですがコーンドリブルは、コーンを相手と見れば、ある程度実際の試合で使うドリブルになります。

 そして試合で使うドリブルは、普通はシンプルなものです。

 西宮SSや静岡学園のように、コーンドリブルのなかにも複雑な動きを入れるのは凄いと思いますが、私はシンプルにアウトとインでボールを持てるように、繰り返しやっています。

 

 そう書くと必ず「だったら実戦を想定してやればいい。コーンドリブルをする必要性はない」といった意見があります。

 もちろんその意見にも敬意を持っています。

 ただ私の延べ10年ほどのコーチ経験上、コーンドリブルをやらないで実戦形式を重視したときは、子どもたちがうまくならなかったのです。

 私は教えた3代目の子たちには、今でも心底申し訳なく思っています。私は延べ3代を卒業させましたが、その3代目は人数的には一番多かったし、センスがある子がけっこういた代でした。

 ですが初代からの関東大学リーグキャプテンや、2代目の市内最弱からの関東大学リーグ副キャプテンに比べて、その3代目からは誰も実績を残せませんでした。一番上に行った子で、選手権に出場したチームでの、一時期のベンチ入りでした。

 もちろんその子たちは一生懸命頑張った結果ですので、私は心底拍手を送りたいです。

 責められるべきは私の指導でしょう。

 3代目を教えていた当時、初代や二代目からいい選手がかなり出たのは情報として持っていたはずなのに、練習方法をガラッと変えたのでした。あれはよくなかったと今でも反省しています。

 

 日本人の特性かもしれませんし、私の得意不得意の問題かもしれません。

 私も実は理論上は、ずっとゲームをやらせるのがうまくなる王道だと思っています。そしてそういった方法で実際に子どもたちをうまくしている人がいるのも知っています。私は自分がそれをできないので、そういう方には本当に敬意を持っています。

 ただ、理論上は合っていても実際にうまくいかないなら、実際にうまくいく方法を模索したいと思っています。

 元東大医学部解剖学教授の養老猛司先生が、こんな逸話を語っています。

 「解剖の授業で、東大の学生が『先生、この献体の神経の位置は教科書と違っています。献体のどこが間違っているのでしょうか』と言ってきたとき、東大生はここまで馬鹿になったかと思った」

 スペイン流や南米流、もしくはジャパンズウェイ、いろいろあると思います。

 ですが、ユングが言ったように「誰にも合う靴がないように、誰にでも当てはまる人生の処方箋などない」ということなのだと思います。

 最後は「自分流」を確立するのが一番だと私は思っています。

 

 話をベルナルドシルバに戻します。

 私はリスニングがからっきし駄目です。

 私の壊滅的なリスニング能力で、上記したベルナルドシルバが英語で語っていることについて書きたいと思いますが、全然間違ってたらお許しください。

 ベルナルドシルバは、インタビュアーに「どうやってそのような素晴らしいボールタッチを身につけたのか」と問われ、実際にコーンを並べて、コーンドリブルをやってきたことを示しました。

 そのときベルナルドシルバは「私は実は幼少期、コーンドリブルについて一つ大きな後悔がある」と語っています。

 それは、常にコーンドリブルを左足だけでやってきたということです。

 私はここに、超一流選手でも、もしかしたら意識化できないことがあるのではないかなと思いました。

 以前に「利き足論争」がありました。

 私は実は、ドリブルに関しては利き足派なのです。

 利き足論争のときも、以前のブログを読んでいただければわかると思いますが、一貫してドリブルは利き足と書いています。

 メッシやマラドーナを見ればわかるように、彼らはほとんど左足だけでボールを運んでいます。

 ベルナルドシルバは左足ばかり練習して後悔していると語っていますが、私はむしろ左足ばかりでドリブル練習をしたから、今のような特別なドリブルをできるようになったのだと思っています。

 もしベルナルドシルバが少年時代に両足均等にコーンドリブルをしたら、私は今のベルナルドシルバはいなかったと思うのです。

 ただ、ややこしい話ですが、ボールコーディネーションは両足均等にやるのが基本だと思っています。

 実際の試合で利き足でボールを持つということとは目的が違うからです。ボールコーディネーションは、あくまで身のこなしを洗練させることであって、むしろステップとかアジリティトレーニングに近いものだと思っています。

 

 そのなかで、ベルナルドシルバが賢いと思うのは、利き足だけでコーンドリブルを勧めながら、両足でコーンドリブルをやる方法も勧めていることです。

 このようにやれば、利き足でのドリブルの良さを身につけつつ、両足ドリブルも加えられるかもしれません。

 そしてベルナルドシルバが本当にすごいと思うことは、世界最高のチームの主力にも関わらず「幼少期はもっと両足を使って練習すればよかった」と、自己反省をしているところです。その是非はわかりませんが、その姿勢がすごいのだと思います。

 こういう姿勢こそが、ベルナルドシルバを世界最高レベルにした最大の要因だと思います。

 学ぶ姿勢があるのだと思います。

 前々回書かせていただいたシャビアロンソにしても、賢い人は学ぶ姿勢があるのだと思います。

 それは小学生低学年の段階からでも、現れていると思います。

 度々書かせていただいている、うちのチームの「怪物R君」は、足技の練習をやって自分ができないと、必ず「コーチ、もう一回やって見せて」と言ってきます。じっと観察し、立ちすくみます。

 その立ちすくんでいるとき、R君が頭のなかで必死に考えているのが明らかにわかります。

そういう姿勢をもった人間は、圧倒的に伸びるのだと思います。