ロングフィードについて。 | 徒然に。

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思ったことを気ままに。

 最近、以前ブログで書かせていただいたキックについて試してくれた方がいまして、メッセージをいただきました。

 息子さんのキックが劇的に良くなったとのことでした。本当に私もうれしく思います。

 最近は1日1000アクセスくらいありますが、1円の得にもなっていませんし、そもそも多くの方に読まれることを目的にはしていませんから、ブログランキングにも参加していません。

 それでもけっこうな数の人々に読んでいただいて、実際に試していただいて成果が出たという声を聞かせてもらうことは、この上ない喜びです。

 私がサッカーを愛していて、自分の思うところを書いて、少しでもサッカーが向上すれば、こんなにうれしいことはありません。

 たまたま、キックについてメッセージをいただきましたので、改めてロングフィードについて書いてみたいと思います。

 

 まず私としては、ロングフィードのポイントは大きく見れば3つあると思っています。

 

1、上半身主導で蹴る。

2、インパクトの瞬間、つま先を外に向けて足裏を後ろに向ける。

3、フォロースルーは、軸足の外側に向かう。

 

 1についてです。

 人の身体は、基本的には上半身主導で動く方がうまくいく場合が多いです。

 たとえば、ブラジル人が得意なシザースがあります。↓ロビーニョは最高のシザースの使い手だと思います。47秒からのシザースなどでは、上半身の動きが下半身のシザースを生み出しています。

 

 

 キックも同じだと思います。

 上半身を大きく使うことによって、下半身が連動してきます。上半身主導の感覚をつかめたら、そこまで大げさにやらなくても、身体感覚的にどう上半身を動かせばうまく蹴れるのか、わかるようになってきます。

 たとえば↓35秒、レアルマドリーのバルベルデです。

 

 

 右足を振り上げたとき、左腕が見事に斜め上に上がっています。

 むしろ左腕を振り上げることによって、下半身が連動し、右足がきれいに振りあがります。

 

 私はこの練習を「居合切りキック」として練習しています。

 このキックを特に練習した、市内最弱だったときもある卒業生が6人しかいなかった代(2代目)から、関東リーグ所属の超強豪にセレクションで2人合格しました。

 2人ともキックは得意にしていました。

 特に1人の子は、キック以外は平均点的な感じでしたが、キックは秀逸でした。センターバックの位置から、ワンステップで最前線にポンポン素晴らしいフィードをできるようになっていました。そのキックが、セレクションで超強豪チームのコーチの方の目にとまったのでしょう。

 私は居合切りキックの成果が出たと思っています。

 

 やり方です。

 右利きならば、左45度くらいの位置(極端に練習するときは、ボールの左横に立つくらいでもいい練習になります)の、助走1歩で蹴れる位置に立ちます。

 そのときに、右腰に刀があることをイメージします。そしてその刀の柄を左手で持っているのです。最初は極端に、左手で右腰の刀を持った状態で、蹴る方向に背中を向けるくらいだといいかもしれません。

 練習は最初、極端にやるのが重要です。コツをつかめてくればだんだん動作は小さくなっていき、最後はその選手のなかでは、微妙に身体内で動かした感じ、つまりほとんど外からは動作がないような形でできるようになってきます。

 その状態から軸足の左足を踏み込みます。

 その踏み込みと同時に、右腰にあった刀を左手で、左上方向に切ります(イメージです)。

 そしてボールを蹴るのと同時に、腰に刀を戻します。

 そのことを頭に入れていただいて、もう一度↑動画バルベルデのキックを、左腕に注目して見ていただきたいと思います。

 居合切りキックの要領で、左腕が動いているのがわかるかと思います。

 そしておそらく、バルベルデは意識的か無意識的かはわかりませんが、右足で蹴るというよりは、左腕主導の身体感覚があるはずだと私は思っています。

 

 2についてです。

 これは、論より証拠、現在地球上でロングフィードが最もうまい可能性がある↓レアルマドリーのトニクロースの1分23秒の動画を見ていただきたいと思います。

 

 

 このことを極端にやる指導で分かりやすくやってくれているのが、日本初プロキックコーチの上船さんです。

 

 

 足裏を後ろに向けて、つま先を横に向ける、ということを徹底的に指導しています。

 

 3についてです。

 まず↓の芸術的なシャビアロンソのキックを見ていただきたいと思います。こんな軌道のボールを蹴れる選手は、世界でも数人しかいないのではないでしょうか。

 

 

 ↑12秒の静止図を見ていただきたいと思います。

 蹴り足の右足が、軸足の左足の外側についています。

 日本では「真っすぐに蹴れ」という指導が一般的かと思いますが、実際はキックがうまい選手は、直線というより回転で蹴っています。

 そしてそれは解剖学的には当たり前だと言えるのです。

 キックのフォロースルーで最も使うのは、腸腰筋だと思われます。

 

腸腰筋 に対する画像結果

 

 そして腸腰筋は、身体の中心部から斜めについています。

 ということは、腸腰筋が収縮すると、斜め方向に足は振り出されることになります。

 

 そのことを念頭に置いていただいて、シャビアロンソのキックをもう一度見ていただきたいと思います。

 着目するのは、右腰です。

 ボールを蹴るというよりは、右腰が左方向に回転しながら動いて、その結果、足がそのあと出てきているように見えます。

 そして右腰が左前に出ていく動作をしているのが腸腰筋なのです。

 

 具体的に腸腰筋を使えるキックのアドバイスとして、たとえば右足で蹴るならば「フォロースルーの際、軸足左足の足裏が右側に見えるようにする」というのがあります。

 もう一度バルベルデ35秒を見ていただきたいと思います。

 バルベルデは蹴った後のフォロースルーで、軸足左足の裏が右側を向いています。

 なぜそうなるかというと、蹴り足の右足が腸腰筋の働きによって左側に流れるからです。

 ということは逆に、意識的に軸足の足裏を右側に見せるように蹴ることによって、腸腰筋が使えてきます。

 

 私はドリブルのことばかり書いているせいか、ドリブルしか練習していないように思われていそうですが(笑)低学年のうちはそうかもしれませんが、高学年になれば、キックは徹底的に練習します。

 そして、関東大学リーグキャプテンと副キャプテンになった2人は、キックを武器にしていました。

 キックについては、明らかな成果が出たと思います。

 というのは、ドリブルと違い、キックは人類に共通した部分が多いのです。その人独自のものというのは、少ないのです。

 シャビアロンソもトニクロースも、同じような蹴り方なのです。

 それは当たり前の話だと私は思っていて、キックとは、腸腰筋や大殿筋をいかにうまく使えるかであって、そういった筋肉を最大限に生かしたキックフォームということになれば、必然的にシャビアロンソやトニクロースのような蹴り方になるのだと思います。

 ここに、難しい問題があるのだと思います。

 サッカーは自由です。

 私は具体的には、ドリブルに関しては自由だと思うのです。そしてどんどんドリブルしてほしいと思います。

 ですがキックに関しては自由度は少ないと思っています。むしろ科学の世界だと思っています。

 だからキックに関しては、徹底的に型を作って練習しています。

 そして、実は人間の本当の喜びは 「学ぶ喜び」の気もするのです。

 自由な発想といいますが、もし数学が得意な人だったら、先生が素晴らしい解法を示してくれたとき、感動したことがあると思います。

 インドや中国では、社会的に最も尊敬されるのは「先生」だったりします。

 それだけ教える人の地位が高いのです。

 自分より優れた人から教えを受けて「なるほど!」と思うのは、根源的な喜びだと思います。

 そういった意味で、キックに関しては、学ぶ喜びが味わえる気がしています。

 理想的なフォームで蹴れたとき、本当にシャビアロンソやトニクロースのような弾道でボールが飛んだりするのです。

 それは当たり前の話で、シャビアロンソやトニクロースは、理想的に腸腰筋や大殿筋を使って蹴っているだけであり、だれでもそれは可能なのです。

 そして今日私が書かせていただいたことは、実際に実績もあるということで、それなりの方法なのかなと思います。

 もし試していただいて、うまくなったらこんなにうれしいことはありません。