(平成28年法規過去問は解けなさ過ぎて心が折れたので後回し)

 

 

【問1】 [〇]
自家用電気工作物に関する知識問題。電気工作物は使用電圧600V以下の一般用電気工作物と600V超えの事業用電気工作物に分けられ、事業用は電気事業用と自家用に分けられる。したがって(イ)は即答できる。(ア)(ウ)は条文を知らないと回答できない。見慣れているので簡単だったが記述d,eも覚えておくべし。

【問2】 [〇]
電気用品安全法に関する知識問題。この法律は第一条だけ暗記していても回答できない恐れが高い。電気用品安全法は電気製品による感電や火災から消費者を保護すべく施行され、安全基準を満たす電気製品(電気ストーブ、電子レンジ、加湿器、インターホン、その他多くの家電、電気機械など)にはPSEマーク(〇の中にPSEと書かれたマーク)を付けて販売するように電機メーカーや輸入業者に義務付けられている。

特に危険や障害が発生する恐れが高い電気用品を「特定電気用品」と呼び、定格電圧100V以上600V以下のコードは特定電気用品に分類され、「適合性検査」に合格した特定電気用品には「ひし形の中にPSEと書かれたPSEマーク」が付けられる。

電気用品安全法の第一条では電気用品の「製造・販売」等を規制するとあるのに対し、接続詞が"又は"の時は「製造又は輸入」となる点がややこしい。これを知らないと一部の選択肢で間違う。

【問3】 [〇]
電技に基づく電気機械器具からの電磁誘導作用による影響の防止に関する知識問題。令和3年法規の問3でも登場した見覚えのある条文である。「変電所又は開閉所」は「通常の使用状態」において当該施設からの電磁誘導作用により「人の健康」に影響を及ぼす恐れがないよう、当該施設の付近において人によって占められる空間に相当する空間の「磁束密度」の平均値が「商用周波数」において「200μT」以下になるように施設しなければならない。

【問4】 [△]
電技に基づく高圧及び特別高圧の電路の避雷器等の施設に関する知識問題。

①「発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所」の架空電線引込口及び引出口
②架空電線路に接続する「配電用変圧器」であって、「過電流遮断器」の設置等の保安上の保護対策が施されているものの高圧側及び特別高圧側
③高圧又は特別高圧の架空電線路から「供給」を受ける「需要場所」の引込口

【問5】 [△]
電技解釈に基づく高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器に施す接地工事に関する知識問題。要するに"B種接地"の話である。したがって(ア)(ウ)(エ)は即答できる。ただし(イ)のように最も答えに詰まる部分が二択で残るパターンが多い。ここは低圧電路の「使用電圧」とあるので300V以下と答えるのが妥当だろうと考えたら正答だった(対地電圧で150V以下というのは低圧配線の絶縁の話だが流用してみた)。何にしてもここで覚えておくべし。

【問6】 [△]
電技解釈に基づく常時監視をしない発電所に関する知識問題。令和1年法規の問7でも似た条文が問われており、本問は電技解釈46条~48条を少し読んでいれば推測で回答できるように設問されている。キーワードは技術員、駐在所、制御所、300m以内など。

【問7】 [〇]
電技解釈に基づく低高圧架空電線の高さ及び建造物等との離隔距離に関する知識問題。

・道路の上    …高圧低圧ともに6m以上
・鉄道や軌道の上 …高圧低圧ともに5.5m以上
・歩道橋の上   …高圧3.5m以上、低圧3m以上
・その他     …高圧5m以上、低圧4m以上

(4)(5)は常識的に考えれば正答できる。ちなみに建造物の屋根(上部造営材)の上は1m以上なのでここで覚えておくべし。

【問8】 [〇]
電技解釈に基づく、可燃性のガスが漏れ又は滞留し電気設備が点火源となり爆発する恐れがある場所の屋内配線に関する知識問題。正直どれも知らないが、電線の種類を6種類ほど押さえていれば変だと感じる記述が一つだけある。(キャブタイヤケーブルは通電状態で"移動可能な電線"である為)

・裸電線
・絶縁電線
・多芯型電線
・ケーブル
・キャブタイヤケーブル
・コード

【問9】 [〇]
電技解釈に基づく分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義に関する知識問題。逆送電や単独運転の話題を知っていればそれほど難しくないと思いきや、単独運転検出方式として「能動型」「受動型」という2タイプの違いを問われている。停電直後に分散型電源の周波数や電圧位相の変化があれば単独運転が始まったと見做される受動型、停電で分散型電源の需給バランスが崩れなくても単独運転を検出できるように平時から微小な擾乱を与えておき、停電時の比較的大きな周波数変動を捉えて単独運転を検出する能動型があるという。だいぶ難しいので問題文の記述内容を覚えておけばよい。

【問10】 [〇]
計器用変成器の変流器に関する知識問題。通電中に二次側を開放しては絶対にいけないという変流器を扱う上で必ず押さえておかなければならない内容について、やや応用的に書かれている。変流器は巻数比で電流を変成することから負荷によって変流比が変動する事はないという点を考えればそれほど難しくない。

【問11a】 [〇]
電柱の支線の引張荷重[kN]をモーメントの計算で求める計算問題。計算で求めた引張荷重に安全率1.5を掛けるだけで求められる。

【問11b】 [△]
aと同じ電柱に施設される電線のたるみ[m]を求める計算問題。たるみ計算の問題が出たら次の3つの公式を必ず書き下ろしておく事。

・D=W(S^2)/8T
・L=S+{8(D^2)/3S}
・α=(ΔL/Δt)/L1

ただし引張強さと安全率との関係を理解していないと意味不明な立式になる。引張強さは「現実」の引張荷重であり、これを安全率2.2で割れば理論上の引張荷重(=許容引張荷重)となる。値が比較的小さくて強度的に厳しいからこそ「許容」という言葉が付く。

【問12a】 [△]
低圧屋内配線における許容電流に関する計算問題。平成29年法規の問11bでも同じテーマの出題がある。ここでは与えられた公式を用いて"許容電流補正係数k1"を求め、記述内容のヒントから"電流減少係数k2"を求めて正しい組み合わせを選ぶ。設問の文章が異様に長くてやる気が無くなるが、そのような問題ほど親切に作られていたりする。(その代わり隅から隅まで読まないと誤答する恐れが高い)

【問12b】 [×]
低圧屋内配線に施設された2種類の絶縁電線に要求される許容電流をそれぞれ求める計算問題。このタイプの問題が出たらまず周囲温度・定格電流・許容電流の関係を設問から探り、「In=It×k1k2」で許容電流を計算すればよい。Inは定格電流、Itは許容電流、k1,k2は許容電流補正係数及び電流減少係数である。

「In=It×k1k2」という計算式は習っていないのでここで暗記する事。

【問13a】 [△]
V結線変圧器に関する計算問題。Δ結線から1相分欠けた状態で電力供給するものをV結線と呼び、その"利用率"と"出力比"は必ず押さえなければならない。

・利用率… 単相変圧器2台の設備容量[VA]=2VIに対し、三相負荷に供給される電力[VA]は√3VIとなる。この比を"設備容量基準"で取ると√3/2=86.5%となる。

・出力比… Δ結線による供給電力[VA]=3VIに対し、V結線の供給電力[VA]は相変わらず√3VIとなる。この比を"Δ結線基準"で取ると√3/3=1/√3=57.7%となる。

本問ではΔ結線の1相が欠落してV結線になった時の過負荷電力を問われている。出力比で考えると欠相によって当初の供給電力の57.7%しか供給できなくなる。当初の供給電力を設備容量に読み替えて考えればよく、57.7%の逆数(=√3)が過負荷度合いになるので、√3×VI=√3×50=86.7。したがって過負荷電力は100-86.7=13.4kVAとなる。

【問13b】 [△]
V結線を修理してΔ結線にし、コンデンサで負荷力率を改善して0.96にした時の三相消費電力を求める計算問題。何やら難しそうな要素がありそうに見えてコンデンサは有効電力を消費しないので、負荷の三相電力に注目して計算するだけで解けてしまう。Δ結線にしたので皮相電力は3×50=150kWとなり、これに力率0.96を掛ければ144kWと求められる。