インド観光の一日 -民芸品の村- (2006年1月26日) | ナマステー! *アーティチョークのインド見聞録*

インド観光の一日 -民芸品の村- (2006年1月26日)

今日は丸一日が観光となった。私たちが滞在しているオリッサ州の州都ブバネーシュワルと、今日これから訪ねるコナーラク、プリーは、インド各地からの巡礼と観光客を集めており、ゴールデン・トライアングルと称されているそうだ。コナーラクのスーリア寺院(世界遺産)とプリーのジャガンナート寺院へ行くため、ホテルのロビーに朝9時に全員集合。タクシーに分乗して、まずは一路コナーラクを目指す。

街中を過ぎて商店もまばらになり、人や車も少なくなって郊外へ出ると民家の近くの空き地で草野球ならぬ草クリケットを楽しんでいる子供たちを何度か見かけた。やがて民家もまばらになると広々とした田園地帯となる。遠くに見える緑地帯では牛やヤギがのんびり草を食んでいる。
「やっぱり牛は緑の草の生えてるところにいなきゃあいけんねえ。君たちには、あんなごみごみした街中のアスファルトより、ここの方がよっぽど似合っとるよ。」
と、叔母のNさんがしみじみとした口調で言うのが可笑しかった。

インドというと牛=路上生活者みたいなイメージがつきまとい、人や車が激しく往来するなか堂々と道の真ん中にねそべり、「テコでもブルドーザーでも動かんもんね、わし。」といった感じを漂わせながら反芻している姿は発展途上にあるインドの一面を象徴しているかのようであり、それはそれで面白い。昼間は路上生活をしている牛たちも夜はちゃんと農家の牛小屋へ帰っていくのだろうが、しかし、牛たちは何を好き好んでわざわざ交通量が多く、餌となる草も少ない路上へと出てくるのだろう。路上生活牛の気持は謎だが、こうやってのどかな田園地帯で気持よさそうに草を食む牛本来の姿を見ることの方が、人間にとっても気持がいいに決まっている。

疾走するタクシーの中からではあるが、緑豊かな田園と自然の風景を目にするのは久しぶりのような気がして、しばし心が癒されるようだった。

コナーラクへと向かう途中、民芸品を売る村でいったんタクシーを降りた。
ここまでの田園地帯で目にした色といえばほとんどが土と緑と空の色ぐらいだったのが、今は道の両側にずらりと並んだ店にカラフルな民芸品が鈴なりで太陽の光を受けており、色彩に溢れたこの一帯に佇んでいると、まるでカラーサンプル(色見本帳)を見ているような気分になってくる。
この村のオリジナルである民芸品は、カラフルな布に刺繍を施し、鏡をはめ込んだユニークなデザインで、ランプシェード、壁掛け、バッグ、ポーチ、パラソルなどなどヴァラエティーに富んだ品揃えである。可愛らしい草花や動物のアップリケを施した物もあって、あれこれと見ているだけでも楽しい。しかもどれもが驚くほどリーズナブルなのだ。

ランプシェードなどを買い求め、外から店内をカメラで写していると店員がやって来て「こっちへ来てくれ。」と手招きする。再度店の奥へ入って行くと、店員は商品のなかでは一番の大作と思しき壁掛け(あるいはマット?)を嬉しそうに広げて見せた。なるほど、これを撮影してくれということなんやね。よっしゃ、パチリ!
 ご自慢の商品

店を出て一人でぶらぶら歩いているとパレードがやってきた。学校の生徒たちがブラスバンドを先頭にして皆で声を合わせて一斉に何かを言いながら行進して行く。横断幕を掲げているが、オリヤー語で書かれているので読めない。あとで添乗員のKさんに訊いて分かったのだが、今日、1月26日はインド共和国記念日(1950年の憲法発布を祝う日)なんだそうである。各州都で行事が行われ、なかでもニューデリーのパレードは壮観で、軍隊、ゾウ、ラクダ、民族衣装の大行進なのだそうだ。(『地球の歩き方-インド-』より)
女子生徒たちの一団にカメラを向けるとちょっとはにかんで可愛らしい笑顔を見せてくれた。
 ブラスバンド
 可愛らしい女子生徒たち
通りには民芸品を作っている一軒があって、職人さんが一心にミシンで作業していた。ここで売られている民芸品は、村人によってひとつひとつが丹念に手作業で作られているのだろう。
 仕事中の職人
皆それぞれたくさんの民芸品を買い込んで、再びタクシーでコナーラクへと向かう。(続く)