■ Tulsa
チェロキーは牧畜業をしていたが、父親が死亡し、偶然のことから石油採掘権をプレゼントされた。
苦労して採掘に成功して会社が大きくなった。しかし多量に採掘しすぎると自然を破壊するという問題がある。
チェロキーは金に目が眩んで、この問題を無視するが、油田の火災が発生して目が覚める。


製作年:1949、監督:スチュアート・ヘイスラー、脚本:フランク・S・ニュージェント、カーティス・ケニヨン、原作:リチャード・ウォームサー


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)
 チェロキー・ランシング(スーザン・ヘイワード) →石油採掘業者
 Mr.ランシング(?) チェロキーの父親、牧場主
 ピンキー・ジンプソン(チル・ウィルス) 歌手、チェロキーの従兄弟
 ジム・レッドバード(ペドロ・アルメンダリス) 牧畜業、先住民
 ジョニー・ブラディ(エド・ベグリー) 石油採掘業者
 ブラッド・ブラディ(ロバート・プレストン) 石油採掘技術者、ジョニーの息子
 ホーマー・トリプレット(ジミー・コンリン) 公証人
 ブルース・タナー(ロイド・ゴフ) 石油採掘業者

◆ 採掘権と所有権

土地の所有権と、その土地に対する石油の採掘権は別物である。採掘権は行政によって与えられる。

採掘権者が石油を採掘した場合は、それに応じて土地の所有者に金を支払う必要がある。注、採掘に成功しなくても支払う必要があるはず。

◆ 牧畜の業態

西部劇時代の牧畜業は放牧であって、草原に放して生えている草を勝手に食べさせる。

本作は20世紀初頭だが、同じように放牧方式の牧畜が行われている。それで勝手に川まで行って、石油が混じった水を飲んで死亡する事件が発生している。
 


■ あらすじ

◆ 牛が死んでいた

20世紀初頭、オクラハマ州、タルサ。牧畜が盛んな地域であるが、当地で石油が埋蔵されいることが分かり、今では石油を採掘するための油井が多数立っている。

チェロキー・ランシングは牧場主の父親、知人の牧場主ジム・レッドバードと牧場を見回っていた。

川のそば、牛が死んでいる。30頭くらい。川の水を飲んだらしい。川に火がついたマッチを投げ込むと、たちまち川が燃え上がった。汲み上げられた石油が漏れて川に流れ込んでいる。

彼らは慌てて、牛を川のそばから離すように指示をした。

◆ 父親が死亡した

チェロキーの父親は、抗議をするために採掘施設に向かった。

近づいたところ、突然石油が地面から勢いよく噴き出して、油井の櫓を吹き飛ばした。

櫓が倒れて父親は下敷きになって死亡した。「タナー石油会社(TANNER PERTRLEUM CORP)」である。

◆ タナーに抗議にいく

チェロキーはブルース・タナーに抗議に行った。タナーはおらず弁護士が応対した。

チェロキーは(父親の件ではなく)死亡した牛の損害を請求しようとした。弁護士は「タナー氏に責任はない。タナー氏の責任を証明してくれ」と突っぱねた。

また父親の死亡については「不法侵入である」と主張した。「訴訟を起こすのは自由です」と余裕の雰囲気。

チェロキーは「簡単には引き下がらないわ」と言って帰った。

◆ 石油の採掘権を得る

ともかく牧場の運営はできないので全員を解雇した。従兄弟のピンキーに会うために町に出かけた。

タクシーを待っていると二人ずれの酔っ払い。実は石油採掘業者のジョニー・ブラディと公証人のホーマー・トリプレット。

二人はやたらと親しげに話しかけてくる。二人もタクシーに乗るらしい。その時ジョニーは後ろから突き飛ばされた。チェロキーは突き飛ばした男を思わず殴り倒した。ジョニーはチェロキーを気に入ったようである。

二人と一緒に(ピンキーがいる)クラブに行った。先ほどの礼なのかジョニーは何かの書類にサインしてチェロキーに渡した。何か分からないので断ると強引に押し付けた。

個室に入ってピンキーに話した。「タナーに復讐をしたい」「彼は手強い」と展開する。

先ほどの書類をピンキーが確認すると石油の採掘の権利書である。ペニーの牧場とライフットの土地が対象。迷ったが、結局権利書を貰った。

◆ 石油の採掘をすることになる

二人で話しているとタナーが入ってきた。すでに権利書のことを知っており「二万ドルで売ってほしい」と切り出した。

意地っ張りなチェロキーは「自分でやるわ」と言う。もちろん経験はなくできるわけもない、とにかくタナーに対抗して言っているだけで単なる意地っ張りである。

「試掘に10万ドルかかる。成功するとは限らない。今権利書を売れば、すぐに現金が手に入る」。

チェロキーは「自分でやる」の一点張り。

ここでジムが入ってきた。タナーに抗議することがありタナーと話した。タナーは出て行った。

試掘するには資金がいる。それを聞いてジムは「牛の購入代金に予定していた金を貸す」と言う。

二人は合意するが、ピンキーは「無鉄砲だ」と批判した。

◆ 試掘は失敗した

作業員を雇ってせっせと石油の試掘をしている。なかなかうまく行かない。

男性が近づいてきた。作業員のやり方を見て笑い飛ばした。ブラッド・ブレイディー、権利書をプレゼントしてくれたジョニーの息子である。石油の採掘の技術者とのこと。

ブラッドと作業員のチャーリーが殴り合いの喧嘩を始めた。ブラッドが泥水の中に落ちた。しかし二人は笑い合った。

ここで水が勢いよく噴き出した。チェロキーは「石油が出たっ!」と喜んだが、水であることを知ってがっかりした。「15000ドルが消えちゃった」と立ち去った。

ブラッドは水の味を見て匂いを嗅いでいる。「もしかしたら見込みがあるかも」という顔つき。

◆ タナーに金を借りる

ビルの中でチェロキーがジムに謝っている。試掘が失敗したからである。

またタナーが来た。状況は把握しているようである。用件はまた「採掘権を売ってくれ」。ここでもチェロキーはまた意地を張って拒否する。

ブラッドが来た。少々興奮している。「セメントを入れて、水を止めれば、さらに掘り進められる。資金をくれ」。チェロキーには金がない。

タナーが金を貸すという。5000ドルを三週間。ダメであれば、採掘権を無条件で渡すという話。チェロキーが悩んだ顔をするとブラッドは「やれっ!」とチェロキーの肩を叩く。

それで交渉が成立した。

◆ やっぱり石油は出なかった

さらに作業を続けた。夜間も作業を続ける。

井戸はだんだん深くなる。600メートル、640メートル。しかし成果は上がらない。

「やっぱりだめね」「いやまだだ」と何度も繰り返す。

三週間が経過して最後の日。二人はもう諦め顔。ブラッドはチェロキーを食事に誘った。

食事とダンスをした。タナーもいる。それからサイコロで賭博をした。ブラッドが最初やって負け。チェロキーがやるとドンドン勝つ。補足。この賭けは石油の話とは無関係。

最後タナーとチェロキーの対決。しかしチェロキーが負けた。

◆ 石油がでたっ!

ここで「一大事だ」と駆け込んできた。「石油が出たぞっ!」。

みんなで駆けつけた。暗い夜空に噴き出した石油が突き上げている。物凄い量である。

流れ出た石油の回収、噴出を止めてパイプを取り付ける作業にかかった。

チェロキーはドレスのまま、流れ出た石油を回収した。「一時間に1000ドルよ」と興奮している。

タナーもジムも来た。チェロキーはブラッドに「教授、キスしてあげる」と汚れた顔を寄せてキスをした。それをジムが見ている。

新聞に記事が出て、ランシング石油会社の業績が上がっていった。

◆ 意見が対立する

ジム、チェロキー、ブラッドがジムの土地を調べている。ジムの土地の下にも石油がありそうとのこと。

しかしジムは嬉しそうな顔をしない。ジムは牧場を大事にしたいようである。ブラッドは「牧場と石油は共存できる」と言う。

しばらくしてジムの土地にも油井が立った。ジムはほどほどにしたいようである。一方、チェロキーはもっと儲けたい気持ちが働いた。

チェロキーのところに他の地主がきた。ランシング社の油井が立っており、その地主に金が支払われている。もっと油井を増やしたいとのこと。ブラッドは「油井をあまり作るのはよくない」と話した。

地主たちを集めた。

まずブラッドが解説。要は油井の数を多くして採取量を増やすと、一時は儲かるかもしれないが石油が枯れてしまう。このような説明をする。

しかし地主たちは、すぐにもっと金が欲しく、油井を多く建てるように要求する。そしてチェロキーも地主たちに賛成した。

わずかにジムだけがブラッドに賛成した。

結局地主たちの意見が通った。ブラッドは出て行こうとしたが、チェロキーが好きなのか、当地に残った。

◆ ランシング社は発展していった

油井の数が増えて行った。ランシング社の売り上げは上がり、タナー社に追いつき、追い越そうという情勢になった。

ブラッドは黙って仕事をこなした。ジムとピンキーがこの動きに批判的であった。ピンキーは「今の彼女は誰にも止められない」と言った。ただブラッドとチェロキーの個人的な関係は円満であった。

チェロキーは大きな屋敷を購入して移り住んだ。

バーティを開いた。知事や州議会議員も出席した。盛大なバーティ。

◆ ランシング社とタナー社が合併した

チェロキーはタナーと話があり、二階に上がった。ブラッドは知事と「土地の保護」について話した。油井の数と採取量の制限。知事もブラッドの考え方に賛同した。

チェロキーのタナーの話は両社の合併のことである。これでさらに大発展が見込まれる。

二人は書類にサインした。その後、タナーはチェロキーに近づいた。肩を抱いて引き寄せる。顔が近づいた。チェロキーは躊躇する雰囲気。

それを二階に上がってきたブラッドが見た。すぐに下りて行った。

ブラッドに気が付いたチェロキーも階段を下りた。階段の途中で止まり、大きな声で叫んだ。「皆さんにお知らせしたいことがあります。私はブラッド・ブラディと結婚します」。これを聞いてみんなは大拍手。ブラッドも笑顔。

ハーティ終了、みんな帰った。チェロキーとブラッドが残った。

ブラッドは知事との話をした。チェロキーはタナーと合併した話をした。

とたんにブラッドの顔色が変わった。ブラッドは怒った。二人の間で激しい言葉が飛び交った。「タナーとは組めない」「それでも男なの。結婚するなら覚悟して」。

ブラッドは出て行った。チェロキーはブラッドの背中に激しい言葉を投げつけた。

新聞に両社の合併の話と、ブラッドが辞任した話が掲載されたが、二人の結婚の話は掲載されない。

◆ タナーはチェロキーに結婚を申し込む

タナー・ランシング石油会社の看板が掛けられた。

チェロキーとタナーが話している。チェロキーは婚約は破棄したことを明かした。

それを知っていたかのようにタナーは持って来た指輪を取り出した。

そしてタナーは「知事選に立候補する」と言う。「あなたならなれるわ」。

ここでタナーはチェロキーに結婚を申し込んだ。チェロキーはちょっと迷っている雰囲気。

◆ ジムが採掘作業を妨害した

ここで「ジムが採掘作業を妨害している」との連絡が入った。「そんなはずはないわ」「いや本当だ」。

ジムは判事に呼び出された。チェロキーも同席する。

ジムは「油井はいらない」と半ば感情的に話している。判事たちは、ジムが先住民であり、市民の資格に疑問があるようなことを言う。

ジムが「私の好きにさせてくれ、金は要らない」と言うと、判事たちは「精神に異常がある。公民権を制限する」と脅した。

ジムが出て行こうとするとチェロキーが止めた。振り切ってジムは出て行った。

しばらく考えたチェロキーはタナーに「やっと目が覚めたわ」と宣言した。

◆ 火災が発生した

ジムは油井地帯を車で回っている。判事たちに言われたこと、自分の考えが頭の中に巡っている。

川のそばにきて休んだ。牛が死んでいる。川に石油が流れてきているせいである。

石油の存在を確認するためにジムは川に火を投げ入れた。川が燃え上がった。

しかしその火は川岸の草に燃え移った。燃え広がっていく。驚いたジムは上着を脱いで火を叩いて消そうとする。しかし燃え広がっていく。

火はどんどん広がって油井があるところまできた。たくさんの油井が燃え出す。

◆ 必死の消火作業をする

ブラッド、チェロキー、ピンキーも油井が燃えているのを見る。ブラッドは消火作業の指示を作業員に出す。

石油が噴出してくる栓を止める。しかし爆発が起きる。手が付けられない。消防車も来て消火作業にあたるが、効果がない。

延焼を防ぐために油井を爆破することにする。ブラッドたちは爆薬を仕掛ける。

チェロキーも作業をしようとするが、危険なのでブラッドに制止される。

チェロキーはジムを発見した。火の中に飛び込んで走り寄っていく。しかし火に取り囲まれた。

この事態を見て、ブラッドはブルドーザーに乗った。毛布を頭にかけた。後ろからホースで水をかけるように指示する。

水をかけられながら火の中に突き進む。ブルドーザーは中に消えた。みんなは見守っている。

しばらくしてブルドーザが出てきた。ジムとチェロキーを乗せている。みんなが駆け寄った。

仕掛けた爆弾を一斉に爆破した。油井が崩れ落ちて、次第に火の勢いが収まった。

◆ ラスト

チェロキーは言った。「油田は再建するわ。油井の間隔は開けて、採取量も制限する」。タナーもこのことを理解した。

ブラッドとチェロキーはキスをした。

その後、タルサは牧場と油田が共存して発展していった。
 


■ 補足/チェロキーの恋愛関係まとめ

ジムはもともとチェロキーが好き。チェロキーの気持ちは不明。

チェロキーに試掘資金が必要になったときに、ジムは牛を買うために積み立てていた金をチェロキーに貸す。注、やったのかも?

石油の試掘成功さらに石油が出始めて、チェロキーとブラッドが接近していくが、それをジムは羨ましそうにみている。

チェロキーの会社ランシング石油の業績が上がり、タナー石油との合併の話が出て来て、チェロキーとタナーの間が狭まってくる。

タナーがチェロキーに結婚を申し込むが、チェロキーは「私はブラッド・ブラディと結婚します」とみんなの前で宣言した。

直後にランシングとタナーが合併すると聞いて、ブラッドはチェロキーと大喧嘩する。しかしブラッドは当地に残る。

油井の大火災が発生し消し止めた後には、チェロキーはブラッドの考え方を理解する。二人はハッピーエンドとなる。
 


■ 出演作

スーザン・ヘイワード
(1942)奥様は魔女/I MARRIED A WITCH
(1938)黄昏/THE SISTERS
(1951)狙われた駅馬車/Rawhide
(1942)絶海の嵐/Reap the Wild Wind
(1946)暁の死線/タイムリミット25時/DEADLINE AT DAWN
(1958)私は死にたくない/I Want to Live!
(1947)私は殺さない/THEY WON'T BELIEVE ME
(1954)悪の花園/Garden of Evil
(1947)Smash-Up,The Story of a Woman