Excel では、複数のシートを選択したまま編集すると、ちょうど複写紙のように、選択された全てのシートを "串刺し" で更新できる。いわゆる「作業グループ」という機能である(※1)。それはそれで便利なのだが、複数シートを選択していることを忘れて編集してしまうと、意図せずに別のシートの内容を破壊してしまう。
今回の場合は、以前に編集した人が、複数シートを印刷するために作業グループを設定し、そのまま保存してしまったらしい。これをやってしまうと、次にファイルが開かれたときに誤って "串刺し" で編集される危険性が高くなる。「編集 → 印刷 → 保存」ではなく、「編集 → 保存 → 印刷」という手順で操作すべきだろう。といっても、印刷した後に更に「念入りな保存」をしてしまうと、意味がなくなってしまうのだが・・・。
幸い、このファイルは、VSS (Microsoft Visual Source Safe)でファイルの編集履歴を管理していたので、さかのぼって修復することが出来た。しかし、こうしたバックアップがなかったら、大きな問題になっていただろう。「こまめなバックアップ」が功を奏した形だ。
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Excel の「作業グループ」については、私自身も失敗経験がある。「作業グループ」を設定して複数のシートの文字列を置換した後、そのことを忘れて、そのまま編集をしてしまったのだ(※2)。
はっと気づいたが、もう遅かった。既に、無意識のうちに Ctrl + S キーを押してしまっていたのである。このショートカットキーは多くのソフトで「上書き保存」に割り当てられているものだ。Excel はファイルを保存する前なら「アンドゥ機能」によってデータを元に戻すことができるが、いったん保存してしまうと、それもできない(※3)。
ヘビーなコンピュータ・ユーザーには、共感される方もあると思うが、私の手は、私の意思とは関係なく、何かのタイミングで勝手に Ctrl + S を押してしまうのだ。「こまめに保存する」という習慣が、この時ばかりは仇になったわけである。この時はファイルの修正履歴も残っておらず、結局、自分の記憶を頼りに復元することになってしまった。
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私はこのような失敗を幾度か経験しているため、Excel の「作業グループ」には「敏感」になっている。だからこそ、タイミングこそ遅かったが、「はっと気づいた」わけである。しかし、初心者ではそうはいかないだろう。そのまま気がつかずにファイルを保存して終わってしまっていたかもしれない。
ファイルを編集するときは、とにかく「保存すれば安心」と考えがちだ。確かに、ほとんどの場合、それは間違いではないだろう。しかし、上述のようなことを考えると、いつもそれだけでよいというわけでもないのである。
※1
例えば、3つのシートを選択し、1シート目のセルに「ほげ」と入力すれば、2シート目や3シート目の同じ位置のセルにも「ほげ」と入力される。また、本文中にもあるように、「作業グループ」だけを対象とした印刷や検索もできる。「作業グループ」の設定方法については、「複数シートへの一括操作-作業グループ(インストラクターのネタ帳さん) をどうぞ(TBさせてもらっています)。
※2
続けて作業していればこんなことはないのだろうが、途中で電話が掛かってきたりすると、そんなこともある。
※3
Excel の機能として、「作業グループ」の編集時に警告を出すように設定できるとか、ファイルを保存する前までアンドゥできるのであれば、この問題はある程度解消される。もしかすると、私が知らないだけで、できるのかもしれない。使っているのは未だに Excel 2000 だし・・・。
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