B級映画の帝王ロジャー・コーマンが製作したカルト映画。 主人公を演じるデビッド・キャラダインの他、「ロッキー」でブレイクする前のシルヴェスター・スタローンがライバルを演じる等の見所も、、。

 

 

 

 

 

 

 

 - DEATH RACE 2000 - 監督 ポール・バーテル  製作 ロジャー・コーマン

 

 出演 デビッド・キャラダイン、シルヴェスター・スタローン、

                         シモーネ・グリフェス 他

 

こちらは1975年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(84分)

 

 

 

 

  時は西暦2000年。 その年も国民から絶大な人気を誇る デス・レース が開催されることになります。 大統領主催のこのイベントは、3日間をかけニューヨークからロサンゼルスまでの大陸横断をするというレースですが、その試合はタイムの他、道中でひき殺した人間の数やその年齢によってポイントが加算されるという異様なものでした。テレビが中継する中、レースに参加する選りすぐりの5組がレース場に登場してきます。

 

 

 

 

雄牛をイメージさせる角が付いた車に乗るカラミティ、ナチスの鍵十字をあしらった車に乗るマチルダ、ライオンをモチーフにした車で登場したのはクレオパトラ、マシンガンとナイフが施された車で登場は嫌われ者のマシンガン・ジョーと、続々スタートラインに着きます。 最後に登場したのは、去年の優勝者でレースの人気者のフランケンシュタインが、爬虫類をモチーフにした車で乗り込んで来ます。 黒いマスクを被り、全身黒ずくめの衣装の彼は、レースで負った怪我で身体中つぎはぎだらけだという噂でした。

 

 

 

 

それぞれ異性のナビゲーターを乗せた二人一組のレース、フランケンシュタインには新しいナビゲーターのアニーが乗り込みました。そして中継の大統領の合図によってレースのスタートが切って落とされます。 出場者それぞれの思惑を乗せて、ゴールへと走り始めます。その裏では、こんな恐ろしいレースによって国民の人気を得ようとする大統領に反抗するレジスタンス達がレースを妨害しようと活動を始めていましたその仲間の一人はこのデス・レースに潜入していたのでした、、。 というお話です

 

 

 

 

B級映画の帝王と言われるロジャー・コーマンが製作した本作は、公開当時から話題になり、カルト映画ながらなかなかのヒットになった作品です。 2008年にはあの「バイオハザード」のポール・W・S・アンダーソン監督、ジェイソン・ステイサム主演、によってリメイクまでされているという長年を通して愛されている作品でもあります。一番の見所はやはり低予算ながら一応頑張った感のある独創的なマシンのデザインでしょうか? 個性的でユーモラスで、あか抜けないルックスがなんとも素敵ですそれに乗るレーサー達のコスチュームも意外に可愛く、女性のヘルメットなんて今のスマホより遥か前の時代でありながら、女子用にデコられていて楽しいです。

 

 

 

 

その中でも一段と異様なコスプレの主人公フランケンシュタイン。 真っ黒ヘルメットに運転に支障をきたしそうな長い黒マントをひるがえしている姿はもう失敗したダース・ベイダーにしか見えません。 そんな恰好をしながらデビッド・キャラダインが真面目な演技をするものですから、シュールな笑いとレースのバイオレンスの狭間で観客は我を忘れてしまいます。 スタローンも「ロッキー」直前ながら意外に長尺で出演していて、序盤の登場シーンではマシンガンを客席に向けてブッ放す場面があるのですが、その姿はただの「ランボー」そのままで、後の姿を知った上で観ると感銘深く思えるのでありました、。

 

 

 

 

レース自体はバイオレンスですが、そこに血や殺人のえぐみはほとんど無い為に、意外とフラットな感じで観れてしまいます。 映画のメインであるはずのレースの攻防もけっこうゆるく、序盤から順位を争うというハラハラドキドキの醍醐味はほぼ放棄されていて、誰が1位になるか?といった観客の期待は、レースのスタートから数分でそれがどうでもいい事だと全員が気付く事になります。 

 

 

 

 

だからつまらないか?と言えば決してそんな事はありません。 ゆるいながらも時折見せてくれるカーチェイスや、車載カメラで捉えたスピード感ある映像は結構見応えがあります。 他にも、「ゴレンジャー」や「西部警察」を思わせる爆破が要所々で炎を上げたり、お約束のお色気セクシーシーンもあったりと、ちゃんと観客を楽しませる事も怠っていません。

 

 

 

 

そのくせラストでレースが廃止になった事をうけて、「暴力的な映像がどれだけ不快かが全世界は気付いたはず」 と語り、それに反対するテレビ局の人間に、「競争と殺戮はアメリカの文化だ!暴力のどこが悪い?」 と叫ばせた上でひき殺すというブラックな社会風刺で終わらせるという絶妙なバランスを持ち合わせた作品です。

 

 

 

 

仮装大賞を思わせるキッチュさと、様々な制約の中で頑張っている現場感が混ざり合って独特な風味を醸し出しているコメディ&アクション&セクシーが揃った優良B級映画に仕上がっています。 製作側も楽し気で、観てる側も楽しめる、ウィンウィンなカルト作品だと思いますので、機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です

 

では、また次回ですよ~! パー