深夜の路上レースで、うまいこと賭け金をせしめたドライバーと相棒のメカニックは、ロサンゼルスを飛びだし、フリーウェイを南東にとばした。止まるのは食事と、燃料補給の時だけだった。フラダスタフを出た所で、昼食をとるために車をおりた。そして再び戻ると、後部座席に見たことのない娘が乗っていた。お互い何もいわないまま、車は再び猛然と走りだす、、。
-TWO LANE BLACKTOP- 監督 モンテ・ヘルマン
出演 ジェームス・テイラー、ウォーレン・オーツ、デニス・ウィルソン 他
こちらは1971年制作の アメリカ映画 です。(102分)
アメリカンニューシネマの中でも異色の一本の本作は、登場人物に名前が付いて
いません。 ロードレースでお金を稼ぎながら町から町へと旅するドライバーとエン
ジニアの二人の車に乗り込んだ娘との、あてのない旅が描かれたロードムービーです
しかし彼等の旅には目的地はありません。 55年型のシェヴィ に乗り、ただ新しいレ
ース相手を見つける為に東へと向かっているに過ぎない旅。 後部座席に乗り込んだ娘
も、これといった目的は無いのです。 そんな旅の途中でポンティアックに乗った中
年男のGTOと出会い、互いの車を賭けてワシントンDCを目指す長距離レースになりま
す。
車とレースにしか興味のないドライバーとエンジニアの刹那で先の見えない生活。
ヒッチハイカーを乗せては嘘の経歴を喋りまくる指針を失った孤独なGTO。そんな2
組の車を行ったり来たりする娘は、最後に寄ったドライブインで荷物を捨て、見知ら
ぬバイクの若者のバックシートに乗ってどこかへ去って行きます。 残された男達は
賭けの事も忘れて、再び自分の道へと帰っていくのでした、、。
漠然とした70年代の刹那と孤独、無気力感と疲弊感が支配した、空虚な世界です。
カーアクションもなければ、これといった事件も起きないアンチ・ロードムービーと
も言える、もう一つのアメリカンニューシネマなアート作品となっております。
機会があれば一度ご覧になってみて下さい。 ではまた次回ですよ~!