能役者青木健一のお稽古日記。 -5ページ目

能役者青木健一のお稽古日記。

能役者、観世流青木健一(梅若研能会所属)の日々の活動や能に対する想いを記すお稽古日記。

父一郎からの教え、芸大在学時の先生方からの芸談等を更新。

東京は昨日は知事選でしたね。


僕も納税者として、汚れた一票を投じて参りました!!



投票所は僕の母校、武蔵野市立第三中学校の被服室でした。校内に入りますと校庭でサッカー少年達がトレーニングしてましたよ。またここの桜もまだ残ってて嬉しかったですよ。



汚れた一票01



看板を見て初めて自分の住んでいる地区が第4投票区だって事に気が付きました。


汚れた一票02



汚れた一票を投じた後に校門から出ますと、ツツツッっと僕に寄ってくる人影が!!


よく見ると腕章に「朝日新聞」とありました。



「あの~ちょっとお時間宜しいですか?」


「あっ、いいですよ。」



選挙の出口調査を受けるのは初体験だったので、おどおど (((( ;°Д°)))) しながら答えました(笑)



「どなたに投票されたのですか?」


「あっ、■■■■さんです。」


「どうしてですか?」


「多分石原さんが勝つんでしょうけど、ただ圧勝されても…。外遊でお金を沢山使ったり、情報公開も遅れているとか問題もあるので。」


(中略)


「失礼ですけど、年齢とご職業は?」


「24歳。一応、舞台役者です。」


「俳優さんですか。石原さんは芸術にも援助してますよね…?」


ここで僕の携帯が鳴ってしまい最後まで答えられずに行かなければならなかったんです。



最後の質問。もし答えるならば…

「伝統芸能の役者なんですが、いくら役者が援助されても、お客さんの生活が豊かにならないと来て貰えないですから。それに助成金ばかりに頼っていると、その場はしのげますけど、本当の意味での伝統芸能継承って成し得ないんじゃないかと思いますし。」



この一言が言えなかったのが悔やまれる初体験の出口調査でした。




追伸 今朝のニュース見たらば結構石原さんへの反発で石原さん以外の人に入れてる人が多かったですね。僕と一緒だ、と思う反面、みんな考えることは一緒なのか?とも思いました(笑)






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やっと、よぉ~やっとお花見が出来ました!!

やっぱり一年に一度、井の頭公園の桜を見ずして、吉祥寺在住とはとても恥ずかしくて言えません!!


お花見と言っても、日中年中無休で仕事の僕にとっては、常に夜桜なんですがねぇ~(笑)。ただ、住み込みの内弟子をやってる方は夜桜も出来ないんでしょうから、自分は恵まれていますo(^-^)o


さてさて、先週の日曜が満開のお花見日よりだったので、もう葉桜になってるかなぁ~と思ってまして、

「まぁ、風情だけでも味わうか」

と生意気を言って井の頭公園へ。



そしたら…まだまだ花が咲いてましたよ!!ちょうど桜も散り際で、ちょっと風が吹くとパラパラと花びらが舞って、これがまた綺麗なんですよ♪


「散り際まで美しい。自分もそうありたいものですなっ!!」

青木はもう散っちゃうの?(笑)


桜は人生の師匠です
♪(*'-^)-☆
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午後8時10分
無事に公演も終了しまして、同会館の会議室で慰労会がありました。


僕が薪能やホール能でいつも思うのが、舞台を作って下さる方、会場の受付に立って下さる方、目に見えない所で働いて下さる方がいて、初めて舞台に立てるのだなぁと実感してます。

舞台を作って下さった方と特にお話しをしたとかでは無いのですが、感謝の気持ちを胸に東京への帰路へ就くのでした。

(写真は慰労会の様子)
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午後3時
無事明野に到着しました。
バスの中では研能会の先輩長谷川さんのお隣に座りまして、
「茨城の方が桜咲いてますね」とか
「長谷川さんはどういう経緯で研能会に入られたのですか?」とか
色々話しを聞かせて貰ったのですが、一番興味深かったのが一昨年の欧州公演の時の話しでした。

長谷川さんは欧州公演の際に現地大使館や国際交流基金との連絡&プロモーター的な係りをされていて、かなりご苦労があったとか。

「最後には精神力の強さが無いとダメだね」
という言葉がずっしりと重みを持っていました。



会場となる明野町中央公民館に到着し、早速楽屋の準備(装束をカバンから出したり、舞台の照明などを見たり)をして公演に備えました。


番組
明野薪能

5時30分~
地元小学生による狂言小舞「七つ子」、狂言「しびり」

6時~
狂言「棒縛」野村万蔵

6時20分~
能「巴」清水寛二

7時30分~
素囃子「獅子」
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今日の明野薪能は去年と同様に青山鉄仙会の方々と梅若研能会との混成部隊での公演です。この様な混成部隊は1年のうちでもそう経験出来ません。



午後1時
青山鉄仙会に集合した今日の出演者一行は貸切バスにて一路茨城県明野へ向けて出発しました。


皇居のお堀には満開の…葉桜(笑)
そういえば今年花見してないし…(泣)


実は明野の天候が不安定で、当初は野外で公演の予定がホールでの公演に決定しました。
去年もホールでしたし、桜もちょうど散り始めなので、今日は是非とも野外でしたかったのですが…残念です(>_<)


多分僕の日頃の行いが悪いからなんですよ、きっと…。

どうしよ~かなぁ~?


やろうかなぁ~?


やめよ~かなぁ~?



んっ!!やります!!(何を?)



久々にやりますよ~ライブ中継企画!!




去年もお邪魔しました、茨城県明野で本日催される「明野薪能」をライブ中継いたします。


と言っても、ケータイを使って、リアルタイムにブログ更新という形で、しかも著作権の関係上、能の舞台写真は掲載できないし、今回は楽屋働きをしますので、満足に更新できないかも知れませんが…


能役者、しかも内弟子て~のはこんな仕事してんだよ!!ってのが皆様に伝われば幸いです。



それでは、又後ほど~☆

この4月から始めたことがあります。


それは代々木上原に出勤する際、自宅から吉祥寺駅まで歩くことにしました。


今までは自転車だったんですが、今年度の駅前駐輪場使用にあたっての抽選に漏れてしまい仕方なく歩いています。



結構時間がかかるので、バスを使おうかなとも思ってます。




ただ、今までと同じ道で吉祥寺駅まで行くのに、自転車からの風景と歩きの風景は全く違いますね。


自転車でパァァ~~~と通り過ぎてしまっていた所が、歩きだと意外と視界に入ってくるものです。



その小さな発見が…



小さな発見


今の時期満開の桜です。



地域のコミュニティーセンター「九浦の家」のお庭です。歩いていると、満開の桜が目に入り、ちょっとだけお庭にお邪魔しましたら…本当にきれいな桜が咲いていたので、思わず写真に納めてしまいました。




今の時期って日本人に生まれて本当に良かったなぁ~と思う季節の一つですよね~。あぁ~、お花見に行きたいぃ~!!





内弟子とはいえ、住み込みではなく通いの身の自分は、意外と夜は暇してたりするのです。



昨日はその暇を「CONDORS(コンドルズ)」の為に使ってみました。




「CONDORS」って知ってます?


CONDORSとは…男性のみ、舞台衣装は学ランのダンスカンパニー。綿密かつハイスピードに、ダンス、生演奏、人形劇、映像、コントを展開する熱狂のステージで、国内、海外を問わず大活躍中。


主宰の近藤良平氏は氣志團や矢井田瞳、宮崎あおい主演「星の王子さま」などの振り付けを担当し、第4回朝日舞台芸術賞寺山修司賞も受賞。TBS「情熱大陸」でも取り上げられた人物。



で、その「CONDORS」の舞台「太陽にくちづけ7 バック・トゥ・ザ・フューチャー」が新大久保にあるグローブ座であると言うことで行ってきました。以前書きました「猪鍋」の時にFさんからお誘いを頂き、なんとかスケジュールをやりくりしてみました(猪鍋の時のブログですhttp://ameblo.jp/aoki-nohactor-blog/day-20070110.html




まずグローブ座に入ると、受付でこんなにチラシを貰っちゃいました(笑)凄い量です。普段能楽系統のチラシのデザインってみんな似てるんですよねぇ~。こういう他の舞台のチラシって自分で作る時の参考になるので、「全部」持って帰って来ました(笑)


CONDORS01




「どんな舞台でしたか?」


と聞かれると説明に苦労します。知ってる方はお分かりでしょうが…


「なんとも言葉では説明できない感じ」なんですよ。




ただ言えるのは、


「ダンスをしている時の彼らの身体能力は素晴らしい」


「合間合間のコントが面白い」


「大人の放課後って感じ」





う~、説明が成功してませんね(苦笑)



とにかく、衝撃(笑撃?)でした。




説明が成功しなかった代わりに舞台写真(と言っても受付で貰ったチラシの中に入っていたのですが)を載っけておきます。

最後のクライマックスの時の写真かな??



CONDORS02



しかも、「CONDORS」のチケットはすぐに売り切れてしまうほどなんだとか…。この前のある能の公演のガラガラの客席と比較するとかなり差があります…。



能と「CONDORS」。


全く種類の別の舞台芸術であることは十分わかってます。


でも、能や伝統芸能に興味関心が少しでもあって、大事に受け継がなければならないと思っている人がいるならば、僕ら能役者は「その人達の為に何が出来るのだろう?」「どの様にしたらば、もっと能を好きになって貰えるか?」という事を常に考え行動に移していく必要があると思いました。




まぁまぁ、ともかく昨日の夜は「満足、満足、大満足ぅ~♪」な夜でした

о(ж>▽<)y ☆








昨日は…と言ってもこれを書いてるうちに一昨日になっちゃうかも(笑)


梅若研能会3月公演でした。



僕は最初に仕舞を舞って、その後に能の地謡を2曲謡わせて頂きました。


合計で2時間くらい舞台で出演していた事になりますかね。



長いですね~と思われた方へ、まぁそれくらい普通ですから(笑)





さてさて、その1曲目の能の時に、勘違いをして僕1人だけ謡を余分に伸ばしてしまいました。


ご存じの方もいるかとは思いますが、能の地謡は8人で構成されていて、全員で同じ旋律を謡います。


1つの謡のフレーズの終わりにどれくらい最後の音を伸ばすか記号が書いてあります。


それを覚え違えしていて、他の7人の地謡の人が謡い終わっているのに、ほんの少しだけ僕の声だけが残ってしまいました。




それ自体僕のミスで弁明しようがありません。


舞台から降りてきて、何か言われるかな~と思っていたのですが、何も言われませんでした。



でも、昨日の公演が全部終わって片づけをしていた時に、1曲目の地謡を一緒に謡っていた人に


「さっき、少し謡い残ってたでしょ?」


と言われ、



どっきーんΣ(・ω・;|||



「はい、お邪魔しました。」と必死に返す僕。


更に

「あっ、お邪魔にもなってなたったですか?」と切り返し。



すると


「まだまだ、お邪魔にもなってないね」と…。



結構頑張って謡っていたのに… 。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。




せめて「お邪魔」になれるよう、稽古に励もうと思うのでした(`・ω・´)ゞ










「青木ってさ、普段何してんの?」


「えっ?内弟子。」


「だから、どんな仕事してんの!?」


「う~、事務仕事…かなっ?」



久しぶりに会う友達との会話はいつもこんな感じ…。


内弟子の仕事って中々説明しずらいんです。



ただ今日の仕事は『内弟子らしいお仕事』でした。(笑)





それは…





明日の舞台で使う小道具作り!!




明日は渋谷で梅若研能会3月公演があるんです。


日時/平成19年3月15日(木)17:30~

場所/渋谷・観世能楽堂

入場料/6500円~2500円

お問い合わせ/梅若研能会03-3466-3041 観世能楽堂03-3469-5241



そこで上演される能「百万(ひゃくまん)」で使う小道具「狂い笹(くるいざさ)」を作りました。



この能の主役「百万」と言う女性は夫と死に別れ、たった一人のわが子とも生き別れてしまいます。その為に心が乱れ「狂乱」の状態になります。


能ではこの「狂乱」の状態の役が登場する場合は決まって「笹」を持って登場します。


どうして笹を持つのかと言うと、自分が狂乱していると言うことを周りの人に知らせる為に笹を持つのです。


すると狂乱している人を見に色々な人が集まってきます。そこで自分の子供の情報を得たりしているわけです。


なぜ、他の植物ではないかというと、多分一年中、しかも日本のどこでも笹が生えているからなんでしょう(推測)



造花を使う事も近年多いのですが、梅若研能会では「生木」を使って、昔ながらの作り方をしています。





以下にザッと作り方を書いておきます。






代々木上原の先生のご自宅の庭には笹もたくさん生えており、なかから枝ぶりの良い物を見繕い舞台に即した形へと整えてゆきます。しかし、去年末に植木屋が庭をきれいにした際、ほとんどの笹が伐採されてしまい、残った笹も葉が黄色く変色していたりと見るも無惨な状況でした。


その少ない中から良い物を二本選び、すぐに室内へ持ち帰り、水を張ったバケツの中でもう一度枝を切ります。こうする事によって、切った切り口から水分を補給させ、乾燥によって葉が丸くなるのを防ぎます。


笹01



次ぎに必要のない枝を落としてゆきます。笹の持ち枝で重要なのは一番外側の葉と幹(写真の赤線部分)で、それ以外は残しておいても視覚的に効果はありませんので…


笹02


下の写真のように葉の付いていない枝や葉の小さい枝を切ります。


笹03



さて、ここからが問題です。効果的な葉を残したとはいえ、まだまだ葉が多いです。だからといって幹から伸びる枝(写真の赤線部分)のうちの一本を考えなしに枝の根元から切ってしまうと…


笹04


下の写真のように空間が出来すぎてしまいます。


笹05


ですので、枝の葉を一枚一枚切っていきます。

基本的に先の方の葉(写真の紫線部分)は残して、途中の葉を落とします。これらを落とすと笹全体の形に多大なる影響を及ぼすので、出来るだけ最後まで残しておきます。

笹06


落とす基準は葉と葉が重なっている所を探し、根元に向かって生える葉(写真で言う赤線部分)を落としていきます。あとは感覚的経験的にこの葉は邪魔だと判断したら落としていきますが、一度落とすと元に戻すことが出来ないので、大胆且つ慎重に落としていきます。



笹の枝は幹に対して水平方向に伸びていきます。従って一本の幹で持ち枝を作ると葉の表の面と裏の面が出来てしまい、舞台上で使用中に裏の面が見えてしまう事になり、持ち笹を立体的に作ることが要求されてきます。


そこでもう一本の笹を同じように作り、葉の裏の面と裏の面を合わせるように幹と幹をテープで固定し、その上から幹に似た色の手芸用造花テープを巻き付け一本の幹にします。


笹07


最後に微調整をして完成となります。所要時間約一時間!!なんでこんなに時間を掛けるかと問われれば、やっぱり能を勤められる方にきちんとした物を使って欲しいと言う気持ちもありますし…一言で言えば「研能会愛」ですかねぇ~(原監督の「ジャイアンツ愛」より)。