牛の頭を持つ神さま「牛頭天王(ごずてんのう)」
「牛頭天王(ごずてんのう)」とは、天竺(インド)の祇園精舎の守護神で、疫病除けの神さまでもあります。
この牛頭天王、善神なのにもかかわらず、その化身である「牛鬼(ぎゅうき)」の方は、なぜか人々に害を及ぼす鬼として描かれているようです。
以下は「丑御前(うしごぜん)」という名の牛鬼のお話です。
古浄瑠璃、「丑御前の御本地(うしごぜんのごほんち)」
平安時代、武将・源満仲の妻は子どもを授かりますが、胎内に宿ったのは菅原道真の霊「北野天神」でした。
胎児は3年3ヶ月もお腹にいた後、丑(うし)の日、丑(うし)の刻に生まれます。(それが「丑(うし)御前」の名前の由来)
生まれた時から歯が生え揃い、髪の毛が四方に広がり、両目は朝日のように輝き、まるで鬼神のようでした。
そのため満仲が、臣下に子どもを殺すよう命じます。
しかし母の気持ちを汲んだ臣下は、密かに子どもを大和国の金峯山(きんぼうざん)に隠し、女官に育てさせます。
それから15年、ついに事の真相を知った満仲は、激怒し、丑御前の討伐を命じます。
それに対して、丑御前も兵を集めて応戦します。
激戦の末、最後に丑御前が巨大な牛と化し、敵を打ち破ります。
丑御前は、忌み嫌われて追い出され、ついには攻められることで鬼となった、悲運な存在だったのです・・
(同じ話で、若干内容の違うものがあるようです)
・・この丑御前(うしごぜん)の話、「ミノタウロス」と似ているような・・ ( ゚д゚)
「ミノタウロス」は、クレタ島ミノス王の妻パーシパエが、呪いによって雄牛と交わったことで「半人半牛」の姿で生まれます。
星や雷光を意味する「アステリオス」と名づけられますが、後にミノスの牡牛を意味する「ミノタウロス」と呼ばれるようになります。
なので、もともとは「雷」「光」という意味を持っていたのです。
成長し、凶暴となっていくミノタウロスを、父のミノス王は迷宮に閉じ込めます。
そして結局、英雄テセウスに殺されてしまうのです。
望みもしないのに、牛の姿に生まれ、忌み嫌われて追い出され、ついには襲撃される・・
二つの話には、共通点があるように思えます。
丑御前は「北野天神」の霊が宿っています。
ミノタウロスは「光」という意味を持っています。
実は強大な力を封印するため、本当の姿が隠されていることの、比喩的な表現なのでは?
自分の勝手な解釈になりますが・・
「牛」は、「丑(うし)の刻」「艮(うしとら)」の意味。
角を伸ばせば宇宙の叡智が得られる方角、「鬼門」
鬼門の先に鎮座するのは、「艮の金神(うしとらのこんじん)」
=「国之常立神(くにのとこたちのかみ)」
それが、恐ろしい「牛鬼」とされて忌み嫌われるよう、隠されているのでは・・??
・・なんて、思ってしまうのでした・・
(妄想でーす( ´ ▽ ` ))