大阪府和泉市の親子ひろば
エンゼルハウス青葉台で開催中の
発達っ子ママ&パパの会「にじいろ」
サポーターのEMIです
今日はこちらの記事の続きのお話
聴覚情報である“話しことば”が耳に入ると、私たちの脳内ではそれを具体的な映像に変換する作業が行われます。
例えば「いぬ」という言葉を聞けば、頭の中に「いぬ」の映像が浮かび、すぐにことばの意味を理解することができますね。
発達に課題のある子は、この変換に時間がかかるうえ「集中して話を聞くことが難しい」「聞いたことをすぐに忘れてしまう」「言葉の微妙なニュアンスを理解するのが難しい」といった弱さもあるため、日々の関わりのなかで口頭による指示の伝わりにくさを感じることも。
発達支援の方法のひとつに、視覚支援という方法があります
ことばでのやり取りが苦手だったり、主に視覚からの情報に強い発達凸凹の人たちが、見通しを持ちながら生活していくための支援方法・ツールです
我が家での視覚支援のスタートは、登園前の切り替えがなかなかできにくくて、園バスの時間に出発できなくて困っている…と療育園の先生に相談したところ、言葉で伝える+タイマーを使って誘導してみたり、園バスの写真カードを見せて誘導してみるのはどうかな?というアドバイスをいただいたのが最初のきっかけでした。
前回の記事で紹介したタイマーアプリを使って、うまく動いてくれる日も出てきたものの、アプリを見せようとすると今度はそのスマホを触りたがって大騒ぎするというループに…
当時、朝の支度を終えるとテレビやiPadを観ていることが多かったのですが、そこからの切り替えが難しいのと、夢中になって観ている視覚情報に引っ張られてこちらの指示もなかなか入らず
アプリで誘うのもあまり効果がなくなってきた気がするし、ここでカードを見せたぐらいでうまくいくのかなぁと思いつつも、藁にもすがる思いで作ったのがこちら
こんな感じで見せていきました
園では絵カードを使ったの事前の予告があると、活動予定に合わせて動けることもあるとのことだったので、簡単な見通しがつくようにこんなふうに貼って見せていったり。
終わったものからカードをはがして次の行動に移る…というルールを取り入れたのが本人的には楽しかったようで、乗っかってきてくれることが増えました
あとはおそらく、「いつもと同じ」がとても落ち着く長男。これは園でやってもらっている支援と同じ方法というのが安心材料にもなったのかなと思います。
当時、3歳後半。少しずつ言葉が増えてきていて、簡単なやりとりも少しずつできるようになってはきていましたが、こちらが投げかけた質問や言葉もオウム返しになったり、一方通行だったりすることが多く、とにかく口頭指示が全っっ然通らなくて困っていました
今思えば本人の中でも見通しがつかず混乱していたのでしょうね
絵カードを見せて予定を伝えたり、行き先の誘導をしてあげることで、登園の支度や朝のルーティン、帰宅後の生活リズムをなんとなく理解していくことに繋がっていきました
この他にもはみがきとか着替えなど朝の準備に必要なカードを作って支度を促したり。
バスやごはん、はみがきなどは
ネットで絵カードと検索すると、絵カード用の印刷用素材などもたくさんあって、可愛いイラストのカードもあったのですが、
長男の場合は普段自分が目にしている物そのもの(食器ならいつも使っているもの、バスもイラストよりはいつも乗る園バス…など)の方が入りやすいようでした
もちろん絵カードを使ったからといって万事解決するなんてことはなく、毎回毎回うまくいくわけではないです
やりたくないからはがしたり、違うものに貼り替えたりと、おもちゃになってしまうこともありましたが
不安が強かったり拒否が多かった3歳代。
その後、見て理解することで不安を和らげ、彼の得意な視覚からの情報認知をうまく活用して見通しを立てられるようになったことで、親子共に少しストレスが減りました。
我が家の場合、スケジュール管理や誘導から始めた視覚支援ですが、園ではごほうび的な使い方であったり、要求を伝える手段として使っているシーンもよく見かけていました
運動会の表彰台でメダルとは別に持たせてもらっていたはらぺこあおむし
園生活の中でも次の活動場所に移るときや切り替えがうまくできたときなんかもよく持たせてもらっていました
これってとても大切で、本人の意思と反するものばかりだと嫌になってしまうこともあるので、
絵カード見ると楽しいことがある
って思ってもらえるように、
本人の好きなものでカードを作ってあげるのもいいと思います
スケジュールの視覚支援を始めてみようと思ったときに、いきなり苦手な「病院」の予定を伝える
…これはうまくいかないことも多いです
子どもからすると「この予定表には嫌なことばっかり書いてある!見たくない!」となります
親としては、困っていることがあって始めることが多いので、ついついやってしまいがちですが
禁止行為や本人にとって嫌なことを伝える手段として始めてしまうとうまくいきにくいのかなと個人的には思っています
上記に対して、
スケジュールに「公園」「おやつ」など好きなことを入れて誘ってみたり、
苦手なことに誘導するときもその後にごほうび的なイベントを入れてあげると、
子どもは「この予定表には好きなことが書いてあって、見るといいことがある!」となるようです
少し高度ですが、絵カードを見てくれるようになってきたら、
ほしいものや要求を絵カードを介してちょうだいというやりとりをしてみたり、
複数ある中からどれ?と
選ばせるなどでコミュニケーションを促していくのも効果的でした。
言葉での表出が少ない子は自分の要求を伝える術がなく、ストレスも大きいです癇癪に繋がってしまうこともしばしばですが、絵カードを用いて伝わった!という成功体験から、伝えたいという意欲も出てきて、スムーズなコミュニケーションや発語に繋がっていくお子さんも
慣れてきたら、徐々に不安なこと・苦手なことも伝えていけるとよいですね。
最初は指示は2つか3つまで。
たくさん出すとわからなくなるからね、という園の先生からのアドバイスをもとに、簡単なスケジュールにしていましたが、視覚支援を始めて1年ちょっと経った頃からはスケジュールボードを少しアップデートしていきました
この頃、年中さんの後半。少しずつ言葉が増え、お友達と遊ぶことはまだまだ少なかったものの、少しずつ周りに興味も出てきた様子でした
1年半後に迫った就学の選択を見据えての次年度の年長さんの1年を、進級してこのまま療育園で過ごすのか、地域の園で少し大きな集団を経験させるべく、加配の先生をつけてもらうかたちで転園するのか悩んでいました
地域の園に行くとなればまたガラッと生活リズムが変わることもあり、そのあたりも含め、当時の担任の先生に相談しながら、家でできる支援を試行錯誤していました
そんな時、当時の担任の先生から「絵カードに文字を入れてみたらどうかな?意味はまだわからなくても形を見て覚えると思うよ」と予想外のアドバイス
はらぺこあおむしの歌が大好きで、生活の中でも一日中、思い出してはこの歌のフレーズを繰り返しているのはこの頃も相変わらずだったのですが、歌に出てくる曜日のフレーズのおかげで曜日の感覚がついてくるかもしれないから、週間予定みたいにしてスケジュールを見せてみてもいいかもねというアドバイスをもらい、スケジュールボードもアップデートしていきました
↑当時は療育園や保育園の写真付きカードで
各曜日に予定を貼っていました。
曜日もひらがなでした。
当時の私は、いろんなことが周りの子より遅れているゆっくりさんな息子にとって、文字や日付・曜日の感覚なんてまだまだ難しいだろうなと思っていたし、教えていくつもりもまだ全然なかったのですが、この後1年ほどかけて、曜日、日付の感覚、そしてまさかの文字も。このスケジュールボードから興味を持ち始めていきました。
これはまさかの副産物でした
スケジュールをきっかけに入学前にひらがなを読んだり書いたり、少しずつできるようになったのです
不安が強く拒否が多かった3歳代から
不安を和らげ、見通しがつくことで、切り替えがスムーズになった4歳。
転園時の生活の変化をサポートした5歳。
入学準備に向けて見直しをした6歳。
成長に合わせて少しずつアップデートしながら、長男と歩んだ絵カードの束。
今では使わなくなったものもありますが、ずっと捨てられなくて大事に残しています
そんな長男は今でもスケジュールを見て確認するのが大好き。
長男がそうしているのを見て育った次男も同じくです。
特性は真逆の兄弟なのですが、見てわかりやすいことは彼にとってもプラスに働くようです
ツールも活用の仕方もいろいろな視覚支援
お子さんにピタリと合うものがあればそうでもないことも
発達の兼ね合いもありますが、学校・園でも家庭でも、視覚的なサポートが生活に合った形であることで、見通しをつけていける良さがあると思います
息子の視覚支援は6年目。
成長に合わせて形を変えて続いています。
トイトレ時に使っていた絵カード。
オムツ、年長さん時点でもなかなかで、この先一生外れないかもしれない…と思っていましたが、今では自分でトイレに行けるようになりました。(トイトレの話もまたどこかで改めて…)
入学前に小学校の写真を撮りに行って絵カードにして見せたり、入学前のお休みに、朝のルーティン通りの時間で家を出て、空っぽのランドセルを背負って通学ルートを一緒に往復してみたり。
朝の支度ルーティンをホワイトボードで見せながら、現在使っている簡易のタイムタイマー時計がこちら🕰
↑旅のしおりを作って旅行に行った話はこちら。
生活の中でも、マークやイラスト、写真などの視覚情報を使って、「どこに何を片付けるのか」「次に何をするのか」などがわかりやすい環境づくりを心がけると◎
環境をわかりやすく整えることで、子どもは活動に見通しを持ちやすくなるので、安心して過ごせるように
また、できることが増えるので、自信を持って活動に参加できるメリットも
そして、配慮が必要な子にとってわかりやすい環境は、みんなにとってもわかりやすい環境だったりします
おまけ
この数年で100均などで買える視覚支援に使えるグッズなども増えてきているように思います
こちらは最近キャンドゥで見つけたマグネットタイプのもの。
お支度ボードを作るのに役立ちそうだなと思い買ってみました。
日付や曜日のパーツも売っていました。
ダイソーやスリーコインズなどでも似たようなのを見かけました
こういった材料が、100均など身近なお店でも手に入れられるようになったので、視覚支援=なんだか難しそう、面倒かも…とはならずに、手軽に試せるようになったなと感じています。
↑こちらはスリーコインズのマグネットパーツにテプラで印刷したオリジナルの予定をカスタムしてます。
↑イレギュラーな予定はマーカーで書き込んだりもできるホワイトボードタイプも便利です。
普段使っている絵カードの裏にマグネットシートを貼り付けておけば、絵カードをここに貼っていくこともできます
↑のベースのボードと予定のピースはセットでスリーコインズに売っていました。
(少し前のものなので、今はもうないかも…)
こちらもテプラでカスタムして療育先の名前が入っています。
小学生になってからは、学校終わりで通う放課後等デイサービスが、曜日によって変わるので、週間スケジュールで見ておくと安心するようです
そして、現在3年生。
最近は大きなイラストや写真を貼らずとも、文字の情報だけでスムーズに指示が入るようになったので、少し小さくしました。
真っ白なホワイトボードと黒い細いテープを使って、今はこんな形でスケジュールを見せています。
視覚支援、必須ではないけれど、見通しをつけるにはとても役立つツールかなと思います
始めてみたいとは思っているけれど、何からしたらいいかわからないなーとか、こんな絵カード作ってみたいけど、どうしたらいいかな?など、もしご相談やご希望があれば、一緒に作るお手伝いもできますので、お声掛けくださいね
先述の100均などもそうですが、この数年で一気に関連商品が増えたなーと感じています
それは視覚支援が障がいのある人向けという枠だけではなくて「誰にとっても見てわかりやすいこと」であったり、「ユニバーサルデザインの展開」といった部分で、社会に受け入れられつつあるのかなと感じ、嬉しく思っています