米国の会社が、米国内でテレビ受像機を製造しなくなって、久しい。米国ハワイ州の州都、ホノルルにあるアラモアナ(ショッピング)センターの、北側の通り沿いにあった中古電気製品店で、米国ゼニス(Zenith)社の古めかしいテレビ受像機を、見かけたことがある。と言っても、相当、昔のこと。25年前、1987年の夏のことである。
その頃、1年半ほど、ホノルルに滞在していて、何とか安価なテレビを手に入れようと思い、アラモアナセンター界隈で電気製品を売っている所を探し、見て回った。シアーズ(デパート)の電気製品売り場では、大半の電気製品が、シアーズのプライベートブランドで売られていたが、白木屋(デパート)の電気製品売り場では、日本ブランドが輝いていた。
その頃は、日本ブランドが世界中の電気製品売り場を席巻し、テレビ売り場ではトリニトロンのテレビが、ビデオレコーダー売り場ではJVCやPanasonicブランドのVHSレコーダーが、輝いていたように思う。
自社技術を過信していないか。規格競争で勝つことを重視する余り、消費者の心と財布に寄り添うことを、忘れていないか。技術過多で高価な製品を作り、それを高付加価値と呼んでも、消費者の心には響かない。トリニトロンやVHSの成功経験が、そんなにも忘れられないのだろうか。
現在の、日本ブランドのテレビやブルーレイレコーダーを見て、そう思う。
私は、自民党の党員である。ふと、「自民党も、同じようなものではないか」と思った。過去の成功経験が忘れられず、国民の心と財布に寄り添って考えようと、していないのではないか。特に与党の党首は、政(まつりごと)の本義を、忘れてはならない。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則