清塚信也 KENBAN祭り 感想
8月16日(金)18:00 日本武道館
●出演者(敬称略):
清塚信也(Pf)
啼鵬(Cond)、山本翔平(Vl)、高木慶太(Vc)、朝里奈津美(Perc)
<SEEDINGメンバー>福原将宜(Gt)、吉田翔平(Vl)、高井羅人(Syn)、齋藤たかし(Dr)
<スペシャルゲスト>NAOTO(Vl)
※ヤマハ音楽教室の生徒さんから選抜されたピアニスト10名も出演。
清塚信也さんのコンサートを観に日本武道館に行きました。
5月ぶりに日帰りで東京へ車で。
ほぼ毎月レベルで小劇場の舞台観劇に行ってたので、
移動もめちゃくちゃ慣れました。(笑)
私自身、クラシック主体のコンサートは初めて。
清塚さんのライブも一度も行ったことがなく、
CDも買ったことがなく、ファンという訳じゃなくて。
存在を知ったのはテレビ朝日の「関ジャム」という番組がきっかけ。
音楽知識が豊富で、理論や知識から楽曲の解説をしてて、
あーーそうなんだと。物凄く納得が出来て、
音楽の理論って凄いんだなと認識させてもらえて。
パフォーマンスも凄くて、トークも面白くて。
いつかコンサート行きたいけど敷居が高いなぁ~と思ってて。
で、武道館でコンサートをするということを聞き、興味を持って。
そのコンサートが2020年の東京オリンピック開催のための
改修工事前最終のライブと聞いて、ますます興味を持って。
チケットを取って伺わせて頂くことになりました。
席は2階席(実質3階)の南西前方4列目あたり。センターからやや下手斜め。
2階席も上の方になると傾斜が凄くて怖さも増しますが、
今回の席はゆったり見ることが出来て良いお席でした。
ここからステージを見下ろす風景が滅茶苦茶圧巻で、全てが俯瞰出来ました。
ステージの中央(0ポジ)にグランドピアノが1台。
そこから階段を下りての出べその円形ステージにもグランドピアノ1台。
すでにグランドピアノがステージに2台鎮座するという圧巻さ。
更にステージ奥には8台のグランドピアノ。
上手下手にはアップライトのピアノがそれぞれ1台ずつ。
ピアノが12台もステージにあり、
ピアノ下手側にシンセサイザーがあり、鍵盤楽器が13台も。
この俯瞰を見るだけでも「KENBAN祭り」とは、これ納得の域。
あとはドラムセットがあり、ティンパニーがあり。
ここ最近ステージ構成でよくある背面の映像装置がなくて、
上手下手の端に投影式の映像装置が2面置かれている状態。
ステージの上の機材の豪華さとは別に、
構成はアリーナコンサートとはいえシンプルな感じを受けましたね。
吊り下げ移動式な感じのスクリーンが奥の方にあると思ってました。(笑)
で、実は10月にWOWOWで録画放送の放映になることが決まっていて。
https://www.wowow.co.jp/release/005199
なので、詳細に書くと、これから楽しみにされている方には
気持ちを削がれる形になるので、ざっくりと感じたことを書くと、
まずは「清塚信也さんのピアノ愛」がめちゃくちゃ炸裂してて。
鍵盤を目の前に置かれると素敵な曲を奏でられる。
映像装置にも上から横から鍵盤を映して手の動きも見れて。
しなやかな動きもあれば、激しい情熱的な動きもあり。
時には腰を浮かせて気持ちをぶつける様なプレイもあり。
激しくても、私の耳に届く音色は出鱈目じゃなく完成された音楽が聴けて。
私が高校生から大学生の頃に好きだった
シンガーソングライターの谷村有美さんのことを思い出して。
キーボードを楽しそうに軽快にプレイして、
笑顔で緊張感なくストレートに楽しむことが感じられる。
「音楽ってこういう事だな」って言葉の意味をその当時に感じられて。
鍵盤の前に居るのがお客さんで、奏者が寿司屋の大将。
対面式のカウンタで食事を提供しているように
料理のように曲を提供し、話す様にトークや歌を口ずさむ。
清塚さんのステージはインストゥルメンタルなので、
歌を歌ったりということは全くないのですが、
寡黙な大将が笑顔や表情を変えながらメニューの音楽を提供している。
なんか、学生時代に感じた「音楽」の根幹を久しぶりに思い出して。
あーーー、音楽っていいな。ピアノっていいな。
シンセサイザーの高井羅人さんと連弾するシーンは良くて。
2人でじゃれ合いながら音楽を奏で楽しむ。
微笑ましく感じましたね。
出演者の方も学生時代の旧友で
プロミュージシャンになっている方がメインになっていて、
清塚さんの仕事の繋がりで共演に至った方も居て。
紹介を受けるたびに清塚さんの間柄あってのコンサートだなと。
人間愛があってのコンサートだなと感じましたね。
次に楽曲がいろんなジャンルに富んでいて、
正直、清塚さん発信の楽曲を存じ上げない私でも楽しめました。
春夏秋冬をイメージしたメドレーでは
その季節にイメージされた日本のポップミュージックが奏でられて。
春と言えば、松任谷由実さんの「春よ来い」
夏と言えば、映画「菊次郎の夏」のテーマ曲・・・と。
清塚信也さんの名を一躍有名にさせた、
ドラマ「コウノトリ」の劇中歌が多く取り上げられてて。
こちらもドラマを観たことがなくて、またまた非常に心苦しい所ですが、
でも、楽曲のパワーとステージ上のライティング。
そう、ライティングの凄さが楽曲にも疾走感とか助力されている感じがして。
ずっと座って観ていたんですが、私の指先と心はめちゃくちゃ踊ってた。
「コウノトリ」主演の綾野剛さんも観に来られていたみたいですね。
あと、「SEEDING」というバンドでロックを感じる楽曲もあり。
ただ、正直、若干中だるみ感があったかなこのコーナー。
ゆるーーーく、やる意味を考えたら、もうちょっと前が良かったかも。
途中、拍手を求めたりして頂いたことで、参加する感じが出て和らぎました。
(でも、メンバー紹介の状況を考えるとファンの方には垂涎モノだったんだろうなと。)
ラスト2曲が用意されたピアノ10台を
ヤマハ音楽教室の若い子たちに演奏させてのピアノオーケストラ。
「歓喜の歌」と「ボレロ」。
出演メンバーが一堂に会しての演奏は圧巻で。
一番最後に持ってくるか、この事象を。ヤバいやん。
ここはWOWOWでご覧になれる方は注目して欲しいです。
この演奏後の武道館全体での拍手の嵐は、もう歓喜過ぎて最高の瞬間でした。
演者、スタッフ、オーディエンスが一緒になる瞬間って、コレだなって。
最後に、清塚さんのトークが面白い。
ものすごい演奏した後に「僕天才でしょ」って。
めちゃくちゃ鼻につくようなお話ですねと思っても、
それまでの演奏聴いてたら納得で。
逆に「もうええっちゅーねん」ってツッコみたくなるような感じ。ww
これ絶対お酒飲みながらの、
例えばブルーノートとかでライブやったら面白そうなんだろうな。
ジャズのライブハウスでクラシックのライブとかいいな。
あと、予定調和を物凄く嫌うのが大好き。
「僕はコールレスポンスが嫌いです」と言っちゃうと、
ゲストのNAOTOさんが「アリーーナーー」って煽っちゃうし。(笑)
ラスト2曲の時も
「まずは歓喜の歌を演奏して、 その後アンコールをしますんで、曲終わったら拍手を・・・」
って演者自らアンコール要求しちゃってるし。(笑)
もう、いろいろおかしくてしょうがない。www
18時開始の22時終了の4時間ものコンサート。
全体通して、2階席というステージから遠い場所でしたけど、
ライブハウスのように近さを十二分に感じて、
一緒の時間を共有できたというのが嬉しくて。
純粋に音を楽しんだ時間だったなと感じられました。
普段のクラシック専用ホールでの音の届き方はどうなんだろう。
武道館って音楽専用に作られたホールじゃないので、
反響などが全然違っていてクラシックには難しい場所らしいですけど、
私はしっかり音が伝わっていたし、響く感じもなかったし。
若干チェロや弦楽器の低音部分が難しいかなと思ったけど、
ピアノに関しては全然音が伝わっていたのかなと思います。
今度はクラシック専用のホールでも音楽聴きたい。
そういう欲求も出たような気がします。
楽曲によってはエレキギターのボリュームを抑えたり、
ピアノをよく聴かそうと努力されてた感じもして。
鍵盤を主体にして清塚信也さんのやりたいことを詰め込んだ内容。
ホント、音に関してはド変態だなって思った。(笑)
ド変態じゃなければこんな濃い内容絶対しないですよ。
私も21時くらいに終わって、車を駐車した新宿に戻って、
蒙古タンメン中本を食してから名古屋に戻ろうと思いましたが、
ゆっくりする時間が全くなく断念しちゃいました。(笑)
でも、その断念したのも価値があるくらいの濃いコンサートでした。
終演後、武道館の階段を下りて、田安門をくぐって、
横断歩道を渡って、九段下の駅に取り込まれる瞬間も含めて、
久しぶりに音楽を正面から感じた時間、ほんとにありがとうございました。