南米・鳥獣虫魚・探遊 -88ページ目

博研・44:外伝・13:アメギノ・1

独学の古生物屋


今日からオレの好きな古生物系のお話しに入る。南米で活躍した博物屋だ。古生物の新種を記載するとき、即決派と慎重派がいる。資金が豊富でバックに重鎮がついているとこほど仕事が速い。日本の学者さんは、なぜか恐ろし~く慎重派である。例えば、化石にちょっと興味のあるヒトなら必ず知ってるフタバスズキリュウ。フタバサウルス・スズキイの記載は、発見から38年も経過した2006年である。発見者のSくんも記載者Hさんも知り合いだから悪口は言いたくないけど、あまりに遅すぎる。日本の最高権威であるはずの国立科学博物館でこれだから、嫌になっちゃう。


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学名をもらうのに38年かかったフタバサウルス


世間体を自然科学界に持ち込むヒトが日本に多すぎるみたいだ。グランデが考えるところ、化石なんかの新種記載は、少しくらい間違っていても(笑)、なるべく早くやっつけたほうがいい。資料が足りないのは、アタリマエ。学術的に名無しのゴンベエでは、他学者さんも引用しにくいから、更に比較研究が進まない。時が経ち資料が増えて、もし内容マチガイが指摘されても、不名誉だったとオレは思わない。記載時点では、妥当な結論だったからである。医学なんかと違って、ヒトさまに迷惑をかけることもない。


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F.アメギノさん


1854年生まれのフロレンチーノ・アメギノは、「アルゼンチン古生物学の父」と呼ばれている。まったくの独学の博物学者だったのが格好いい。ヨーロッパの学会からは、嘲笑の対象だったけど、新種記載やキモい自説をじゃんじゃんと論文に書いた。


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ホムンクルス化石


もっとも素晴らしい彼の珍説は、「人類の起源は、南アメリカ大陸だぁ~!」である(笑)。論拠にしたのは、1891年に記載したホムンクルス・パタゴニクスという霊長類化石だった。ホムンクルスってのは、もともとは中世の錬金術師がフラスコの中でサピー精子と薬草や糞などで合成した人間型人工生命のことであるね。意味は「小さな人間」。ガリバー旅行記に出てくる小人の国の住人のリリパットだね。調子ついたアメギノは、この化石をパタゴニアのリリパットと呼んだ。アメギノが主張したホムンクルスのホミノイド(完全直立歩行する霊長類)説は、その後に樹上性の新大陸猿類だったと否定されてるけど、こういうお話しは実に楽しい。


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キリカイケ頭骨


今から千数百万年前の森林に生息していただろう猿の化石が多く発見されるのは、アルゼンチンでも南端に近い極寒、ペンペン草も生えないような荒野である。2005年にもダースベーダーそっくりのキリカイケという新種サル化石が採集されている。


フタバスズキリュウをSくんが発見する数ヶ月前。化石産地から100メートルと離れていない場所に化石ハンマーを手にしたオレがいた(ホントのお話し)。アンモナイトのテキサニテスや琥珀を掘った。もし、オレが骨を発見していたら、フタバオガワリュウになってた(笑)けど、もしそうだとしたら、きっとアマゾンに来ないで日本で研究者になっていたろうから、そうでなくて良かったと思っている。ちなみにフタバサウルスの新種記載の立役者は、佐藤さんという若い女性だそうだ。日本の古生物学界も新旧の世代交代に入ったんだね。


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ベイト研・14:ベイト・カラーの研究・2

派手なカラシン


コイ目やカラシン目は、魚類としては低進化群である。実はけっこう原始的な部類なんだね。それに関連しているかどうか判らないけど、カラー・パターンはたいして写実的に複雑ではない。その中で、かなり色彩が特徴的だとオレが思うヤツに、エクソドン・パラドクサってカラシンがいる。


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エクソドン・パラドクサ


本種は、かなり離れた2箇所で観たことがある。一つは、トカンチンス河のツクルイの急流。もう一つは、ギアナ高地に近いロライマ奥地の急流。スゴくきれいな魚なんだけど、熱帯魚の混泳水槽には、不可である。食性が他魚ウロコだからだ。ウロコ食いで有名な他魚に、ウィンプル・ピラニアがいるネ。


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ウィンプル・ピラニア


エクソドンの種小名のパラドクサは、パラドックスからきている。矛盾だね。正しそうに見える前提&妥当に思える推論から、在りえない結論が得られる事。学名の由来は、「こんなに綺麗でウブそうなのに、他人の皮膚を食う」ってことかな?


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エクソドン・パラドクサ側面


エクソドンはたいへん素早く泳ぐ小魚である。急流に棲んでいるから、下手の淵で待機しているフィッシュ・イーターに狙われる。


エクソドンは、オレが観たカラシンの中でもっともキレイと感じた魚だ。写真じゃ感じがでないけど、実物の野生個体のメタリック光沢は、息を飲むほどに美しい。2つの大きなスポットをイメージしたルアー・カラーは効くかな?


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博研・43:外伝・12:シングー探検・3

ヘンリ・コーデロー


1859年生まれのフランス人、ヘンリ・コーデローは、仏領ギアナ・カイエンヌの学校で鞭をとっていた教師だった。コーデローの測量技術と冒険心を欲したブラジル・パラ州知事は、彼をベレンに招いた。コーデローは、まず始めにタパジョース河の遡行を行った。その様子は、「タパジョースの旅」として1895年に上梓されている。


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「タパジョースの旅」(ポルトガル語版)


タパジョース探検を終えたコーデローは、シングー河を遡行した。その様子は、「シングーの旅」として1896年に上梓されている。


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「シングーの旅」(ポルトガル語版)


シングー探検は、下流から5ヶ月の遡行だった。最終地点は、カラジャ族の領域のペドラ・セッカの滝だった。


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ヘンリ・コーデローさん


精力的なコーデローは、続けてトカンチンス河水系を遡った。そして、「トカンチンス・アラグァイアの旅」を1897年に記した。さらに続けて現在のパラ・アマゾナス州境のニャムンダ川を遡行。調子に乗った彼は、さらにさらに続けて、トロンベッタス川に入った。そして、1899年11月、そこでインディオに撲殺された。彼の旅にはカーちゃんのオルガもよく同行していた。ダンナが殺された後も、彼女はインディオ部落の調査を続けた。


ヘンリ・コーデローは、19世紀末で最もアマゾン下流を広範囲に探検したオトコだろう。21世紀初頭で最も広範囲にアマゾンを歩いている日本人は、たぶんオレだろう(笑)。


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ベイト研・13:ベイト・カラーの研究・1

魚の色覚


良い子の国ニッポンには禁句が多い。「色盲」は、モロバツである。ワードで、しきもうを打っても漢字変換してくんない。子供のころ、「魚は色盲である」、と教えられた。メキシコのゲレロ湖でワーム・フィッシングをしてたとき、黒紫色にはBバス、ピンクにはテキサス・シクリッドというシビアなパターンがあった。だもんで、子供のころ教わった理論に疑問を持った。現在では色覚がちゃんとある魚族が数多く確認されている。


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テキサス・シクリッド


一般にアングラーは釣れないと、ルアーの色が悪いんじゃないか、とかナントカかんとかの疑心暗鬼のツボにオチる。交換して、たまたまヒットがあると、「今日のパターンは、コレだ!」 、と自信をもってノウガキをコイて、納得するヒトもいる。雑誌に載ってるバスプロ関係の記事に多いよね(笑)。

ルアー・カラーってのは、ナチュラル系~ピカソ級まで、モノすごくたくさんある。フライ屋さん用語にマッチ・ザ・ハッチってのがあるね。トラウトが偏食している虫を当てるゲームみたいなモンだ。そのためにストマック・ポンプってゲロを吸いだすグッズもある(笑)。ルアー屋さんもモジって、マッチ・ザ・ベイトという言葉を造作した。たしかに食っている小魚を真似たルアーは、なにがしかの効果があるに違いない。


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アユ・カラーのナチュラル色ミノー


ルアーの基本はオモチャだから、オレは派手系が好きだね。マッチ・ザ・ベイト風でありながら、カラー様式をトロピカル・ピカソにデフォルメさせた感じがいいね。


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博研・42:外伝・11:悲しき熱帯

レヴィ・ストロース


もう博物学も終焉の時代だけど、1930年代。おフランスの社会人類学者レヴィ・ストロースは、ブラジル・インディオの調査と分析を行った。


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レヴィ・ストロースさん


1955年に上梓されたのが、ツリスチス・トロピコス(ポルトガル語)、すなわち「悲しき熱帯」である。この紀行文は、たいへんな評価を受け、構造主義のバイブルとさえ呼ばれた。


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フランス版カヴァー


和訳本は、東京外語大学のK博士がある。オレもベレン・アジト時代に和訳上下2巻を持っていた。南米・有名書籍だから、一度は読んでおかなくっちゃ、と思ったからである。しか~し、まったくと言っていいほど、楽しい本でなかった。構造的な描写が難解すぎる。しか~し、昼寝前の読本には最高だった。半ページで眠くなるからである(笑)。悲しいことに結局、「悲しき熱帯」は、読破できなかった。


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日本版、「悲しき熱帯」


実はオレ、日本の某雑誌ブルータス取材でK博士のアマゾン・コーディネイトをしたことがある。「悲しき熱帯」に、そんなお話しがあるらしいんだけど、ボート上で散髪をするシーンのイメージを写真に撮るという仕事だった。マナウスで船をアレンジし、櫛と鋏を用意し、町で散髪屋をやとって、やっつけた。K博士は、その後インディオ部落に入ったんだけど、すごいブヨに襲われたらしい。同行したブラジル二世の人類学女史は、K博士に虫除けスプレーをちょっと貸してちょうだいって頼んだけど、「嫌だ!」と言われたって怒っていた(笑)。


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「楽しき熱帯」


「楽しき熱帯」って本もある。モルフォのル・ムールトのとこで登場願った奥本さんの著である。もちろん、ストロースの大作をもじったお題だ。この本はちゃんと読破できた(笑)。


奥本さんの「楽しき熱帯」は、フルニエ女史のとこで出てきたノーヴァ・オリンダ・ド・ノルテでアグリアス・フルニエラエを探すって紀行文である。文中登場する同ホテルに泊まっていて、日本製トンカツソースを貸してくれなかった人物も知ってるから、けっこう笑えた。


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ベイト研・12:眼球の研究・3

フィッシュ・イーターの捕食


メンタマ研究、その3だ。今日はベイト魚の眼球がフィッシュ・イーターの指標になっているのか否か?、というお話し。


多くの魚型ルアー、特にプラグ・タイプには、尾部&腹部にフックがついている。大きなものは、腹部に2つある。もちろん眼もついている。


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トリプル・フックが3つのプラグ(ボーマー)


アマゾンのピーコックバスをランディングした場合、まず70%は腹部フックが口に掛かっている。尾部フックしか掛かってなかった場合、それはファイト中に腹部フックが外れたせいだから、実際は95%以上と考えてもいい。ピーコは、強力な追尾タイプの捕食魚である。齧るんでなく飲み込む。実際には、ピーコは腹でなくって小魚のアタマを狙っている、と思える。頭部攻撃の利点は、眼球研究その2で所見を述べてる。ロス少&ダメージ強ってことね。


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ピーコックバスは、腹部フックを食ってくる(シングー)


魚種によって、尾部へのフッキングが目立つ魚もいる。例えば、ピラニアだ。凶器使いのピニーは、とりあえずエモノにキズをつけるのが戦略である。だから、標的の部位はどこでもかまわない。尾をチギれば、遊泳機能を落とせるし、逃げられても少々の肉はゲットできる。ピニー体型は、ハイ・スピード遊泳にも適してないしね。泳ぎのトロいホーリーなんかも尾フッキングが多い。これは牙屋不変の定理だ。


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牙屋は、尾部フックによく掛かる(ウァトマンのホリえもん)


ピーコにお話しを戻そう。ベイト魚の頭部を攻撃するときの主な指標となるだろう因子は、泳ぎの方向、そして眼球模様だと考えるのはパラドックスになっていない。すなわち、妥当だ。


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ピーコは、メダマを食いにくる?(ウァトマン)


実際のお話し、多くのルアーには眼球模様が施されていない(笑)。スピナー、スプーン、スピナベなんか、無いのがアタリマエ。プラグでもメダマ模様がついてなくても、部品がモゲたイチブツでも、フィッシュ・イーターは、ルアーを食う(笑)。リアクションのバイトなんか、メダマなんか確認しているヒマがな~いのも確かだ。しかぁ~し、グランデは考える。


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オガーズ・ルアーが大好きなドール・アイ仕様


ルアーは、オモチャだ(笑)。愛玩するお人形には、カワイイおメメがないとツマラナ~イ!


「画竜点晴を欠く」って言葉があるよね。物事を立派に完成させるために、最後の仕上げが必要だってことね。


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博研・41:外伝・10:シングー探検・2

昆虫話しを終えて、外伝は人類学者&探検家に入る。


カール・フォン・デン・ステイネン


オレが訪問したことある文化人類学関係の博物館で、もっとも内容が充実していると感じたのは、南マット・グロッソ州都カンポ・グランデにあるドンボスコ文化博物館だった。石器、土器、生活用品、とにかく展示のブツが多い。ホントは研究室の倉庫にたくさん所蔵しているのに、一般展示が少ないケチくさい学者が管理する博物館はけっこう多い。展示スペースがないから、という言い訳では訪問者をバカにしている。


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ドンボスコ文化博物館


ドンボスコは、博物館学的なセンスも勉強してる。カニバリズムの残滓もあった。干し肉が、まだこびりついた人骨なんかも置いてあって興味深い(笑)。


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博物館の展示


シングー河探検は、「博物研究史」15.でプロイセン王子アダルベルトを載せたけど、本格的な学者による調査に先駆をつけたのが、ドイツ人の医師、文化人類学者、考古学者、そして探検家でもあったステイネンである。彼は1884年にマット・グロッソ地方に入った。


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ステイネンの探検隊


ステイネンは、ボロロ族などの伝承や生活スタイルなんかを記録しながら北上した。カリビ系語幹のバカイリ族のエリア辺りからシングー支流に入った。そしてそこを下った。途中でいくつもの部族から襲撃を受けただろう。火気をフルに使ったに違いない。


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ボロロ族系のインデイオ


昔むかし、やってきた白人が、「オマエたちは何族だい?」、のつもりで聞いたところ、マクロ・ジェ語幹の言語を喋る先住民は、「ここは、どこですか?」と質問された(笑)と思って、「ボロロだよ」と地名を答えたのが、現在の族名の由来であるね。こういうお話しは、世界中にある。ブラジルの雑誌、たしかベイジャだったと思うけど、「もっとも美人のインディオ」というお題で、ボロロ族半裸ギャル画像を載せていたのを覚えている。


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ベイト研・11:眼球の研究・2

魚のめんたま模様


脊椎動物の眼球は、脳パーツから派生している。だから、もちろん眼の位置は頭部にある。アングラーがよくご存知のように、フィッシュ・イーターたちは、エモノとする小魚の眼を狙ってくる。理由その1は、眼の辺りをキズつければ、脳の破壊に近い、すなわち運動機能に致命的なダメージを与えられる。


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魚のウロコ並び


理由その2。小魚のウロコは、泳ぎの関係から頭部から尾部の方向に重なっていて、戻り止め機能がある。すなわち、尾っぽを捕まえると、スルっと逃げられやすいけど、アタマを捕捉すればロストが少ない。飲み込むときにも楽チ~ンである。ブラジルでは、下写真のような女の子の髪の編みかたをエスカーマ・デ・ペッシ(魚のウロコ)と呼ぶ。


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関係ないけど、エスカーマ・デ・ペッシ


眼は英語のアイ。おスペでは、オッホ。おポルでは、オーリョ。ラテンでは、オセラ(ocella)だね。オケラって読んでもいいけど、金がない虫みたいで貧相だ(笑)。


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ブラジル、ロライマ州でフライで釣った原種シクラ・オセラリス


魚類の学名の種小名で、オセラリスとかオセラータスを冠している魚がいる。身体の一部に、眼球のような模様があるって特徴を意味している。前者はピーコックバス類の一種シクラ・オセラリス、後者はオスカー、すなわちアストロノータス・オセラータスが有名だね。


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オセラータス種じゃないけど、オスカーの一種(ペルーアマゾン)


シクラ属もアストロノータス属も、シクリッドだ。魚類の中で進化群のスズキ目(もく)に含まれるから、色彩細工にもダ・ヴィンチ並に芸が細かい。白眼部分も金色や赤にして、かなり鮮明だ。魚類学者さんほどの知能はないだろう動物にも、これは眼球に見えるに違いない。ピーコもオスカーもけっこう大型で、こいつらの成魚の野生プレデーターは、水鳥やカワウソ類なんかだろうね。鳥類や哺乳類は、もちろんメダマを標的に攻撃することを知っている。眼つぶしをかけたはずなのに、尾だと思ってた方向にチャチャっと逃げられた、ってのを期待したペイントだ。


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オガーズ旧作3Dスプーンで釣ったアラグァイア河支流のシクラ・ケルベリー


昔むかし、極東にいたころのお話し。記憶では科学雑誌の「アニマ」だったと思う。シクリッドの尾柄のメンタマ模様についての研究を、某魚類学者さんが記載したことを紹介していたのを読んだことがある。生物屋が好きな、ツブシ研究(笑)。『多くのシクリッドは、親が稚魚を守る。稚魚のメダマ模様をペンキで塗りつぶした群と、塗りつぶしなし群を作って、親に食われる%を比較した。結果、塗りつぶし群は、塗りつぶしなし群より食われる頻度が高いというデータを得た。そして、メンタマ模様は、息子や娘を食っちゃわないためのサイン、つまり自分の子供を判別するために機能する、と結論した…… 』 長じて、アマゾンに住んじゃうことになるとは、オレは夢にも知らなかったから、ふぅ~ん、そうなんだ、という印象しかなかったけど。


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ピーコックバスの稚魚(シクラ・モノクルス)


アマゾンのフィッシング・ライフを重ねるにつれて、「稚魚食い禁止」のご論説にやや疑問を持つようになっている。例えば、シクラ属稚魚は、メダマ模様が明瞭でな~い(笑)。釣ったピーコックバスの胃中から同種の稚魚が出てきたのも観た。学者さんの高説がマチガイである、とは言わないけどネ。


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博研・40:外伝・09:ハチになりたかったキリギリス

ウィリアム・ハドソン


今日は、博物屋が登場する。ハドソンは、1841年にアルゼンチンで生まれた英国人(両親はアメリカ人)。小説家も書いたマルチ博物学者である。創作で有名なのは、グリーン・マンションズ。邦訳は、『緑の館』だ。お話しは、こんな感じ。「ベネズエラ革命運動で罪を着せられたアベルは官憲に追われ、イギリス領ギアナの熱帯雨林に逃げ込む。そして森の妖精のような野生少女リーマと出会って恋に落ちる。自然を愛するリーマは、森の動物を殺すインディオに邪険な邪魔をしていた。怒った先住民たちは、彼女を追い詰め、ついに焼き殺してしまう…… 」


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ハドソンさん


オレがブラジルに始めて行くとき、どんな本を持っていくか悩んだ。書籍ってのは意外に重いし、かさばるんで、少量しか選べない。なにしろ釣具が多かったのだ(笑)。迷ったあげく文庫本、『緑の館』をトランクに放り込んだ。トロピカル・フォーレストを舞台にした甘っとろいロマンスだけど、密林のイガラッペ(細流)で水浴びをしていると、リーマの笑い声が聞こえてくる、って感じのハドソン描写が好きだった。ちなみに、他書は、ドイルの「ザ・ロスト・ワールド」、ポーの「黄金虫」だったっけ。


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1954年に映画化された「緑の館」主役ヘップバーン


古い映画は、TV放送で観た。リーマ役のヘップバーンは確かに美人だけど、もっとカワイイ女優のほうが良かったんじゃないかな? 悪インディオ酋長ルーニが、日本人の早川雪州だったのが笑えた。雪州は英語があまり上手じゃなかったそうだけど、インディオ役ならOKだ(笑)。


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和風ヘップバーン&先住民の酋長を演じたハヤカワさん


ハドソンの博物著作に、邦題、『ラ・プラタの博物学者』がある。1892年に上梓されたザ・ナチュラリスト・イン・ラ・プラータだ。子供のときに育ったアルゼンチン北部の大草原パンパの生き物を記述している。


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ラ・プラタの博物学者


文中に「ハチになりたかったキリギリス」ってのが登場する。蜂に擬態したグラスホッパー(バッタ)のお話しだ。ハチってのは、強力な毒バリを持っているものが多いから、他虫にミミック(真似っこ)されるモデルになり易い。カミキリ、蛾などは、よく擬態してるけど、弱体なバッタもその一員。擬態は形態だけでなく、つかまれると刺すぞ、って感じに尻を曲げる演技も良くできている。


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仮面ライダーはハチのミミックだから、ホントは弱い?


ハチにそっくりなバッタは、マット・グロッソ州クイアバ近郊の地熱温泉アグアス・ケンチスに近いセラード(乾燥潅木地帯)で観た。同行してたのは、前にも登場願ったTさん。世界的なコレクターで、昆虫の超エキスパートである。Tさんがいなかったら、おそらく普通のハチだと思ってやり過ごしていただろう。バッタは、Tさんの2つめのお宝になった。1つめは、イグアス滝で採集したものとのこと。


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グァポ研・07:南大陸のグァポート類

サウスアメリカン・シクリッド(ウンビー)


グァポートの研究は、北はメキシコのテキサス・シクリッドから始めて南下してきた。今日は最終回、南アメリカ大陸の北部にいるヤツ。サウスアメリカン・シクリッドは、デカくてきれいな魚なんで昔っから熱帯魚マニアの気になる存在だった。しかし、30年くらい前の日本では、その正確な産地が不明でもあった。名前から察するに南アメリカ大陸内であろうとは考えられていた。昔むかし、アクアライフ誌の編集長に、「どこが産地か知ってる?」、って訊ねられたこともあった。当時のオレは、ジェンジェン知らなかった(笑)。


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水槽内のサウスアメリカン・シクリッド


学名は、カケタイア・ウンブリフェラ(Caquetaia umbrifera)。サウスアメリカン・シクリッドってのは、ジャパン・スタイルの呼称であるね。英名は、ターコイス(トルコ石)・シクリッド。愛称は、種小名をもじったウンビー。美しい貴石ターコイスを散りばめたようなカラー。全長は60センチになる。未確認情報では、80センチになるとも言われる。水槽内の性格は、きわめて凶暴(笑)。


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ウンビーのワールド・レコードは、4.76キロ(マグダレナ川)


本種はパナマからコロンビア北部、特にマグダレナ川が分布の中心である。ドヴィ(グァポ研・3)の産地だったコスタリカが3Cの一角だってこと書いたけど、別の一角の一つがコロンビア。


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関係ないけど、コロンビーナ・ボニータ軍団(シクリッド・カラー・ビキニ)


カケタイア属には、いくつかの種類がいる。前に登場したベイ・スヌークみたいに吻が大きいので、バスケット・マウスと呼ばれることもある。ミエルシは、コロンビア~エクアドルに分布する。最大で25センチくらい。


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ミエルシ・シクリッド(
Caquetaia myersi


クラウシーは、コロンビア~ヴェネズエラに分布する。最大で40センチ弱くらい。


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クラウシー・シクリッド(
Caquetaia kraussii


カケタイア属は、アマゾン流域にも少しいる。FC2で紹介しているバスケットマウス。

バスケマウスのページ

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今回でグァポート研究の本編は終了。大型シクリッドは、たいへん素晴らしい釣りターゲットだ。だれか一緒に、「中米縦断釣り行脚」に行きませんか? コスタリカ、コロンビアの2Cも通過しまっせ(笑)。


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