2017年2月のシングー・9
昨年12月釣行のお話しでも書いたけど、シングー増水時期は、ピーコックバスのヒットが多くない。多くはないけど、まったく釣れないってわけでもない。次は、そいつを狙ってみようか。パイロットのネットと相談して、イリリ合流点方面にボートを走らせることにした。
岩場に乗ってピーコを狙う
なんでイリリ方面にしたかってのには、理由がある。この時期のシングー本流はやや濁りが強いけど、支流のイリリは、いくぶんか水が澄んでいる。視覚で小魚を追いかけるピーコには、水がきれいなほうが確率が高いんだ。
小さなピーコ
イリリの細い分流がシングーに注ぐ小さな谷。各自分散してボートやら岩島やら、思い思いにルアーを飛ばす。Nさんにけっこう大きめのピーコのボイルが炸裂したけど、バレた。
オレにまあまあピーコ
濁りの増水期、ピーコ狙いには、ちょっとしたコツもある。たとえばミノーだったら、派手なアクションを演出して、ルアーの存在をアピールしたい。
ポルカが釣れた
イリリの帰路に、またエサ釣りをやった。K弟さんに、アタリがきた、重く摺るようなファイトは、淡水エイに違いない。上がってきたのは、シングー名物のポルカ。
ネットが釣ったRTCで記念撮影
パシエンシア(忍耐)のないオレは、ナマズ釣りは、からきしダメである(笑)。アマゾンのナマズ類は、きちんとアワセをくれてやらないと、ちゃんとフッキングしないのは充分には承知している。しかし、シカケを投入して待つという時間帯、オレは瞬時に瞑想世界に入ってしまう癖がある。イマージェンは、しばしば可愛い女の子の幻想だったりもする。だから、アタリがきても、間合いを外してしまうんだ(笑)。パイロットのネットは、ナマズ釣りが得意だ。きっと、食欲本能がピテカントロプス級なんだね。なにしろ釣れれば、大量の肉が手に入る。
続く
2017年2月のシングー・8
当初からのメイン・ターゲットだったカショーロは、かなり堪能することができた。息抜きに、エサ釣りでもやってみようか。ルアーで出ない魚の顔もみたいしね。
始めにポコモンが釣れた
減水期になると、なぜか不思議に、エサ釣りやってもナマズのポコが釣れないんだけど、増水期にはよく顔をだす。
そしてブラピ(ブラック・ピラニア)
シングーのブラピにも時期現象があって、まるで釣れない時節がある。おそらく、産卵のためにどっかに集結するからだろう。大型のピラニアは、塩焼きにすると旨い魚だけど、若魚では脂の乗りが少なくて、美味しくない。
兄貴もブラピ
エサ釣りでの狙いは、RTC(レッド・テール・キャット)で、それらしいアタリはあったけど、フッキングが決まらない。おっと、Nさんがナマズっぽいファイト。
Nさんにバルバード
でも、あがってきたのは、バルバードくんだった。
K弟さんに、やや大きめのブラピ
このくらいのサイズがあれば、ブラピをキープしてオカズにしてもOK。
Nさんも大きめブラピ
これも、まあまあサイズだね。大物は出なかったけど、エサ釣りも、まあ退屈しない程度に楽しめた。
続く
2017年2月のシングー・7
K弟さん、好調にカショーロを釣っていた。心なしか(?)、どうだい兄貴フフフ、という内心も漂っていたかな(笑)。
また、やっちゃったあ
しかし、シングーの釣女神は、それほど意地悪でもない。ようやくのこと(失礼!)、カショーロを捕ってくれた。
安堵オーラが漂うK兄
遅れてきた青年だったK兄ちゃんも、調子がでてきたようだ。流れの下手でビックーダをゲット。
弟さんも嬉しそう(……のポーズ?)
この時期、サルバ・テーハのビックーダは、激流直下に群れるカショーロ軍団に恐れをなしているんだろう、やや下手を回遊することが多い。
Nさんの激流ファイト
兄弟たちの暖かい釣り対決(?)に染まることなく、実戦派のNさんは、バシバシ釣っていた。
もう一丁!
K弟もNさんに負けていない。また追加カショーロ。
この野郎……
最初の2日間、もっぱらカショーロを攻めまくった。お一人はやや少なめ(失礼!)だったけど、3人で10数尾くらいランディングできたと思う。バイトは、その3倍あったはずだ。
続く
2017年2月のシングー・6
さてさて、なかなか釣りのお話しが現れないねぇ(笑)。はっきり言って、シングー増水期のカショーロ・フィッシングについては、もう多くを語る必要もない気もする。それは、当然が無論みたいに、いつものように爆釣に決まっているからであ~る(笑)。それでは、その証拠写真をご披露しよう。
まずNさんが釣った
Nさんは海外フィッシング経験の豊富なアングラーで、ツボを掴むのが早かった。そして終始、安定したヒットを得ていた。
そしてK弟さん
K弟さんは、連続技をみせた。
ちょっと小型
そして再度、Nさん。今回のシングー催行の音頭をとったK兄ちゃん、ボート先で黙々とやっているんだけど……
Nさんが、また釣った
何人かのメンバーがいると、よく起こる症例なんだけど、必ず出遅れる一人がいる(笑)。決してアタリがない訳じゃないけど、ランディングまで持っていくことが、なぜかできない。これはサピーの心の襞奥に潜んでいる暗鬼が誘因する、いわゆるド壺パターン・シンドローム。今回は、K兄がこれに感染した。
K弟、もう一丁
弟の野郎がバコバコ上げているのに、どうしてオレだけが…… 本心では、オレのほうが腕がいい筈だなんて邪心も手伝って(笑)、さらにまた症状が悪化する。
続く
2017年2月のシングー・5
サルバ・テーハの島側、谷が狭くなってる辺りに大岩がそそり立つ岬がある。大岩の上には、サボテンなんかが生えていて、シングーのこの地域の気候は、やや乾燥した空気に支配されていることを知ることができる。
サルバ・テーハの大岩
ここの大岩岬は、2つの脊椎動物の住処になっている。まずは、日中は岩の割れ目の奥で群居している哺乳類、コウモリである。オレは極東の島国にいたころ、ちょっとフリーのロック・クライミングを齧ったことがあって、島国でもブラジルでも、いくつかの洞窟探検に参加した経験がある。そんな環境で、もし生きたコウモリが見えなくても、その存在を知るのは簡単だった。それは、匂いである。独特の甘酸っぱいような、腐ったようなコウモリ臭。サルバ・テーハ岩の割れ目からも、同じ臭気が漂っている。
割れ目の奥に悪顔のグレムリンがたくさんいる
コウモリ類は、テラ(地球)上に1000種類近くがいて、全哺乳類の1/4を占めるような大家族である。南米を含む新世界に多いのは、ヘラコウモリ類で、200種類近くが記載されている。英名は、New World leaf-nosed batsで、文字通りに鼻の上部分が葉状を呈しているんで、悪魔的な顔をしている。そう、有名なバンパイア・バット(チスイコウモリ)もこの仲間である。
特徴は、鼻の形にある
もう一つは爬虫類、トカゲの一種である。太陽が昇って岩に照りつける頃合いになると、大岩の上をたくさん這いまわっている。尻尾の先端までの全長は、20センチくらいのヤツ。
シングー岩場のトカゲちゃん
本種は、岩の壁をちょこちょこっと歩いて静止し、首をひょこひょこ上下に動かす行動をとり。ときどき、蟻かなんかを捕食しているようでもある。今回は余興で、このトカゲちゃんを釣って遊んだりした(笑)。
続く
2017年2月のシングー・4
釣りのお話しでない余談を続けて(まあ、オレのパターン)恐縮ではあるんだけども…… 何年か前に、フォーセット大佐の探検物語の映画権を、俳優ブラピが買ったというニュースを聞いたことがある。大佐が消えた舞台はシングー流域だもんね、オレのアンテナに引っかかった。それがやっと映画化され、最近リリースされたという情報をフィッシング隊員さんから得た。「The lost City of Z」。早々にネット検索したら、ユーチューブにトレーラーがあったんで、もしかしたらあのシーンがあるかもと期待したら(笑)、やっぱり、あった!
飛んでくる矢は、主役に刺さらない(笑)
主人公が必死に駆けて逃げていく。怒り狂った蛮族たちは、次々に矢を放つ。主役の周囲をヒュンヒュンと矢が飛んでいくんだけど、な~ぜか当たらない。蛮境アクション映画定番のシーンだよね。で~も、これは現実にはあり得ない。
実際のアマゾン・インディオは、弓矢の達人で、ターゲットに当たると確信したとき以外は、放たないと博物本にも出ているよ(笑)。シャフトにする葦(あし)だって、どこでも生えている訳でないし、鏃(やじり)やアローの羽細工にも手間がかかる。すなわち、貴重品だから、当たるか分かんないのに気軽には使えない。娯楽映画のお話しだけど、昔のシングー・インディオがみたら、バカにするなと怒るかもしれないね。
The lost City of Z
ちなみに、現代インディオは、散弾銃持ってるし、オレより良いスマホも持ってるし、フェースブックやってるのもいて(笑)、きっと弓矢の腕はからきしだろう。それはさておき、そのうちに機会があったら、オレもこの映画を観てみましょう。
続く
2017年2月のシングー・3
サルバ・テーハ島の対岸、すなわちシングーの本土側の岸辺には、ゆるやかな傾斜の丘がある。この丘の麓を散策すると、土壌がやけに黒っぽいのに気がつくだろう。ポルトガル語のテーハ・プレータ(黒い土地)は、考古学者さんにとって「古代インディオ遺跡」の重要なキーワードである。オレは何度もここを探索したことがある。特に大雨の後、削れた土壌が表面に現れる頃合いに好んで歩いた。何をしてたかってぇと、古代インディオの石器を拾うのであ~る。
遺跡でゲットした石器
黒い土壌には、数多くの土器も埋まっている。しかし、もともと壊れた壺を捨てたんだろうし、年月の風化によって、ほとんど断片的に割れてしまっている。パーツを一つ一つ接着しながら、組み立てていけば、まあまあのものにはなるかも知れないけれど、今のところのオレにはパシエンシア(忍耐)が足りない。
土器は、こんな感じに埋まっている。
ここに居住していた部族民たちも、増水期のサルバ・テーハ激流にカショーロの群れが集結するってことを、知っていたであろうことは、疑いの余地がない。カショーロはうわずると、しばしば水面に背中を見せる魚である。弓矢の達者な先住民は、それを射て獲物にできただろう。
続く
2017年2月のシングー・2
前回シリーズ(12月のシングー)でも書いたけど、増水シーズンは河のサーベル・タイガー、ペッシ・カショーロのバコバコ時期である。熱帯魚の怪魚マニア界でも、この魚種は人気がある。現地名では、カショーハという女性形の名詞で呼ばれている。属名ハイドロリックス属には、4種類が記載されている。アルマータス、タタウアイア、スコンビロイデス、ウォーレシである。現在、彼らの頭骨とかのデータを整理中で、成案ができたらアクアライフ誌に、「カショーロ大全」という記事を書きたいな、と考えている。シングーに生息するのは、アルマータスとタタウアイアの2種。後者は、尾ビレがオレンジ色で、あまり大きくならない。
タタウアイア種
参加決定者さんたちは、連絡をくれたKさん(以後、K兄)、その弟さん(以後K弟)、友人のNさんという構成である。メイン狙いは、カショーロだから、ポイントは12月にTさんと攻めたカジュエイロでも悪くない。でもぉ、オレとしては、何となくワン・パターンは好きくない。実は、カジュエイロの他にも、増水期カショーロの集結場所のカードは持っているのだよ(笑)。そこで今回は、サルバ・テーハというポイントをメインに攻めることに決めた。
増水期サルバ・テーハの激流
サルバ・テーハ地区は、シングーの左岸にある。グーグル・アースで上から見ると円形で周囲が数キロほどの島、すなわちサルバ・テーハ島があって、狭いところで岸辺から50mくらいの距離で谷間を形成している。この水路の上流側と下流側は、標高的に数メートル以上の段差がある。乾期水位の時期には、島の間の水路には、ちょろちょろ程度にしか水が流れない。しかし、増水時期には、轟々たる激流が出現する。
続く
2017年2月のシングー・1
今回もいつもと同じイントロから始めよう(笑)。某日、Kさんという方からメールが届いた。怪魚ハンターの武ちゃんHPからオレ・ブログを知ったとのこと。子供の時から熱帯魚が好きで、アクアライフ誌その他で、オレの名は知っていたこと。シングーで怪魚をバコバコ狙うのをメインで、2月ころに実行したいこと。……その他。
ラボ看板と学生エリウダ嬢(シャツは、オガーズ製品)
Kさんと話を進めていく途中で、オレ出演の、「こんなところに……」が放映された。そこに映っていたパラ大学熱帯魚ラボにいたロイヤルプレコやオレンジフィンカイザーが中坊のときの憧れだったという。2月ころは、シングーの水が多くて、乾期よりも熱帯魚観察がやりにくいけど、そこそこは観れますよ、という返信をしておいた。
シングーのプラチナ・ロイヤルプレコ
プレコ観察だったら、乾期のシングーに来るのがベスト。水が引くに従って澄んでくるし、浅場が増えて潜るのも安全、ゴロタ石の瀬もそこかしこに現れて、岩下に潜んでいるプレコを見つけるのも容易になる。でも、今回はフィッシングがメインだから、我慢してちょうだい。さて、希望参加者数に変遷があったけれど、最終的に3名が確定し、催行の準備をすることになった。
続く
2016年末のシングー下流&上流・8
さて、今回チームの画像を並べよう。まずは、シングー下流にて。
そしてシングー上流の戦果
タタウアイア種も釣れた
そうなんだ、12月~5月は、シングーのカショーロが絶対に面白い。来年の5月はチームが決まっていて希望者もいる。2月はオレに別の予定があってシングー・チームを組めないけど、12月~1月&3月~4月は可能だ。今回のようにお一人参加も十分に可能である。君も来いよ!
【本編終了】









































