南米・鳥獣虫魚・探遊 -59ページ目

新種ドラードが登場!

全世界のアングラーの憧れ、黄金の河の猛虎ドラードは、サルミヌスという属に分類されている。同属で知られていたのは4種類である。まず本家の黄金魚であるブラジリエンシス(Salminus brasiliensis)。オレは本種をサルミヌス・マキシロッサスと記すことが多かったけど、ブラジリエンシスのほうが記載が早かったんで訂正しとこう。ラ・プラタ水系に生息し、最大で30キロ近くまで成長する。



ブラジリアン・ドラードのジャンプ!


次にブラジルでタバラーナと呼ばれているヒラリー・ドラード(Salminus hilarii)だ。黄色味が薄くて尾が赤っぽい。ラ・プラタ水系とトカンチンス水系の一部に生息し最大で数キロくらい。



ヒラリー・ドラード


その次が、アフィニス・ドラード(Salminus affinis)だ。ヒラリーに似ているが、眼の後方の黒いラインが目立つ。熱帯魚界では、魔人Mがネーミングした、アイシャドウ・ドラードが通称。南アメリカ大陸北部の独立河川のマグダレナ川、アマゾン支流マデイラ河の源流部に生息し最大で数キロくらい。



アフィニス・ドラード


ラストが2007年に記載された、フランシスコ・ドラード(Salminus franciscanus)である。以前は、ブラジリエンシスとされていたが、オレはずっと前から別種と思っていた。ブラジリエンシスよりやや黄色味が薄く、大型でも頭部が尖り気味だ。大きいものは、20キロくらいになる。



フランシスコ・ドラード


さてさて、ドラード(サルミヌス属)に、2013年に新たにもう1種が記載された。サルミヌス・ノリエガイ(Salminus noriegai)である。と言っても、残念ながら現生種ではなぁ~い(笑)。



イトゥサインゴ層のメガピラニア化石



以前のこと、オレは熱帯魚専門雑誌AL(アクアライフ)誌に、「メガピラニアはいた!」、という原稿を書いたことがある。その文中でこんな記述(少々の加筆訂正あり)をした。『メガピラニアが産出された層位は、・・・中略・・・ 時代的には800万年~1千万年くらい前だろうと考えられている。・・・中略・・・ 調査&採集が進めば、ドラードやホーリー化石が発見される可能性もあるだろう・・・ 』


オレはここで、先見の明を自慢するつもりはない、とは言わない(笑)。やっぱり、オレの言った通りだったゼ、と勝ち誇ろう! 



イトゥサインゴ層のペッシ・カショーロ歯化石


アルゼンチンのエントレ・リオス地方のパラナ層群にイトゥサインゴ層(Ituzaingo Formation)がある。時代は、新生代新第三紀。同層は、古くから淡水魚類化石産地として知られている。



イトゥサインゴ層のレポリヌス化石


さてさて新たに発見されたドラード化石は、かなり素晴らしい保存状態だった。



サルミヌス・ノリエガイ化石側面


ノリエガイ・ドラードは、現生ドラードとそれほど多くの違いがない。わずかに頬骨と口端の骨の角度、眼窩の広さくらい。



サルミヌス・ノリエガイ化石前面


数百万年前には、もう現生種によく似たドラードが小魚を追って水飛沫をあげていたんだね。ノリエガイの記載者のシオーネ博士は、「これからエントレ・リオス化石をガンガン掘って、南アメリカ淡水魚の多様性の謎を解きたい!」、なぁ~んてコメントしている。これでホプリアス化石が報告されたら、オレの予言はパーフェクトになる(笑)。


君もアマゾン・フィッシングに行こう!

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-177.html

アマゾン猛魚・頭骨博物館

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-81.html

シングー・クラフト

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-category-11.html

博物画のお話し(付ピーコックバスの研究)・9

新作アート発表会に付随して、ピーコックバスの研究を書いてみた。とりあえず、以下の3種(4ピーコックバス)の博物画が描けた。


XINGU PEACOCKBASS Cichla melaniae

TAPAJOS PEACOCKBASS Cichla mirianae

RED PEACOCKBASS Cichla cf. mirianae

BLUE PEACOCKBASS Cichla piquiti


レッド・ピーコックバスの属名と種小名の間に入れた cf. (コンファー)は、「属は間違いないけど、おそらくこの種じゃないのかな?」、という意味の用法である。 ちなみにcf.aff. にすると、「属は間違いない、この種に似てるけどおそらく別種だろうね」、という意味になる。 



15種とされるシクラ属


新しく描いた博物画は、販売も考えている(原画を欲しいヒトは、メールください)んだけど、Tシャツのデザインに使おうとも思っている。これについてボンバダ・テルちゃんと話しをしたことがある。ピーコックバス全種なんてのも悪くないね、と笑った。しかし、2006年に追加記載されたシクラ属は、15種もあるぜ。これを一着のTシャツにしたら、一つ一つがミクロの世界になるよね(笑)。それにオレには、E.J.G. Ferreira論文を全面的に支持してる訳でもない。困ったことに側線鱗数なんかが違うとされるシクラ・ヴァゾレリ、シクラ・ティロルス、シクラ・ジャリイナの3種のジャイアント系は、博物画にするとオール同じ絵になっちゃうぞ(笑)。この3種は、それぞれかなりの色彩ヴァリエーションがあって、外観上で同じに見えるものも少なくない。



Stuart C Willis
論文での統括


Stuart C Willis論文(2012年)も全面的に認めるわけじゃない(サンプル採集地が多くない)けど、そこでは8種に統括したほうが良いと結論している。すなわちヴァゾレリ、ティロルス、ジャリイナは、シクラ・ピニーマのシノニム(別名同種)にして、イエロー系のモノクルス。ケルベリー、ニグロマクラータ、プレイオゾーナは、シクラ・オセラリスのシノニムに帰そうという考えだ。しかし、8種類でも一着のTシャツにしたら、一つ一つがかなり小さいぞ(笑)。



Peacockbass of The Brazilian Highlands


グループ分けでデザインしたほうが良策かなぁ? すなわちジャイアント系、イエロー系、ブラジル高原系、その他系だ。今回ブラジル高原系4つの博物画が描けたから、仮にPCデザインしてみた。これでも小さめかなぁ(笑)。



Tシャツ・イメージ


博物画は、まだまだ続けて描く予定だ。一度始めると熱中しちゃうタイプなんでね(笑)。次のターゲットは、ジャイアント系のシクラ・テメンシス、シクラ・ピニーマ、シクラ・ヴァゾレリなどになるだろう。終わったらイエロー系、そして例外系(オリノセンシス&インテルメディア)と全制覇に進もう。系統別の博物画が少し完成したら、またピーコックバスの研究も追加して報告します!


チーム隊員を募集中!

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-177.html

アマゾン猛魚・頭骨博物館

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-81.html

シングー・クラフト

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-category-11.html

博物画のお話し(付ピーコックバスの研究)・8

Cichla piquiti (3)


ブルー・ピーコックバスの名前の由来は、ブラジル語のツクナレ・アズール(青いツクナレ)から来ている。成熟した個体の全体、特にヒレの部分の青味が強い。



成熟したブルー・ピーコ


ツクナレ・アズールは、古くからブラジルのアングラーには、独立種じゃないかと考えられていたけど、学者さん研究が遅かったんで、みんな学名解説に苦労してたのを思いだせる。本種の釣り場は、人為移植のせいでたいへん広域に渡る。シクラ属の中では冷水にも強いとこがあるみたいで、サンパウロ州のBバス釣り場として有名なアンチバイーニャ湖でも見たことがある。移植されたものの釣り場は、ミナス州、サンパウロ州のパラナ水系に多いけど、独立河川サン・フランシスコ河のリザーバーにもいる。天然もので有名な釣り場は、ゴイアス州のセーハ・ダ・メーザ湖(リザーバー)が以前から有名だった。



セーハ・ダ・メーザ湖の水中ブルー


最近有名になってきたのは、トカンチンス州のラーゴ・ド・ペッシ湖(リザーバー)だね。数が多くて、大型もでている。



ラーゴ・ド・ペッシ湖のブルー・ピーコ


さてと、新作の博物画に使った素材について。オレの脳細胞メモリーに実像するイメージは、2005年ミナス・ジャライス州のフルナ湖(リザーバー)の♂個体。きれいなブルー・ピーコックバスだった。



素材になった個体


むかし昔、同じ素材で同種を描いたことがある。旧作は某アングラーに譲ったけど、アジトでそれを見たボンバダ・テルちゃんが褒めてくれた(笑)。彼がグラフィック・ペンを送ってくれたのも、それが触材だった。



旧作の博物画


新しい版の博物画が旧作に似ているのは、サンプルが同じなんだから仕方ない(笑)。大きな個体を釣って、さらに新規の素材にしたいとも思っている。



ブルーピー新作を発表いたします


チーム隊員を募集中!

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-177.html

アマゾン猛魚・頭骨博物館

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-81.html

シングー・クラフト

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-category-11.html

博物画のお話し(付ピーコックバスの研究)・7

Cichla piquiti (2)


ブルー・ピーコックバス、すなわちピキティ種の特徴をお話ししよう。魚体コンディションにもよるけど、本種の全体観はかなり白っぽい。やや明瞭な数本の暗色バンドが背から腹下部近くまで延びる(この傾向は、メラニアエ、ミリアナエにもある)、頬部に雲紋状にならない少数の黒い斑点がある(この傾向は、メラニアエ、ミリアナエにもある)。



アラグァイア河のブルー・ピーコ


尾柄から背ビレ&尻ビレ後端にかけて、少数黒斑のある個体がいる(ないのもいる)。本種にも繁殖に関わっていない個体(NSF=ノー・スポーニング・フェーズ)のパッカ斑(=白い小斑点)がある(この傾向は、メラニアエ、ミリアナエにもある)。



ブルー・ピーコのNSFが残った個体


南アメリカ大陸の中央、ブラジルのド真ん中に標高300mから900mの広大な高原がある。いわゆるブラジル高原である。ご当地では、プラッタフォルマ・ブラジレイロ(直訳ブラジル卓状地)と呼ばれテーブル上部はセラードと呼ばれるサバンナになっている。



セラード地帯


ここでもう一度、メラニアエ、ミリアナエ&ピキティの3種シクラの天然分布マップを載せよう。



A:メラニアエ、B:ミリアナエ、C:ピキティ


これらの3種類が、セラード地区の北側、すなわちアマゾン側の高原と斜面に重なっているのがお判りになるかな? オレがこれら3種を、「ブラジル高原系ピーコックバス」として括った理由の源泉は、共通項目、最大サイズが4~5キロまでであること、暗色バンドが数本であること、頬部に小斑点がある(ジャイアント系は雲紋状、イエロー系は基本的にない)、そして分布地図である。

アラグァイア・トカンチンス水系、シングー水系、タパジョース水系には、淡水エイやプレコに共通ご先祖を持った種が生息していることも裏にある。3種類を並べて見てみよう。



メラニアエ



ミリアナエ



ピキティ


メラニアエとミリアナエは間違いなく近縁だけど、ピキティの外観はそれから少し離れているような感じはもちろんある。それじゃmtDNAを比べてみるかね。



mtDNA
系統樹の3種


これも外観差異と似たような結果だ。ピキティはちょっと離れるけど、すごく遠くもない。


チーム隊員を募集中!

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-177.html

アマゾン猛魚・頭骨博物館

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-81.html

シングー・クラフト

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-category-11.html

博物画のお話し(付ピーコックバスの研究)・6

Cichla piquiti (1)



マラバ(トカンチンス河)付近のブルー・ピーコックバス


ブルー・ピーコックバス、すなわちシクラ・ピキティのお話しに入る。本種も Kullander論文(2006年)で記載された種である。その天然分布域は、下図マップの感じだ。



ブルー・ピーコックバス天然分布(Cの区域)


C区域は、アラグァイア・トカンチンス水系である。下流側は、巨大ダムのツクルイ湖付近が北限、首都ブラジリア近くまでのトカンチンス河、そしてバナナル島を含みアラグァイア河の全域がピキティ種の生息地となっている。本種と重複するように分布しているのが、イエロー系のシクラ・ケルベリィである。



ツクルイ湖のケルベリィ種


アラグァイア河のバナナル島フィッシングでの観察、ジモピー漁師の語りなどを総括して、ピキティ種は、水が澄み気味で流れがからむ所を好み、ケルベリィは泥濁りでも平気で止まり水でも平気、という傾向が確かにあるようだ。



アラグァイア河バナナルのブルー・ピーコックバス


ブラジルの高度成長期、ラ・プラタ水系のパラナ河でじゃんじゃん大型発電ダムを建造した。このころはまだ生態系の保存なんて流行がなかったから、ブラジル中央から手近なアラグァイア・トカンチンス水系のピキティとケルベリィを、じゃんじゃんダム湖水に移入した。ラ・プラタ水系にあった生態系の空き家に入ったシクラ属は、ここでヤクザみたいに顔を大きく勢力を拡大した。



パンタナルのピキリ川のブルー・ピーコックバス


ピキティ種は、世界遺産にもなっているラ・プラタ水系のパラグァイ河上流パンタナル地方にも勢力圏内をもっていて、少しは外来種問題も取りざたされている。



タンゴの国のブルー・ピーコックバス


人為移入の結果、現在ではブラジル・アルゼンチン国境付近まで分布を広げた。


チーム隊員を募集中!

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-177.html

アマゾン猛魚・頭骨博物館

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-81.html

シングー・クラフト

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-category-11.html

博物画のお話し(付ピーコックバスの研究)・5

Cichla mirianae (3)


ミリアナエの3番目のお話しだ。学者さんにシクラ・ミリアナエとされる変わった個体群が存在する。パラ州とマット・グロッソ州境に近いパラ州側のテレス・ピリス支流のサン・ベネジット川、アズール川、クルルー川にいるレッド・ピーコックバスである。



レッド・ピーコックバスの産地(付近)


オレはかねがねレッド・ピーコックバスは、シクラ・ミリアナエだとしても、せめて亜種名くらいはつけてやらないと可愛そうじゃない? という魚類愛を抱いていた。Stuart C Willis論文(2012年)をチェックしたけど、レッド・ピーコックバスは検体として使っていな~い。ミリアナエのサンプル採集場所は下のマップの、タパジョース河のアルタ・フロレスタ付近①とシングー河のスイア・ミスー川②のたったの2箇所だけ。この論文もけっこう弱いとこがある。種同定論の展開は、最低10箇所以上のサンプルを駆使して欲しいとオレは考える。まあ、お金が掛るからね(笑)。



Stuart C Willis
論文のサンプル採集地


そのうちにダレかやるでしょけど、今はレッド・ピーコックバスのゲノム解析はおあずけ。だもんで、外観から検証してみよう。実はオレ、レッド・ピーコックバスをまだ釣ったことがない(笑)。チーム隊員を募集しているから、今年か来年に実現するかも知れない。個体群の色彩にたいへん顕著な特徴がある。まず名前通り魚体がレッド(笑)、特に頬部、体側の腹側が燃えるように赤い。このため現地では、ツクナレ・フォゴ(火のツクナレ)と呼んでいる。



レッド・ピーコックバス


また顕著な特徴に、体側にある3つの黒斑が大きく明瞭であることが挙げられる。たいていの個体は、頭部から三番目(いちばん尾に近い)大黒斑の背側に小さめの黒斑がある。背部の暗色が濃く、各ウロコに黒っぽい縁取りがあって、たいへん細かい淡色斑点が並ぶように見える。メリハリが効いているから大変に美しい。オレはかねがね、このテラ(地球)で最も美しいトラウトは、ワイルドの(養殖もんはダメ)ブルックだと思っているけど、それに通じる美感がある。



パタゴニアのブルック・トラウト


レッド・ピーコックバスは、シクラ・ミリアナエから派生したと思われているけど、この色彩を得るまでに、どのくらいの地史的年月が流れているかは、mtゲノム解析を待とう。



レッド・ピーコックバスのフィッシング


さてと、新作の博物画に使った素材について。前述のようにオレの脳細胞メモリーに実像イメージがない。しゃあないから、写真参照だけで描いた。



レッドピー新作を発表いたします


チーム隊員を募集中!

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-177.html

アマゾン猛魚・頭骨博物館

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-81.html

シングー・クラフト

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-category-11.html

博物画のお話し(付ピーコックバスの研究)・4

Cichla mirianae (2)


前述したようにシクラ・メラニアエ(シングー・ピーコ)とシクラ・ミリアナエ(タパジョース・ピーコ)は、Stuart C Willis論文(2012年)のミトコンドリア・ゲノムの系統樹でも隣り合っていて、近縁に違いない。



mtDNA
系統樹の2種(印)


外観での違いは、黒い模様の入りかたが違う点で区別されている。典型的カラー・パターンと思われる2種を並べてみよう。



左ミリアナエ、右メラニアエ


ミリアナエは小さいけどフライで釣ったこともある。



フライ・デ・ミリアナエ


USAのピーコックバス・クラシフィケーション・ガイドという某サイトでは、メラニアエをローワー・シングー・ピーコックバス、ミリアナエをシングー・ピーコックバスと記述しているけど、紛らわしいからオレは認めない(笑)。ミリアナエは、オレが釣ったアリノス川(ジュルエナ河側)だけでなくテレス・ピレス河側にもいる。一例として、テレス・ピレス支流のブラッソ・ノルチ川の個体を下に載せる。



テレス・ピレス支流のミリアナエ


さてと、新作の博物画に使った素材について。今のところ、2005年の10月16日にアリノス支流クラーロ川で釣った♂が一番デカい。これっきゃない。



素材になったタパジョース・ピーコックバス


オレの博物画は、PC写真を見ながらグラフィック・ペンで描いていくんだけど、できるだけ実体を観たことがある素材を選んでいる(例外もある)。緋色の脳細胞の記憶中枢にある映像を取りだしながらやったほうがイメージが湧くからである。



ミリアナエ新作を発表いたします


チーム隊員を募集中!

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-177.html

アマゾン猛魚・頭骨博物館

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-81.html

シングー・クラフト

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-category-11.html

博物画のお話し(付ピーコックバスの研究)・3

Cichla mirianae (1)


タパジョース・ピーコックバスのお話しをしよう。むかし昔、マット・グロッソ州のクイアバ市にアジトを持っていたころ、同州北部のタパジョース河水系にしばしば足を運んだ。目的はタライロンや珍コリドラス採集&釣りだった。この辺りに生息するピーコックバスは、シクラ・ミリアナエである。始めてこいつを釣ったときは、まだKullander 論文(2006年)は上梓されていなかった。すなわち当時は、学術的に名無しの権兵衛さん。エラ蓋後部から尾柄にかけての体側中央に連続的な不規則黒斑紋模様があった。何だか、オリノコ水系に生息しているシクラ・インテルメディアに似ちょるなぁ、と思っていた。



オリノコのインテルメディア種


でもしかし、分布地が離れすぎてるぞ。不思議じゃわい。2005年のこと。オレは隊員を率いてパンタナルのドラードを狙った。無事にチームが終了してクイアバ市に戻ったオレは、単独で国道を北上する長距離バスに乗った。目的地は、サン・ジョゼ・ド・リオ・クラーロ。ここでジャルジン・ダ・アマゾニアというロッジに一泊した。付近で潜ってピーコックバスの水中写真を撮影した。



水中のタパジョース・ピーコックバス


ロッジのオーナーのファンシットおじさんの案内で釣りもした。いくつかのピーコックバスをミノーで釣った。明らかに記載されてる種類に当てはまらないことを再確認できた。夕刻が迫るころ、浅い場所で大きな個体の影が現れた。ルアーを換えてそっとプレゼントするとソイツが食った。黄色っぽい魚体が岸辺で暴れている。ランディングした個体は、オスのゴーマル・アップ。よしよし、成魚も確認ができた。



大きめタパジョース・ピーコックバス


それから1年ほどして、Kullander 論文が発表された。おぉっと、タパジョース河系のピーコックバスが記載されたぞ。お名前は、シクラ・ミリアナエだ。ネーミングは、ベレンのエミリオ・ゴエルディ博物館の魚類学者ミリアン・カルヴァーリョおばさんに献上されたもの。同時に記載されたシングー・ピーコックバス、すなわちシクラ・メラニアエに近縁な種だという。その分布は、タパジョース河本流のジュルエナ河とテレス・ピレス河合流付近からの上流一帯と、パラ州とマット・グロッソ州境付近より上流のシングー河となっている。下マップは、その分布地である(A:メラニアエ、B:ミリアナエ)。



タパジョース・ピーコックバスの分布


ド珍品のパイクシクリッドが生息することで熱帯魚界で知られているシングー河源流に近いスイア・ミスー川なんかのピーコックバスは、ミリアナエとのことだ。



スイア・ミスーのピーコックバス(ミリアナエみたいだ)


シングー河で両種が入れ代わるとされる付近は、インディオ保護地区の核心部だね。間違いなく交雑があるだろう。そんな個体が下ってきていることを示唆するような個体もイリリ付近のシングー河にいる。



かなり黒点が連続黒斑風になっているシングー下流ピーコックバス個体(交雑系かも)

続く


チーム隊員を募集中!

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-177.html

アマゾン猛魚・頭骨博物館

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-81.html

シングー・クラフト

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-category-11.html

博物画のお話し(付ピーコックバスの研究)・2

Cichla melaniae (2)


2014年の博物画は、シングー・ピーコックバスから始めたことを前述したね。本種は、シングー河の最後の急峻より下流、すなわち現在工事進行中の発電用ベロ・モンチ堰堤より下手には生息していない。その代わり最下流にいるシクラ・ピニーマ(ジャイアント系)とシクラ・モノクルス(イエロー系)は、そこより上手では観たことがない。シングー河最下流ヴィトリア・ド・シングー付近の両種の写真を挙げよう。



急峻より上流にいないシクラ・モノクルス(上)&シクラ・ピニーマ(下)


シングー・ピーコックバスは、前述した2006年 Kullander論文でシクラ・メラニアエとして記載された種である。特徴は、種小名(メラニアエ)にあるように、体側に散った小さめの黒斑だね。



メラニアエ小型個体


生まれたての幼魚画像はないけど、10センチくらいの個体はこんな感じだ。本種では、繁殖に関わっていない個体(NSF=ノー・スポーニング・フェーズ)は、いわゆるパッカ斑がかなり顕著である。すなわち頭部や体側に白い斑点が数多く散る。青魚の体色は、やや暗色である。



NSFのメラニアエ青魚個体


成熟してオトナになると白い斑点が消えて、体色が明るくなり黄色味が増す。それによって特徴の体側黒斑が目立つようになる。全長に対しての体高比率がやや増す。すなわち貫禄がでる。大物は4キロを超える。ビッグワン・ハンターのボンバダ・テルちゃんがイリリ付近でゲットしたのは、5キロあったって言ってた。おそらく、その辺りが最大級だろう。



未熟個体&成熟個体


さてと、新作の博物画に使った素材について。どうせなら、スズキ目ベラ亜目の特徴である♂成熟シンボルのオデコの肉瘤がでたヤツで描きたい。何を隠そう、オレは3キロ級まではいくつも釣っているけど、4キロ以上のシングー・ピーコックバスを釣ったことがないんだ(笑)。河畔に住んでいながら情けない(涙)。さあ、どうしましょ。それじゃ、シングー・チーム隊員ものを使わせていただきましょう。歴代隊員で最大級だったのは、2011年10月に新婚旅行できたジャック・スパロウ隊員夫婦のカーちゃんがゲットしたブツ。場所は、イリリ合流下手のカジュエイロ島のシッコ爺さん別宅上手の本流に面した岩島。



描画の素材に使わせていただきました。


この個体は、楽勝でロクマルを超えていた。重さは、4キロ超だろう。彼女は、川幅のある本流激流にミノーを何度も投げて、デカいのを川底から浮上させたみたいだ。今までの観察からシングー・ピーコックバス大型は、大場所でしつこくフィーディング・ラインをルアーでトレースし、イライラを沸騰させて、潜伏場から誘きだす手法が良策だと思われる。オレには、そのパシエンシア(忍耐)に欠けているに違いない(笑)。



メラニアエ新作を発表いたします


チーム隊員を募集中!

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-177.html

アマゾン猛魚・頭骨博物館

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-81.html

シングー・クラフト

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-category-11.html

博物画のお話し(付ピーコックバスの研究)・1

Cichla melaniae (1)


むかし昔、ペルー・アマゾン地方に潜伏していたとき、アマゾン・スーペルメルカードというサイトでグランデ画伯(?)の描いた博物画を何枚か売ったことがある。



むかしの博物画の宣伝に使った画像


余った画は、その後シングー河フィッシング・チームに参加した隊員なんかにさしあげた。だもんで、昔の画は、ブジュルクイナ sp. (シクリッドの一種)が一枚だけ残っている。2012年暮れにボンバダのテルちゃんが現アジトにグラフィック・ペンを贈ってくれた(ありがとうございます)。



グラフィック・ペン


貴重なペンは、暫くおっぽらかしにしてたんだけど、昨年11月のピラルク・フィッシング中にメシアナ島のワイルド・オスカーに再見して脳裏の奥から霊が現れた。また描きなさい……(笑)



むかし描いたメシアナ島のオスカー画


旧版は、15cmx10cmの額に収まるサイズだった。かなり小さめ。そこで新規画は、25cmx15cmに入るサイズに大きくしようか。手始めに、ピーコックバス類から描いてみよう。まずは、現アジト付近のシングー河に生息するいわゆるシングー・ピーコックバス、学名シクラ・メラニアエをやろう。



シングー河のメラニアエ種


特徴などを再チェックするため過去画像を捜したり、記載を調べなおしたりしたところ…… 、ファースト・オーサー(筆頭記述者)USAネブラスカ大学のミスター.Stuart C Willis による『Simultaneous delimitation of species and quantification of interspecific hybridization in Amazonian peacock cichlids (genus cichla) using multi-locus data』 という2012年の論文がでてきた。ざざっとチェックしてみると、スエーデンの魚類学者のミスター.Sven O. Kullander とブラジルのミスター.E.J.G. Ferreiraが2006年に記した、『A review of the South American cichlid genus Cichla, with descriptions of nine new species』、で全部で15種とされたシクラ属の全種をミトコンドリアDNA(mtDNA)鑑定にかけて遺伝的な距離を調べたもの。結果は、「同属は、15種でなく、8種と考えたいね!」、としている。学者世界ってのは、誰かが研究を発表すると、必ず反論者が現れることになっている(笑)。オレにはそんなことはどうでもいいんだけど、ちょっと気になっていたことをチェックしちゃおう。以前からオレは、AL誌記事やブログでブラジル・ハイランド系として3種類のシクラをグループにまとめていた。それに対し反意見もあった(笑)。だから3種の mtDNA 的な遺伝距離(近縁の度合い)を知りたい。これに関しては、このシリーズで後述するね。


チーム隊員を募集中!

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-177.html

アマゾン猛魚・頭骨博物館

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-entry-81.html

シングー・クラフト

http://amazonfishing.blog134.fc2.com/blog-category-11.html