あまり休めないcoffee break・8
今日のお話しの舞台は、昨日のオイアポッキと同州アマパのセーハ・ド・ナヴィオ(船型の山脈)にしよう。かつてブラジル最大のマンガン鉱山が稼業していたところ。州都マカパから鉱山鉄道が山中に延びている。まず地域マップだったね。
アマパ州セーハ・ド・ナヴィオ生まれのブラジル有名人に、日系三世のフェルナンダ・タカイちゃんがいる。パット・フーっていうブラジリアン・ポップ・バンドでヴォーカルをやっている。怪人はサンパウロの文化週間で、パット・フーが路上舞台ショーをやっていたのを観たことがある。フェルナンダちゃんは、洒落た高級ハイヒールじゃなくて、その辺の雑貨屋で売っている安物のゴム草履(笑)をパタパタ履いて歌っていた。
セーハ・ド・ナヴィオ地区は、いわゆるテプイ、すなわちテーブル・マウンテン(ギアナ楯状地)の延長にある。だもんで、そのファウナ(動物相)もギアナ高地系だ。「ガリンペイロのカエル」(Sapo Garimpeiro)という面白い現地名で呼ばれるアラニスヤドクガエルなんかも生息している
美しいヒムネハチドリも梢を飛んでいる。この空飛ぶ宝石の属名は、トパーザ(Topaza)である。もちろん宝石のインペリアル・トパーズとの色彩類似からもらっている。
余談だけど、怪人がミナス州オーロ・プレート近郊のインペトのガリンポ(お宝産地)に行ったとき、魔女風貌の可笑しなガリンペイロやってるバアちゃんと路上で会って話しをしたことがある。彼女の胸にさりげなく下がっていた磨き石には驚いた。極上色トパーズの大粒で、恐ろしいことに更に十字のスターが入っていた。いったい、いくらの値がつくだろう?
怪人がセーハ・ド・ナヴィオで採集したコリドラスたちを極東にリリースしたとき、ロングノーズで体側後方に明瞭な棒状の黒模様がある種がいた。オレは、その産地から言っても、コリドラス・アマパエンシスであろうと考えていた。ところが、当時魔人M大兄が主催していた雑誌アクアマガジンで、後に某ピーシーズなる出版社を立ち上げた某M氏が、「ソロックスだぁ~!」、とブチあげてしまった(笑)。その後かなりの間、極東の熱帯魚界では、このコリをソロックスと呼んでいた。しかし、オイアポッキ探索を果たした怪人がモノホンのソロックスをリリースしちゃって、お話しがコロっと変わってしまった。や~っぱり、アマパエンシスが正しかったのであ~る(笑)。
1972年ナイスン記載のCorydoras amapaensis
アマパエンシスと同産地に生息する珍種にアマパ・ポタロがいる。ショートノーズの可愛いコリである。モノホンのポタロエンシスは、ガイアナのポタロ川がタイプ産地なんで、近縁であるけれど若干の違いがあるようだ。
Myersが1927年に記載したCorydoras potaroensis
数多くの種類を野生で採集している怪人は、コリドラスの中に頭が悪い、頭が良い、というクラス分けがあることに気がついている。バカ系の筆頭は、この「あまり休めない……」シリーズに登場済みのスクレオミスタックス・クローネイ(バルバ・サンダー)であろう。手網一つで簡単に捕まえることができる(笑)。賢い系の筆頭は、アマパ・ポタロを推したい。野生の本種は、2匹~数匹くらいの小さな群れで砂の中のエサを摂っている。視認してオレ得意の「コリ追い込み漁法」で確実に、「採ったぁ~!」と思ったら、あらまあアミに入っていな~い(笑)。恐ろしく砂もぐり遁走に長けている。
セーハ・ド・ナヴィオ地区の山道を車を運転していたとき、助手席のYが、「でかい犬(?)がいるぅ~!」と頓狂な声をあげた。しかぁ~し、よく観ると、黒いジャガーの若い個体だった(笑)。しなやかな獣は、道わきの密林にすばやく消えた。そこから5百メートルも走らないところに民家が数件あって、数名の子供たちが道端で遊んでいた。いいのかなぁ? 余談だけど、Yはセーハ・ド・ナヴィオの奥地で熱帯魚を採集していて、大勢の屈強インディオたちに囲まれたことがある(笑)。
続く
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あまり休めないcoffee break・7
昨日はブラジルも南端に近いほうのコリドラス話しをしたから、今日は北端に近いほうをやろう。もし昨日の舞台から海岸線を歩いていくと、6千キロもあるから、かなり疲れる。直線距離でも、3千キロ以上だ。まずは舞台のマップを添える。
ブラジルは、大西洋海岸線の北端で唯一、EURO国と接している。隣国フランス領ギアナであるね。19世紀から20世紀にかけてフランス政府は、この地を流刑に使っていた。沖合いにあるイル・デュ・ディアブル(悪魔島)を抜けだしたお話しの自伝小説&映画の「パピオン」が有名であるね。
お話しの主人公には、蝶々(パピオン)の刺青があった。フランスの昆虫採集家で標本商をやっていたル・ムールト(Eugène Le Moult、 1882年-1967年)もこの地で活躍した。彼の名前を冠したエウゲニア・モルフォって綺麗な蝶もいる。
ガイアナ三国ってのがある。ガイアナとスリナムは、それぞれ英国とオランダから独立したけど、フランス人ってケチで有名(笑)だから、この地を手放さなかった。本国のEU的な社会保障がしっかりしているから、フレンチ・ギアナ住民はまるで働かない(笑)。だから、けっこうブラジル人も出稼ぎに行っている。
ブラジルのアマパ州とフレンチ・ギアナの境には、オイアポッキという川が流れている。怪人は、この地域の熱帯魚探索&採集を3回ほどやっている。始めて入ったときは、魔人M大兄との旅行だった。現在、両国をつなぐ橋を工事中らしい(もうできたのかも知れない?)けど、オレたちは小船で対岸のおフランスに渡った。土産屋にモルフォ・メネラウスのシールが貼ってあるビックの使い捨てライターを売っていたので、店のオバちゃんにハウ・マッチ?(フランス語ではどう言うのかしら?)って聞いたら、ポルトガル語で返事をしてくれた(笑)。
1971年にナイスンが記載したCorydoras oiapoquensis
タクシーを捕まえて付近のイガラッペ(密林の清流)に行き、魔人M大兄が投網を投げると、なんと一発目でコリドラス・オイアポッケンシスとセミ・ロングノーズのコンディッシプルスが入って驚いた。2種とも、まだ熱帯魚界に流通していなかった超珍種だぜ。
1980年にナイスン&イスブルッカーが記載したCorydoras condiscipulus
その後、2回目に入ったとき、ポッキー&コンディを50尾ほどもゲットした。そしてホンモノのコリドラス・ソロックスもゲットできた。そのときに使ったタクシーの運ちゃんに採集法を教えて、採り子に教育した。その後、彼はマナウスの業者とかにたくさんのコリを売ってしこたま儲けて、市会議員にまで出世した(笑)。
1983年にナイスン&イスブルッカーが記載したCorydoras solox
まだヨーロッパにもオイアポッケンシスが入っていなかったころ、怪人の熱帯魚デポにドイツ人の訪問があった。ベレン市でトロピカリウム社という熱帯魚輸出をやっていた会社のオーナーであるアルトゥールが、どうしても少しだけ分けてくださいと頭を下げたんで、ポッキー&コンディを2尾ずつだけ売ってやった。彼はそれを熱帯魚の世界博覧会に出品して、さも自分が採集したかのような名声を得た。
もう時効だし、こいういうことを話してももう誰にも迷惑がかからない(?)だろうと思うので、ウラ話しをちょっと書いちゃおう。超有名なシングーのインペリアルゼブラプレコ。ナイスン&イスブルッカーが1991年に記載したときのタイプ標本を博士たちに寄贈したのは、アルトゥールである。だから世界のオフィシャルでは、彼が世紀の美種インペの発見者(笑)ということになっていることもある。でもぉ~、トロピカリウム社が始めて入手したインペは、オレのアジトから盗まれたブツだったんだぜ(大笑)。
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あまり休めないcoffee break・6の補足
昨日アップしたブログの参考のため、追加のマップを添える。お話しの舞台は、赤線で囲んだ地域だった。ブラジル南東部から南部にかけての大西洋沿いにある海岸山脈(セーハ・ド・マール)地帯だね。
コリドラス・ファンにはよく知られているけど、この地域にいる種類は高温に弱い。夏場に殺してしまうこともあるんで、ご注意!
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あまり休めないcoffee break・6
けっこう疲れるコーヒー・ブレーク、始めにカラシン⇒次にシクリッドときたから、ちょっとナマズもやっちゃおう。何たって、南アメリカ大陸の御三家・魚族ってたら、この3つのグループだ!
最近、怪人はアクアライフ誌(2014年11月号)に、『最近のコリドラスの記載事情』という記事を書いて、2005年から2014年にかけてブラジル人に記載された、8種のおニュー・コリを紹介した。興味あるサピーは本を買って読んでちょうだい。
8種の中に、2005年に記載されたスクレロミスタックス・サルマシスがあった。産地は、ブラジルの南から2番目のサンタ・カタリーナ州、南部の海岸山脈の渓流である。同州の都、フロリアノーポリスは、大西洋の海岸線にあって砂浜もある。美人と美ケツの産地でもある。
スクレロミスタックスって属は、コリドラスに大変近縁な姉妹群で、同属の有名どころは、いわゆるコリドラス・バルバータスだね。極東の諸島のショップに初入荷で始めてゼロ5つを記録した伝説(笑)が残っている。
ファイブ・ゼロ伝説のScleromystax barbatus
バルバータスの生息地はリオ・デ・ジャネイロ州の渓流で、オレも産地まで行ったことがある。ピンクの原種カトレアが自生している山中だった。同州は、もちろんドンチャン・カーニバルが世界的に知られるけど、コパカバーナ、イパネマなどのビキニ海岸も有名であるね。レブロン海岸は、もっといい。でも雨なんか降ってる日には行かないほうがいい。閑散とした海岸は、イパネマのババアしかいない(笑)。
バルバータスの産地から南下してサン・パウロ州に入ると、スクレロミスタックス・クローネイが生息している。
クローネイは、怪人が始めて極東にリリースした種で、バルバータス・サンダーというインボイス・ネームを捏造して出荷した。
本種の採集ポイントは、ベルチオーガという海岸に近い場所だった。上の画像は、怪人が水中撮影したもの。グッピー系の野生ポエキリアも可愛い。ポイントは、たいへん澄んだ海に近い清流。ここに遡上したリトル・スヌークをいくつもスピナーで釣ったこともある。
関係ないけど、ベルチオーガ海岸(美ケツ・アップはありませんよ・笑)
種小名の由来の人物、リカルド・クローネ Ricardo Krone (1861-1918) は、1861年にブラジルに移民し、サン・パウロ州南部のイグアッペに薬局を開いたドイツ人。付近の洞窟探検や魚類採集を趣味にして、採集ブツを当時リオ博物館にいた「ブラジル魚類学の父」ミランダ・リベイロ Alípio de Miranda-Ribeiro (1874-1939) に送って記載してもらった。
まるで関係ないけど、怪人はアンナって名前に弱いんだ(笑)。さてクローネが発見した魚種の白眉は、バーグレ・セーゴ(メクラナマズ)、すなわちピメロデラ・クローネイであるね。カヴェルナス・ダス・アレイアス(砂の洞窟)の中を流れる清流でゲットした。
実はオレこと怪人、サン・パウロ大学の博士と一緒にくだんの洞窟に潜入したことがある。もちろん生白いお肌のバーグレ・セーゴちゃんもゲットした。手網で簡単に捕獲できるトロ~いナマズ嬢だった(笑)。
続く
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あまり休めないcoffee break・5
今日もパイクシクリッドお話し。テラ(地球)魚類の最大所帯はスズキ目(もく)だけど、約半分がスズキ亜目(あもく)、約半分がベラ亜目で構成されている。一般にベラ系のほうが色彩がカラフルである。南米とアフリカに多いシクリッドの仲間は、ベラ系に含まれる。パイクシクリッドには、こんなスゴい発色のヤツもいる
「8月のシングー」シリーズで釣ってる画像が、熱帯魚界で Crenicichla sp. "Xingu1"と呼ばれていることを記したね。水槽で上手に発色できると上のオリノコ水系アタバポものに似ている。
じゃあ、"Xingu2"ってのは、どんなヤツ?
じゃあ、"Xingu3"ってのは、どんなヤツ?
あははは、熱狂マニアってのは、とかく自分のブツは他人が持っていないことに快感をオルガスムス、そして自分のモチモノはキミのと違うんだというノウガキにマスターベーション。オレには1も2も3も、単なる個体変異みたいにも見える(笑)。でも、その微妙なアヤがエクスタシーなんだろう。さて、最近になって台頭してきたスーパー・パイシク・マニアが、現在最も欲しがっているであろうベスト・スリーを独断+偏見で怪人がリストアップしてみよう。
上画像のパイクちゃんは、オレは産地緯度経度も知ってる某タパジョース水系支流産だけど、側面模様に鬼太郎のオヤジが顔をだした珍種。腹部のピンクもなんか性欲をそそる。これをナンバー・3にしておこう。
グリーンの頭部を持ち後半部の色彩が身体に鎖を巻いたように怪しいチッチャ(Crenicichla chicha)も超希少種だ。これがナンバー・2.だと思う。
いよいよマニアの喉から数本の腕が延びる種類、ローズマリアエ(Crenicichla rosemariae)。腹部が怪しいピンクに染まる超々希少種。こいつのナンバー・ワ~ンは動かしがたい。
もちろん、オレは上記3つの珍種産地をよ~く知っている。さあパイシク・フェチの皆さん、採集資金を伝説のFHOに投資すれば、愛しい夢の妖艶パイクシクリッド嬢を自分のモノにできるかも知れないぞ。ただし、お安くはないゼ(笑)!
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あまり休めないcoffee break・4
引き続きクレニキクラなお話し。怪人が開発したプレコ採集メソッドに、「投網かぶせ漁法」がある。川の中に大きな転石を見つけたときに使う。夜行性の強いプレコは、日中は岩の隙間や転石と底の間の暗がりに好んで潜んでいる。手の力でひっくり返せる位の石だったら潜りながら手づかみが有利だ。しかし、重さトン以上もある転石の場合、薬でも飲んで緑色の超人ハルクに変身するのも手(笑)だけど、クスリが切れてたら「投網かぶせ漁法」の出番だ。まずは投網で大岩をすっぽりと被せてしまう。それから枝の棒切れを転石の底につっこんで、奥歯をガタガタ言わせる。堪忍袋の緒が切れたプレコがダッシュして飛びだしてくるけど、そこには被せた網の目が待ち構えている。プレコくんは、カスミアミの哀れな小鳥のようにからまる。
オレがギャラクシーパイク(通称ギャラパイ)と名づけたシクリッドがいる。トカンチンス河のマラニョン州の支流ラジェアーダ川の「投網かぶせ漁法」で採集した種である。ギャラクシーってのは、もちろん銀河のことだ。茶色っぽい基色に白い斑点が星くずのように散らばっている。
ギャラパイの英名は、Jegui Pike Cichlid 。学名は、1986年記載のCrenicichla jegui とされる。トカンチンスのギャパイを日本にリリースした後、シングーでも同じ採集法で別種を得た。ギャラパイに似た体型だったので、斑点は星くず風でなかったけれど(笑)、ニューギャララクシーパイク(通称ニューギャラ)と名づけた。
ニューギャラの学名は、1991年記載のCrenicichla percnaである。ジェグイもペルクナも、潜水している時にまったく観たことがない種類だった。両種とも体型は上から押したように扁平で、おそらく岩底の隙間に適応しきっている。日中は、ほとんど外に出てこないのではないだろうか? もしかしたら、貴兄や貴女みたいに毎晩な夜遊びもしないかも知れない。すなわち繁殖期以外は外出しないで、岩の隙間空間で小型プレコなんか捕食しているのかも知れない。
ドワーフパイクの一種(Teleocichla centrarchus)
クレニキクラ属の近縁にテレオキクラ属ってのがある。小型の種類ばかりなので、英名はドワーフ・パイクシクリッド。ドワーフは直訳すればコビト。でも頭のお硬い極東諸島の出版界&放送界では禁句。良い子は、「小柄なヒト」って言わなくっちゃイケナイ。上の画像は、おそらくテレオキクラ・セントラルクスでアルタミラ下流で怪人が水中撮影したもの。尻尾の辺りに転がっている棒状ブツは、プレコのウンコ。
シングーのスレンダーパイクシクリッド(Teleocichla centisquama)
シングーに建設中のベロ・モンチ・ダムが完成すると野生インペの絶滅可能性がかなり高い。ドワーフパイクの中でもスレンダーなテレオキクラ・センチスクァマも存続が危ぶまれている。
続く
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あまり休めないcoffee break・3
「8月のシングー」編で、パイクシクリッド類が登場したときに、少しの解説を記した。今日はさらに同属にまつわる追加のお話しをいくつかしてみよう。
怪人がサンパウロ州田舎に秘密アジトを持っていたとき、リオ・デ・ジャネイロ州で大西洋に流出するパライーバ・ド・スル川の水系に何度か釣りにいった。この河川は、超珍ナマズのステインダックネリディオンとかも棲んでいる不思議河川。その支流は山岳地帯を流れていて、上流部の水温は冷たくて、移入されたトラウトすら自然繁殖が認められている。上画像は、怪人がフライで釣った熱帯性(?)ニジマス。
名前が格好いいマラリアパイクは、オレが極東に始めてリリースした種類であるね。最初に釣った場所は、パライーバ・ド・スル川の支流にある某リザーバーだった。赤い斑点がたいへん美しい種類で当時は学名が不明っぽかったけど、赤斑で熱があるみたいなイメージで魔人M大兄がマラリアと命名したのが和名の由来である(笑)。ちょっとブラウントラウトのイメージもある美形。
再度マラリアパイクに出会ったのは、もっと南にあるパラナ州モヘッチス(MORRETES)という田舎町近くの渓流だった。町の中にニュンジアクアラというマッタ・アトランチカ(海岸山脈)を流れる清流があって、けっこう山地なのに冬場(南半球の……)に大西洋から、大きなのは2キロにもなるリトル・スヌークが遡上してくる。そいつを狙っていたら、おやおやマラリアパイクが食いついた。
モヘッチスには、パラナ州都クリチーバから観光・山岳電車で行くことができる。余談になるけど、モヘッチス、アントニーナ、パラナグァ(⇒幻のコリドラス・ステインダックネリが生息するとこ)近郊には、何百年もの歴史があるというバヘアーダ(Barreada)という郷土料理がある。肉や腸詰めの煮込みみたいなこってり風味で美味しい。
ここモヘッチス、何だかスペインかポルトガルの田舎に迷い込んだみたいな感じがするところ。スパニッシュ・ギターの孤独なしらべが欲しくなる。たまに白人系の可愛い子ちゃんもいる。もちろん太ったオバさん沢山もいる(笑)。だけれどニュンジアクアラ川には、いかにも南米熱帯っぽいスヌーク、珍パイクカラシン、マラリアパイクが生息している。
2006年に「A review of the species of Crenicichla (Teleostei: Cichlidae) from the Atlantic coastal rivers of southeastern Brazil from Bahia to Rio Grande do Sul States, with descriptions of three new species」というバイア州からブラジル南端の南大河州にかけての沿岸山脈に生息するパイクシクリッド類(クレニキクラ属)の検証および3つの新種記載論文が、スエーデンのパイクシクリッドの大家Kullanderと南大河州PUC(カトリック大学)のLucenaによって発表された。
現時点においてマラリアパイクは、クレニキクラ・ラクストリスとされている。上記論文から本種の分布地図を引用し追記した。赤丸①がオレが始めてゲットしたパライーバ・ド・スル地区。赤丸②がパラナ州のニュンジアクアラ川地区。
続く
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あまり休めないcoffee break・2
シングーのテトラ
昨日に引き続いてテトラ話しをしよう。今日は怪人の地元、シングー河の小型カラシンだ。まずテトラの雄の一つ、ハイフェソブリコンについて。2004年に発表されたカマルゴらの論文、「REVIEW OF THE GEOGRAPHIC DISTRIBUTION OF FISH FAUNA OF THE XINGU RIVER BASIN, BRAZIL」、すなわち“ブラジル・シングー川流域に於ける魚類相の地理的分布の概況”によると、シングーには同属が、11種がいるとされている。その内の2つの画像を挙げよう。
ハイフェソブリコン・アグーリャ(Hyphessobrycon agulha)
ポルトガル語のアグーリャって針のこと。おそらく体側の細い一直線の黒線が由来だろう。アクアライフ誌が採用している学名カタカナ表記では、本種をアグルファテトラとしている。でもポルトガル語の lha は、二重子音だから、リャと読みたいね。
ハイフェソブリコン・ヘテロラブドゥス(Hyphessobrycon heterorhabdus)
アグーリャ種の黒線の上に赤線を入れたのが、ヘテロラブドゥスだね。
ヘッド&テールライトテトラ(Hemigrammus ocellifer)
ヘミグラムス属も有名テトラ系。同論文では、同属は8種類が挙がっている。上のオセリファーは、アマゾンに広範囲に分布する古くから知られた種だね。
モエンクハウシア・ヘイコイ(Moenkhausia heikoi)
モエンクハウシア属は、17種が記述されている。種名が不明で、“blacktaip”と記されている種は、おそらく2004年にドイツで記載されたヘイコイのことだろう。怪人は本種を1980年代から観察している。ヘイコは、ハイコ・ブレハおじさんのことでしょうね。世界的に有名な怪魚ハンターの元祖。でも、「オレたちがゼブラ・プレコを発見した!」、というホラも吹いている(笑)。
マイナー属だけど、けっこうキレイなエリスロカラックス・アルティピーニスも紹介しておこう。シングー水系イリリ川の上流産だ。記載は2013年で、前記の論文には載っていない。
怪人には学名が判らないけど、アルタミラ近郊でオレが採集したテトラ画像を2枚載せよう。
最近ちょっとテトラ学でも研究しちゃおうかなぁ。なぁ~んて夢想している怪人でもある。
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あまり休めないcoffee break
8月Fチーム報告が終了した。休むヒマもなく次のチームが始まったんだけど、それはさておき。いつもの中間・小話をする。
某日、テトラ系の小型カラシンの新種記載について調べていたら、ヤフー知恵袋に、こんな質疑&応答があった。テトラって熱帯魚ですか ……、そしてベストアンサーの答えがこれだった。熱帯魚です。一般的にアマゾン流域の小型のカラシン科の魚をテトラと呼びます。本来「テトラ」とは、現地の言葉で「小魚」という意味だそうです……
はは・ははは、怪人はここアマゾンでテトラなどという現地語をまぁ~ったく聞いたことがな~い(笑)。4を意味するギリシャ語接頭辞に決まってるじゃん。どこから、こんなガセが出てきたんだろう?
オレは古くから、生物進化を認めない天変地異説の大御所、頑固なキュビエが記載したテトラゴノプテルスって属名が語源ということを知っていたけど、テトラってのは、この仲間の歯の構造に4つの鋭角があるからじゃないかと長いこと思っていた。
一般に日本語サイトでは、テトラゴノプテルスは尻ビレの形が四角形だからである、とされている。オレはキュビエの古典論文を読んだことが無いけど、そうなのかも知れない。まあ、どっちでもいいけど。
過去に自分の愛人の名前を学名につけた学者がいたけど、学会で抹消された。えらそうな学者さんは頭が硬すぎるよ。ところで最近のブラジルでは、新種のテトラが続々と記載されている。上の種類は、テトラの定番の一つ、ハイフェソブリコンだけど、種小名がけっこう洒落ている。この新種が発見されたミナス・ジェライス州生まれのサピーたちだけが頻繁に使う感嘆句がある。それが、Uai Sô! (笑) このくらいのおフザけは許容だ。
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8月のシングー・10
Nくんもカショーロに慣れたか、難なくランディング。
昼前にサボン急流の上手にあるそれほど大きくない岩島に登った。島の中を細くて底岩が転がる浅い水路が縫っている。いかにもプレコがいる状況だ。最近なぜか、秘境怪魚ハンターたちは、プレコ好みになってきている傾向があるね? もしかしたら、その道の達人であり、大御所でもあり、熱帯魚界で神さまと崇められる、某オレの影響かも知れない(笑)。シングーの美麗種を観てみたいというNくんは、ネットくんに「1尾採ったら、いくらレアルだす……」という安い懸賞金を掛けた。お調子ものネットくん、がぜん張りきってニコニコ顔で水中メガネだ。ものの数分で、数匹以上のプレコを採ってきた。彼は、以前インペ採集もやっていた漁師出身だから、甘く見てはいけないよ(笑)。Nくんも驚いて、あわてて捕獲匹数制限をだした(笑)。
オレカイザーは、知人のズアノン博士たちが2011年にBaryancistrus xanthellus として記載した美種。アルタミラ下流タイプは斑点が大きく、イリリ下流タイプは小さめ、イリリ中流タイプは大きめ。狭いながら不思議な地域変異が明瞭にある。これが意味するところが判るかい? 清流適応のプレコってほとんど遊泳移動をしないんだ。だから区間に瀞場が少し続くと個体群の隔離が簡単におこって、独自に亜種くらいまで変異する。
シングー・ダルマプレコ(Parancistrus aff. aurantiacus)
ダルマプレコは、オレがトカンチンス下流産を始めて日本にリリースした種。30年前、魔人M大兄デポに最初に入荷したとき、某熱帯魚店主がダルマと命名して極東で名前が定着した。同時にオレンジトリムも日本上陸した。某同氏はサボテンプレコの名を提唱したけれど、業界から消滅した(笑)。ダルマプレコは、パランシストルス・アウランティアックス(Parancistrus aurantiacus)とされている。文献や欧米書籍では、シングー産も同種としているけど、UFPA(パラ連邦大学)魚類学者、ドラス科とロリカリア科が専門のレアンドロ博士に、シングーものはトカンチンス産と同じ種類と思うかい?、と聞いたことがある。彼は笑いながら、思わないと答えた。ははは、オレも同意見だよ。
ネットがプレコで賞金稼ぎをしている間、Nくんは島の中央を流れる水路の浅プールで良型タライロンを掛けた。いろいろな攻防があってキャッチに成功。これでまた今回のエンブレムが増えた。
最終日の夕刻は、可愛い顔が見たいというNくんリクエストで、RTC(レッドテールC)を狙うべぇ、ということになった。このところオレが好んで使っているRTCタックルは、ロッド雷魚七〇粘強+ABU6500Cという組み合わせ。以前はもっと硬いトローリング・ロッド+大型両軸リールを使っていたけど、重い、投げるのに疲れる、持ち運び邪魔。だもんでシングーRTC用に軽くした。前のブログで書いたけど、パシエンシア(忍耐)が薄い怪人は、30分もすると妄想が沸いてきて、ネットくんにタックルを渡してボートで横になって黄泉の瞑想に入った。アバターのネットは、15分ほどでアタリをとった。ロッドの曲がり具合と動きでRTCとみてとれた。ネットはNくんにタックルを渡して、サービス業の格好をつけた。
今回はパイロットのネットくんが大活躍だったね。確かに彼はセンスや運動神経もいい。シングーの航路もよく知っている。実は5月のNHK・BS撮影のときもスタッフにいた。もしかしたら、怪魚ハンター・タケちゃんブログなんかの画像に入っているかも知んない。
さてさて、今回で「8月のシングー」編も終了とする。よく遊びました。お疲れさまでした。
シリーズ終了
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