フィッシュ・スカルの再来・6
ナマズ類について言えば、現在シャベルノーズ(ソルビン・リマ)と18スポット・シャベル(ヘミソルビン・プラティリンコス)、それに小型のピライーバの頭部骨部品が、各1組ずつ薬品に漬かっている。前2つの頭部は、UFPA(パラ連邦大学)で淡水エイ類の研究している女の子が仕掛けたはえ縄に、夜間掛かったナマズで、UFPAのラボで肉がフライにされた残りの頭を持って帰れと頼まれたブツ。そんなに欲しくはなかったけど、まあ好意で言ってくれてるんだから、人間ができてるオレ(笑)は、断らなかった。
ソルビン・リマ
オレは、マジに新しい魚種のフィッシュ・スカルを手掛けるとき、数個の同種の頭を同時に入手することにしている。なぜかと言うと、まず2つほど骨にして乾燥⇒それを組み立てると同時に、別の2つほどの頭から骨の位置関係を確かめながら剖出…… という手順をとるからだ。単にバラバラ骨になったものだけだと、骨と骨の接続する角度なんかが、よく判らないのであ~る。
ナマズの部品
現時点の在庫ナマズ・スカルは、3種が各1組しかないから、上記した手法がとれない。まあ、こいつらは、とりあえず今後のための肩慣らしって感じになるだろう。
続く
フィッシュ・スカルの再来・5
アロワナを仮組み立てしてみたけど、顎の部分の骨は、かなり華奢にできている。それに比して、鰓蓋の骨がやけにぶ厚くてゴツい。
仮組み立てしたアロワナ
アロワナ・スカルは現在、乾燥させた骨部品が、3セットくらい。薬品に漬かっているのが、2セットくらい在庫がある。
アロワナ・スカルのバラバラ部品
前述したように、アロワナはピラルクに近縁の魚族である。ピラルク頭部の入手は可能なんだけど、冷凍庫を大きく占有されてしまうから、今は着手を考えてはいない。
続く
フィッシュ・スカルの再来・4
極東の島国でエイリアン・ふぃっしゅと言えば、ワラスボが有名であるね。スズキ目のハゼの仲間である。有明海の干しワラスボは、別名エイリアンと称して宣伝効果を狙っている。
干したワラスボ
しかし、ハゼ類には口蓋の中に二番目の顎はない。エイリアンと同じような顎構造をしているのは、ウナギ目のウツボ類であ~る。
ウツボの内側の顎構造
それはさておき、アロワナは、やっぱりカラシンとは、各骨の形状もけっこう違う。もっとも特徴的なブツは、やっぱり舌骨であるね。
アロワナの舌骨
形として、やっぱお仲間であるピラルクのそれに良く似ている。ピラルクのは大きいから、古来アマゾンのマウエ族に、ガラナをすり下ろすオロシ金として使われた。
続く
フィッシュ・スカルの再来・3
シングーの下流地域には、シルバー・アロワナがたくさん生息している。ここで何回かチームを組んだけど、まだ外したことはない。
シングー下流のアロワナ
古代魚アロワナのスカルは昨年から少し始めた。頭部骨を剖出してみると、顎に並んだ歯がけっこう数が多くて鋭利であるのが意外だった。しかし、舌骨で飲み込んだエサを固定するように進化したオステオグロッサム類だから、下顎を閉じる力はま~るで弱い。だから、こんな歯をもっているけど、噛まれてもギャーっと叫ばなきゃならないほどには痛くない(笑)。
上下の顎骨
反対に言うと、噛まれて痛くなかった経験が何度かあるんで、唇の下に隠れていた歯列に気がつかなかったんであ~る。
アロワナ鋤骨の先端
アロワナの歯構造は、けっこう面白い。前にツィッターに書いたけど、鋤骨(じょこつ)の先端部が、まるでエイリアンの内側の歯みたいになっている(笑)。
続く
フィッシュ・スカルの再来・2
おかげで、シクリッドの頭骨構造と各部の構成骨の形などを、一応体感できたようである。たしかに、ジャバラ式に稼働する上顎を持ったオスカーを含むスズキ目類は、固定式上顎のカラシンとは、いささか顎骨の作りが違う。
仮組み立て
まだ薬品に漬かっているオスカー・スカル部品が3つ残っている。もう少しシクリッド・スカルの組み立てを習得して今年は、ピーコックバスの大型にも挑戦しようじゃないか。
大型のシングー・メラニアエ
そういえば、昨年の10月にキーちゃんが釣ったイリリのメラニアエ・ピーコは、ひさしぶりに大きかったっけ。頭を冷凍ストックしとけば良かったなぁ……
続く
フィッシュ・スカルの再来・1
最近また少しづつシングー魚のスカル標本をイジくっている。正月のノートへの書初めに、「新しい魚族スカルに挑戦する……」というのがあったような……(笑)。
シングー下流のオスカー
昨年、アクアライフ誌に「アストロノータス、オセラータスvsクラッシピンニス」というカラー2ページ原稿を書いた。そのときに、背ビレの条数などを確認するため、シングー下流にあるヴィットリア・ド・シングーの魚市場で、オスカーを数匹購入した。ウロコを取り除き身を3枚におろして、身肉は冷凍保存。その後に解凍して、エスカベッシ(地中海レシピのひとつ)などにして、胃袋に収めた。頭部は、別途に冷凍庫に入れておいた。
オスカー頭部を解剖して骨を剖出
シングーに多いピラニア、カショーロ、タライロン辺りから製作を始めた関係もあって、実を言うと、今まで手掛けたスカルはカラシン類だけに終始していた。昨年やっとこ、アロワナにも着手したけど、ナマズやシクリッドには、腰が重かった。ナマズに関して言えば、ブツがデカいので冷凍庫のスペースを取られてしまうことが、腰が引けていた理由でもある。シクリッドは、魚類の中の進化群で、上顎の構造が複雑なんじゃないかという妄想があった。
組み立て中のオスカー
しかし、実際にオスカーの頭骨をイジってみると、思っていたほどムズかしくはなかった。
続く
腕足動物・17(短編:最終回)
ジョイセ・コレクションに大型化石があった。直径20cm強の渦巻きである。頭足類、すなわちタコやイカの仲間のアンモナイト亜綱かオウムガイ亜綱だろうけど、保存が良好でないので、隔壁がまるで明瞭でない。隔壁が殻の本体と接する縁の部分が、縫合線を呈している(アンモナイト類の特徴)のか、ただの湾曲(オウムガイ類の特徴)なのかが判別できない。
アンモナイト風の巻きだが……
この他に、腹足類すなわち巻貝、魚類の鱗とかもウルアラで発見されている。当時の海を復元してみると、こんな感じなんだろう。
ウルアラの海中イメージ
ひさしぶりに化石採集遊びが楽しめた。もっと丹念に探せば、三葉虫や魚類もめっけられる可能性は、十分にあると思う。
【小論・終わり】
腕足動物・16
腕足類以外のウルアラ・フォシルも紹介しよう。まずは、サンゴである。こいつもカンブリアン・エクスプローションから出現した。大きな分類で言うと、刺胞動物門。
サンゴの化石
おそらく、絶滅した四放サンゴのたぐい。英名はホーン・コーラル、すなわち角(つの)型の珊瑚。上の画像は、ジョイセ・コレクションである。
オレがゲットしたコーラル・フォシル
オレもウルアラで珊瑚化石を見っけたぞ。あまり保存が良くないけどね。
続く
新規・隊員募集ページ
本年度から来年度のフィッシング隊員募集ページを新規アップロードしました。
https://ameblo.jp/amazon-anglers-team
おおむねの機軸は、前年度と多くは変わっていませんが、新規に「ボリビアの大型ドラード」を加えました。よろしくお願いします。
腕足動物・15
④ のタイプは、明らかにスピリファーの仲間である。すなわちタクソン(分類群)は、腕足動物門、
嘴殻亜門、嘴殻綱(リンコネラータ類)、スピリファー目である。
これが④のタイプの一つ
論文では数種が載っている。放射状の溝の幅や深さが属判定の決め手のように思う。
これもスピリファー類
スピリファー、すなわち石燕は、化石掘りマニアには、けっこうビッグ・ネームである。極東の島国でも産するけど、オレはまだ自分で見っけたことがなかった。まあ、それが実現した訳でもある。
オレがゲットの石燕ちゃん
次回は、両殻がきれいに張りついた完全体を見つけたいね。
続く






















