最近、平等よりも対等が必要である、という声がでている。

そのことに関して考える上で参考になる記事があった。

熱心なイスラム教徒であるトルコ大統領が昨年の11月に
以下のような発言を行ったのである。


(THE HUFFINGTONPOSTより転載)

トルコのエルドアン大統領は11月24日、イスタンブールであった女性の権利に関する会議で演説し、
「女性と男性を平等にはできない。自然の法則に反しているからだ」
などと発言、トルコのフェミニストたちは母親という概念を拒んでいると発言した。これに対し、女性の権利の支援団体からは非難の声が上がっている。

大統領は「妊婦に男性と同じ条件を課すことはできない」と例示した上で、
「女性に必要なのは、平等であるより対等であることだ」
との持論を展開した。大統領の発言に対し、ツイッター上では批判の声が上がっている。

エルドアン氏はさらに、
「我々の信仰(イスラム)では女性の地位は母親」
「母親であることが(女性の)最高の地位だ」

などと述べ、女性は結婚して出産すべきだとする持論を繰り返したという

(転載終了)


上記の記事は平等について考えるのに良い記事である。
まず、平等には主に二つの意味に分けられる。

・絶対的平等(人は全てが同じという平等。子供と大人のような区別も認めない)
・相対的平等(人は権利が同じという平等。子供と大人のような合理的区別は認める)

絶対的平等という観点からすれば、トルコ大統領の言うとおり、
男女は平等ではない。
生物的な違いが歴然と存在しているからだ。

一方で、相対的平等という観点からすれば、男女は
立憲民主主義のもとでは平等である。
一人一票の投票権が与えられ、男性のみに許される権利、
女性のみに許される権利など存在しないからだ。

「女性は家庭にいるべきだ」
というトルコ大統領の発言をみれば、
氏の平等ではなく対等であるべき、という発言は、
男女の違いを理由に絶対的平等の否定のみならず
更に相対的平等の否定まで考えて発言していることがわかる。

男女の問題を考えるとき、生物学的な違いを考慮に
入れなければならないのは明らかである。

しかしそのことを理由に、相対的平等を否定しようとする
トルコ大統領の発言は、「対等」なる言葉で恣意的に女性
や男性にしなければならないこと、してはならないことを
強制するイスラム主義者の人権否定と取られても仕方
ないだろう。

そもそも生物学的な違いから、するべきこと、してはならない
ことを強制できるのなら、男女に限らずありとあらゆる能力
の違いごとにその強制が正当化されてしまう。

IQが120以上の人間がするべきこ、してはならないこと。
身長が180センチ以上の人間がするべきこと、してはならないこと。
など。
そこれこそ際限がなくなるだろう。

同じ権利を持つという相対的平等を否定し、「対等」という言葉で
物事を判断していく場合、その結果起こることは、権力を持った人間
による一方的な価値観や規制の押し付け、という全体主義につな
がる危険性である。

民主主義の平等を考える上で問題なのは、平等のみで
考えると、絶対的平等と相対的平等が混ぜ合せて使われること
が多いということだ

この違いは明確に分けなければならないが、それを分けるには
平等のみの概念では無理なのである。

「人間は生まれながらに自由で平等である」
つまり誰もが支配されない権利を持つ
という近代民主主義の根本規範に基づいて考えなければならない。

何故なら、平等の諸権利はこの根本規範に基づいて与えられているからである。

この観点からすれば平等を考える上で、自由と友愛(同胞意識)を含めて
考える必要がある。

そこから絶対的平等と相対的平等の違いが明確に意識化
されてくる。

民主主義の平等について、平等のみの観点から語ることは、
バランスを欠いたものになってしまうだろう。



<関連リンク>男女平等は自然の法則に反する トルコ大統領の発言が波紋




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■ブログ記事
 
<リンク>政治経済思想理論







<記事リンク>民主の原理である4つの権利(真理、自由、平等、友愛)を統合させ発展させる方法







<記事リンク>【図解】貨幣数量説の交換方程式を用いて「取引に使われた通貨量」の算出をアップ



<記事リンク>中央銀行が設立したノーベル経済学賞に代表される社会科学系アカデミズムの洗脳システム






<記事リンク>国民主権の民主主義の実現に必要なモデル図 気概のある魂と民主の原理の融合



■上記記事の説明動画

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