至高のソースを創る!! 千日前はつせ 三代目 長谷川明男 -6ページ目
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【焼き手によってお好み焼の味は変わる?】文化を守るための意外な行動。

こんにちは。お好み焼・焼きそばをより美味しく味わうための「至高のソース」作りに奮闘する毎日を送る、千日前はつせの長谷川明男です。


一年の大きなイベントのひとつであるゴールデンウィークが終わりました。みなさんはどのように過ごしましたか?今年は特にGWの過ごし方が多様化したようです。海外旅行・国内旅行、帰郷や散策、家でまったり・・・。中には溜まった仕事を片付けた方もおられるでしょう。


この時期は、当店にもよく他府県からのお客様が来られます。長旅でお疲れの中、少しでも当店の個室でゆっくりして頂ければこれ以上の幸せはありません。


当店はお客様に焼いて頂くスタイルなのですが、他府県から来られて、お好み焼を焼いた事のないお客様が「上手く焼けるかな?」と心配される時もあります。





お好み焼きは焼き手によって味が変わる?


このテーマは、お客様に焼いて頂く当店では永遠のテーマのように思えます。曖昧な体感でしかないのですが、関東方面からお越しの方とはそんな話題になる事が多く感じます。当店のお好み焼きの生地は、あまり経験のない方でもできるだけ上手に焼けるような工夫がしてあります。生地を練る粉を4種類使い、それぞれのデメリットが極力出ない配分で良い部分だけを引き出します。しかし焼いた時の味が必ずしも均一かというと・・・


正直に申し上げると、答えは「焼き手によって味が変わる」となります。


特に鉄板焼きの場合は調味料の種類や塩加減、焼き具合によって大きく変わると思いますが、当店でお好み焼を焼く上で一番大切な事は火加減です。始めは中火で、ひっくり返したら弱火でじっくり…。これがおすすめです。


この事をできるだけ多くのお客様に伝えるため、「千日前はつせ流 おいしいお好み焼の作り方」という動画を制作しました。youtubeにアップロードしていますので、これをQRコードにしてメニューに張り付ければリアルタイムで焼き方の見本を参照する事ができます。ただいま急ピッチで準備をしています。お好み焼の種類によって焼き方も異なるので、色々なバージョンを作っていって、より美味しくお好み焼を楽しんで頂きたいたいと願っております。これも大阪の郷土料理を守るための進歩だと思います。


http://www.youtube.com/watch?v=AgeDm_S-UEg



郷土料理といっても、常に進化する


GW中の出来事で、こんな事がありました。 九州から車で来られたお客様なのですが、当店のお好み焼を召し上がって「この味を地元の郷土料理に活かしたいと思った。大阪に来て良かった」とおっしゃいました。聞くとその郷土料理は海鮮料理だったので、大胆な発想をされる方だとビックリしました。多少大胆でも郷土料理を発展させて町興しを進め、地元の観光産業に寄与する事はとても大切で、そのために自分はその土地に生まれたんだ・・・という話を聞いて感動しました。本当はお客様に感動して頂くのが私どもの使命なのに…。


ご当地といえば、ラーメンは地方によってかなり違った特色がありますね。その土地の特産物が入っていたり、気候・風土や文化に合わせた味になっていたりします。特に最近感じるのが、色々な地方のラーメンが共鳴しあって、常にしかもすごく早いスピードで進化し続けている事です。新しいものが次々と頭角を現します。


でもお好み焼というものも負けてはいません。北海道にもありますし、東北の「どんどん焼き」や関東の「もんじゃ焼き」、東海地方の「遠州焼き」、そして有名な広島風・・・。数えればキリのないほどあります。関西だけでも一銭洋食やかしみん焼きなどの地域の特色があり、粉モン文化は全国にあります。こういった全国の粉モン文化を学び、良い部分を取り入れて進化させる事が、同時に文化を守る事にもなります。そしてその進化が早く確実なほど、より深く郷土に根付くのではないでしょうか。




旅をする事で地元に還元できる!?


このように考えてみると、ゴールデンウィークなどの連休で旅行をして、その土地の郷土料理を味わうという事は、自身の地元の郷土料理を進化させるチャンスにもなりうると思います。違う土地の文化に触れる事で自分の土地の文化が変わる。もしかすると、旅行をする事自体が、自分の住む土地を守るための本能から生まれているのかもしれません。


海外にも簡単に行く事が出来る今の時代、料理の進化のスピードはますます早くなる事は間違いないと確信した次第です。




至高のソースを創るためのヒント その2

離れてみる事で見える事もある!! 進化する要素はなんぼでもありまっせ!!





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【坂本龍馬が教えてくれた!?】 至高のソースの完成に一歩近づいた日。

こんにちは。お好み焼・焼きそばをより美味しく味わうための「至高のソース」創りに挑戦する、千日前はつせの長谷川明男です。



最近は坂本龍馬や奈良の遷都1300年祭など、歴史探訪が大きなブームになっていますね。私自身も時間を見つけては近隣の一宮(いちのみや)に行ってみたりしています。そんなブームの影響もあり、やはり自分の店のルーツや歴史を知る事がとても重要だと思うようになりました。そしてそれを守り続ける事は簡単ではありませんが、それが私にとっての「社会の一隅を守る使命」だと感じています。




なぜ「至高のソース創り」をするのか

そもそも、なぜソース創りが始まったのかというと、当店には2種類のソースをかけて食べるという特徴が関係しています。ひとつはおなじみの特濃ソース。甘口ソースと呼んでいますが、ドロっとしたソースです。このソースはPB(プライベート・ブランド)のソースです。通常はこの類のソースだけのお店が多いのですが、当店では甘口ソースの前にウスターベースのソースをかけて頂きます。これにより、コクとボディがビックリするほど増大します。


しかし昨年、創業以来の大問題が起こりました。近い将来、このウスターベースのソースが色々な事情により製造できなくなってしまうのです。時間はまだ少し余裕があるのですが、当店の「ダブルソース」の特徴と味を守るため、新しくPBでのウスターベースのソースを開発する事が必要となりました。


今回提携するメーカーさんに、現在のソースを徹底的に分析してもらうという約束があった事からの安心感からか、正直なところ、現在使っているソースと同じ味を目指し、さらに改良を加える事はそう難しくないと思っていました。3回ぐらいの試作で大丈夫だと思っていました。しかし、提携メーカーさんに話をして試作が現在5回目。胸を張って「これが至高のソースだ」とは言えないまま半年以上が過ぎています。そして試作を重ねるにつれ、創るからには究極なまでにこだわりたいという気持ちが日に日に高まってきました。


しかしそれだけの数の試作を経ても理想のものが作れていないという現状は、単に提携メーカーさんの技術やノウハウの問題ではありません。ソースひとつにしても、それだけ奥が深いという事です。




歴史を知る事で前に進む事ができる


そこで、現在使っているウスターソースのメーカーさんの事を調べてみましたら、元々は酢のメーカーだったという事がわかりました。このメーカーさんの酢を作る特徴的な技術・製法は、他のソースメーカーにはなかなか真似できないそうです。今回そのメーカーさんの歴史を調べる事で、ウスターソースの重要な要素の一つに酢がある事がわかりました。これも至高のソースに近付く一歩だったと思います。


もちろん現在の提携メーカーさんにも長く大きな歴史があり、誰にも真似できない製法を持っています。それでも今は目指している味がなかなか作れない、しかし提携すると決めた以上は互いに諦めず進歩する事で達成し、そしてそれが共通の歴史となっていく。今進んでいる道が、そんな風になればいいなと思います。


それぞれの会社が誰にも真似できないような部分を持つこと、それこそが最大の武器となります。努力を続ける事で至高のソースが完成し、それから多くの時間が流れ、「これが千日前はつせの最大の武器だ」と言って頂けるように、また、自分でも胸を張って言えるように・・・。 そのためにはもっとこの店の歴史とシンクロする必要があると思いました。



百年に一度と呼ばれる不況や政権交代・・・本当に何が起きるか分からないこの時代に、人々が手探りで何かを求めて先人から学ぼうとする。歴史探訪がブームになることは必然のように感じた次第です。




至高のソースを創るためのヒント その1

迷った時は、まず先人から学ぶんや!! 自分のルーツと真摯に向き合え!!





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千日前はつせとは?

大阪の味 お好み焼 千日前はつせ

住所:大阪市中央区難波千日前11-25 はつせビル2階

Tel:06-6632-2267 Fax:06-6649-6152
http://www.hatsuse.net



千日前はつせの沿革


明治末頃に「はつせ旅館」として創業。しかし第二次世界大戦の戦火を受けてビルが焼けてしまい、一時は廃業となる。 そして戦争が終結した1945年(昭和20年)に初代である長谷川清之が焼け落ちたビルを受けて建て直し、「はつせ食堂」をスタートさせる。はつせ食堂では「ビックリうどん」という、大きな器に盛り付けたうどんが大ヒットした。


その後、はつせビルの2階に「大阪の味 お好み焼 千日前はつせ」がオープン。旅館時代の名残りから店内は全席個室にし、昔ながらの「お客様に焼いて頂くスタイル」とした。他府県の方やカップル、仲間同士で来られても「一家団欒」ができるようにとの初代の思いが込められている。


                                             ↓初代である長谷川清之

至高のソースを創る!! 千日前はつせ 三代目 長谷川明男-昭和25年2
↓創業当時の「千日前はつせ」


至高のソースを創る!! 千日前はつせ 三代目 長谷川明男-昭和25年1



現在、はつせビルは


1階 Darts,Billiards&Bar milkhall
2階 千日前はつせ
3階 個室もつ鍋屋 ぎんなべ

で構成される。



吉本会館(NGK)のすぐ近くという事もあり、若手芸人さんのネタ合わせや打ち上げ等に利用されたり、当店でアルバイトされる芸人さんも多くおられます。


至高のソースを創る!! 千日前はつせ 三代目 長谷川明男-お好み焼2

↑昔から変わらない「はつせのお好み焼」



至高のソースを創る!! 千日前はつせ 三代目 長谷川明男-大看板

↑創業当時からの大看板



至高のソースを創る!! 千日前はつせ 三代目 長谷川明男-お好み焼1

↑外はカリッと、中はふっくらとした仕上がり





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