【ココロのソースで日本が変わる!!】 至高のソース創りの原点とは?
こんにちは。自分の限界を意識する事も忘れて「至高のソース」の完成まで全力疾走する、千日前はつせの長谷川明男です。
最近は政権の連立維持や、与党のこれからに関するニュースで持ち切りですね。日本各地の都道府県、さらに市町村に合わせ、政治家のみなさんは頭をフルさせてしのぎを削っています。食に関しても、お好み焼をはじめ日本国内各地にはとても数え切れないくらいの郷土料理が存在します。しかし長い歴史があるにも関わらず、食糧自給率は40%ほどの低さです。東京の食糧自給率に至っては1%程度です。日本の人口密度を考えると、全ての食材を国産で賄えない事は仕方ないのかもしれません。
食糧自給率が低いという事は、当然海外からの輸入に頼る事になります。しかし国によって「食に関する法律」がそれぞれ違い、日本では日本の法律に合わせて「日本の食の安全」を確保する必要があります。「食は命でである」という言葉があるように、食品の安全性にこだわる事は生活する上で当然の事だと思います。
2003年 食品衛生法改正
2003年に施行された食品衛生法の改正では、従来の残留農薬に関する規制の考え方である「ネガティブリスト制度」から「ポジティブリスト制度」に移行されました(平成18年に施行)
ネガティブリスト制度では、人体や環境などへの影響が懸念される250種類の農薬と33種の動物用医薬品の残留基準が設定されていましたが、それ以外の農薬が残留していても販売禁止などの規制はありませんでした。さらに化学工学が飛躍的に進歩したことにより、新しい農薬が開発されてもそれらに対する安全性の知見は必ず追いつく訳ではなく、結果的にはいつも後追いの規制となり、食の安全性に対する意識が高まる中では時代遅れとなっていきました。
そのような流れから、ネガティブリスト制度はポジティブリスト制度へ変化し、従来の「禁止されたものだけ一覧表」から「許可されたものだけの一覧表」になり、生物学的な安全性が確保されていないものは規制され、私たちも安心して食品を買う事ができるようになったのです。
ポジティブリストと「至高のソース創り」の関係
ポジティブリストへの移行が決定的になった事で、ウスターソースの製造では使えなくなる原料がありました。ウスターソースメーカーが頭を抱えた、その原料の名前は「糖密」です。糖蜜とは砂糖を精製する時にできる副産物の一つで、副産物でありながらも糖分やミネラルを多く含んでいる事で重宝されてきました。しかし食品衛生法が改正された後でも、砂糖原料メーカーは糖蜜に関わるリストを提出しにくいとの判断をし、それに伴い当店のウスターベースのソースについても、従来使用されてきた「糖蜜」に代わる原料に変更する事が必要となりました。
当店で召し上がって頂くお好み焼は、辛口ソース(ウスター系のソース)と甘口ソース(どろソース)を重ねる事で完成します。このダブルソースを絶対に守りたいという気持ちが「至高のソース創り」の原点となりました。今までのものが決して悪いものではありません。でも何かを誤魔化して、許可されていないものを使う気は到底しません。店の営業に関しては糖蜜を回避して製造されたウスター系ソースを使用していますが、私は、これよりさらに美味しいソース、本当に全ての素材とのマリアージュを叶える「至高のソース」ができると信じています。
乗り越える事ができればチャンスになる
糖密の代わりになる原料を探そうと言っても、そう簡単に完璧な原料を見つける事はできません。それが分かったのが今年の初めでした。試行錯誤を繰り返す中、提携メーカーさんも親身になって協力してくれました。糖蜜に代わる原料の見直しと実験を平行しながら、同時に製造方法の変更までも検討してくれたのです。
多くのメーカーでは原料を遠心分離機にかけて短期間でソースを作りますが、「至高のソース」では原料を充分にねかせてから製造工程に入る「沈殿方式」を取り入れる事になりました。長時間かかる上、さらに上澄みの部分しか使いません。しかしそうする事で、香り高くまろやかなソースが出来上がります。メーカーさんからすると面倒な事かもしれませんが、ご協力に感謝しています。
食べ物はお客様の口に入るものですから、素材選びは飲食店の基本的なホスピタリティとして重要な事だと思います。命の土台となる食べ物が、より安心・安全になる事に悪い事などありません。それがたとえどんなに高いハードルでも、越える事ができれば大きな成果となるチャンスです。より良い日本をつくるために努力を重ねる人たちに負けないよう、胸を張れる立派なソースを創りたいと思い、これからできあがる至高のソースが絶対に良いものになると確信した次第です。
至高のソースを創るためのヒント その5
自分のためではなく、人のためになるソースを創れ!! ひたすら愛情を込めるんや!!

【スーパーB級グルメが登場!?】実際にあった昔の食べ方。
こんにちは。至高のソースを創る事を目標に日々奮闘する、千日前はつせの長谷川明男です。
当店は大阪ミナミの難波千日前にあります。少しでも味がブレる事を避けるため、多店舗展開はしません。ここでしか食べられない味を、常に確実に守り続けたいからです。
ご当地と言って最近思い浮かぶのが「B級グルメ」です。発祥地の特徴が活かされ、そこでしか味わえない料理は私からするとB級ではなくA級です。そこにその料理が存在する理由があるという事は素晴らしいと思います。
そんなご当地グルメを全国的に競うイベント「B-1グランプリ」が毎年開催されています。年を追うごとに盛り上がりを見せる中、2009年大会では秋田県横手市の「横手焼きそば」が初優勝を果たしました。不勉強なもので「横手焼きそば」という料理をその時初めて知ったのですが、調べてみると発案時期が1950年ごろとあったので非常にビックリしました。当店は昭和20年(1945年)に創業していますので、あまり変わらない時期にこの特徴的な料理は確立されていたのです。
先入観は最大の敵!?
B級グルメという言葉を初めて知った時、自然といくつかのキーワードが思い浮かびました。
・新しい料理である。
・B級という事は味が偏っているのかもしれない。
・一部の熱狂的ファンを持つのであろう。
・メジャーでの評価は良くない=B級グルメ。
・マニアックな味覚で選ばれる。
何も調べず、何も知らずに思い浮かんだのですが、こんなイメージを持っていました。
しかし、前述のように約60年前に発案された料理がグランプリを受賞したとなると、話は全く別のものになります。今までこんな先入観を持っていた自分が恥ずかしくなりました。B級グルメとは郷土料理ではないものの、ご当地でしか味わえない、古くから伝えられている料理の事だったのです。
店内でB級グルメを発見!?
では、古くからある当店にはどんな特徴があるのかを考えてみました。明治後期から旅館を営んでいたという事、戦火から建て直した後に「はつせ食堂」をオープンし「ビックリうどん」がヒット。そして「大阪の味 お好み焼 千日前はつせ」がオープン…。成り立ちからは分かりませんが、実は「B級グルメ」は既に当店のメニュー内にあったのです。しかも二つも発見する事ができました。
・むかし焼き
お好み焼のトッピングメニューの片隅にひっそりとある「むかし」というものがあります。これは桜えび・ちくわ・こんにゃくがセットになっているもので、聞いてみると、創業当時からこれらを具材にしたお好み焼は「昔焼き」と呼ばれていたそうです。という事は、「昔焼き」がまだ「昔焼き」と呼ばれていなかった頃は、これこそがお好み焼の代表的な具材だった事が窺えます。昔焼きの時代には冷蔵庫などの保存設備がなかったため、乾物が主役だったからだそうです。お好み焼の表面で焼いた桜えびは、とても香ばしく懐かしい気分になります。発案時期が不明なほどのスーパーB級グルメだと思います。
・すき焼き風の焼きそば?
もうひとつの特徴はお好み焼ではなく、焼きそばにありました。当店ではオーダーされた焼きそばには必ず生卵が一つ付いてきます。今では出来上がった焼きそばに目玉焼きとしてトッピングするのがおすすめの使い方になっていますが、昔はなんと、焼きそばを生卵に付けて「すき焼き」のように食べていたそうです。外食・ソース・生卵という組み合わせは、当時では贅沢な食べ方だったそうです。
これらはB級グルメの特徴であるルーツと特徴的な要素を兼ね備えたものではないでしょうか?更に安価で庶民的。足りない事といえば土地ならではのものではない事かもしれません。惜しくもB級グルメにはならないのかも知れませんが、こんな古くからのルーツを持ったメニューを守る楽しさと、責任の大きさを感じた次第です。
歴史をダブルソースの開発に活かす
現在、至高のソース創りに励む日々を送っていますが、当店の特徴であるダブルソースは創業当時に考えられたものです。初代の長谷川清之がお好み焼店を作る際、味のこだわりには相当な時間をかけたと聞いています。塩や粉、昆布に削り節…色々と試行錯誤を繰り返し、もちろんソースにもこだわりました。そして最終的にたどりついたのが、ウスターベースのソースと甘口のドロソースを重ねる「ダブルソース」という発想でした。
時代を超えた今、そのソースの一つが製造できない事になり、私がより良いものを目指して開発しています。これがどれだけ大きな事かを考えると身が引き締まる思いですが、この役割を自分が担う事、この味が自分の腕にかかっている事を考えるとやる気がわいてきます。
至高のソースの完成に向けて、気持ちを新たに情熱を込めてがんばっていきたいと思います。
至高のソースを作るヒント その4
先入観を捨てると身近なヒントに気付く!! 初代に負けないぐらいこだわり抜くんや!!

【粉モンの命は生地?ソース?】お好み焼の三角関係に気付いた第六回目の試作品。
こんにちは。粉モンをより美味しく味わうための「至高のソース創り」に燃える、千日前はつせの長谷川明男です。
最近は暖かくなったかと思えば寒くなったりの繰り返しで、よくわからない天候が続いていますね 冬服を直したかと思ったらまた引っ張り出しています。それでも今週ぐらいから落ち着きそうで良かったです。私は夏が大好きなので、はやく夏になってほしいのですが、よく考えると春を飛ばしてしまっている様に思えます。近所の方も「春と秋がなくなった」とおっしゃていました。これも地球温暖化などの影響でしょうか? もし日本から四季がなくなってしまうと色々な風情が失われてしまいますので、とても不安になります。
至高のソースを創ることを決心したのが昨年の10月。秋~冬~春~と季節が移り変わっていますが、先日新たな試作品が到着しました。6作目の試作品です。
ソース自体は美味しいが・・・
さっそくそのソースを使ったお好み焼を作ってみました。まずは過去全部の試作品と、現在のソースの味比べ。一回目の試作品から順番に味を見ていくと、だんだんと求めている味に近づいてきている事がわかります。毎回の事ですが、「もうこれでいいかな」とつい妥協してしまいそうになります。しかし、この決定は当店の味として一生背負うもの。そして受け継がれていくものです。絶対に「これだ!!」と思えるものが出来るまで諦めたくありません。
作ったお好み焼を試食した結果、今回のソースは理想に近く単体での味は良いと思ったのですが、お好み焼の味全体としてはすごく良いわけではありませんでした。よく味わってみると、甘口ソース(ドロソース)との相性が良くないと思いました。ドロソースの独特の甘みとコクを、このソースが消してしまっていました。
粉モンはソースが命だという事はよく耳にしますが、当店のダブルソースに関しては2種類のソースの相性が大きな鍵となります。でも、本当にソースだけが美味しければ粉モンの味は完成するのでしょうか?
お好み焼の命はソース?それとも生地?答えは…
「お好み焼はソースが肝心」とおっしゃる方もいれば、「生地が美味しくないと意味がない」と言う方もおられます。当店でどちらにこだわっているかと言えば、ソースだけではありません。生地を作るのに毎日朝一番に昆布と鰹・鯖などの削り節からダシを取り、岩塩や粉の種類にもこだわり、練った生地は絶対に翌日には持ち越さずに足りなくなった分だけこまめに練ります。これだけは創業当時から必ず守っています。そのようにして新鮮な生地の香りと風味を常に保っています。
しかしソースの味も良くないと、せっかく作った生地も台無しになります。お客様に「美味しい」と感じて頂くためには、まさに「ソースと生地の相性」が大切だと思います。生地に入っているダシの味を壊さない酸味と甘み、そしてアクセントとなるスパイス…。相性の要素はたくさんあります。先にも書きましたが、今回試作されたソースを使ったお好み焼を食べてみると、このソースの酸味がドロソースの甘みと変なぶつかり方をします。しかし、現在使用中のウスターソースで食べてみると、ドロソースとも、生地の味にもマッチします。「至高のソース」完成の為に必要な事は「ドロソースだけでは足りない部分=スパイシーさと爽やかさ(酸味)を程よく補い、生地の味も壊さない味」を創ることだと確信しました。生地、ドロソース、辛口ソースの三角関係がポジティブに保たれていなければなりません。
生地とソース。どちらも大事な要素には間違いないのですが、生地とソースのお互いの関係を考えてみると、まずいお好み焼に付けるソースはありますが、まずいソースに合うお好み焼はありません。少しきつい表現しかできませんが、ソースをつけて食べる事を前提にした場合、このようになると思います。それでも、両方を最重視したい気持ちでないと、自信をもったお好み焼を提供できるわけがありません。
結論としてはどちらが肝心というよりも、一つの料理として、それぞれの要素(材料)のマリアージュが大切で、決して大事さの優劣が必要なものではありません。お互いが協力できて、良い部分を引き出し合う事が「粉モンの命」の部分になると思います。
何回も試作をして頂いている提携メーカーさんからすると、こんな私は迷惑で仕方ないかもしれませんが、このこだわりに真摯に対応して下さっている事にとても感謝しています。この関係も当店のお好み焼の命だと実感した一日でした。
至高のソースを創るためのヒント その3
他の素材の良さを引き出す味を持つのが至高のソースや!! 相性の良さに勝るものはない!!
