愛染恭介のやぶからぼう日記 -88ページ目

O.K.D

「お客様は神様ではなく人間なのです。」

まだベルク通信を始める前、高円寺のむげん堂による「むげん堂通信」を読んで参考にさせて

頂いていたのだけど、そこに書いてあったシマさんの言葉に「そうだそうだ」と頷いたものだった。

当時、マナーの悪いお客さんに対するお願いがあり、お客は人間だからこそ真摯に接するべし

的なことが書いてあった。


ところで現在のベルクは「ベルク本」が多くのメディアに採り上げて頂いてくれたお陰で、

連日大盛況、大変忙しい日々を過ごさせて頂いているが、今までの常連さんが居辛くなるほど

一見さんが増えて、店にとってはありがたい悲鳴なのだけど、かなりマナーの悪い方もちらほら

見うけられるので、そこは「真摯」に対応させてもらっている。


外国、とりわけ英語圏の方は、いろいろ要求して当たり前的なところがある。

日本人からすれば「わがまま」と捉えられそうなところもあるが、店としたってなるべく要求に応えたいから

「出来る」ことと、「出来ない」ことをしっかり伝えれば、お互いの関係は良好だ。


国に関係なく、すぐキレてしまう人はいるけれど、何かあるとすぐ「Fuck You!」と叫んでしまう

感情を抑えきれない白人がいた。さすがに3回目のF×××で出禁にさせて頂きましたが。

それにしても、いくらお客だからといってFuck Youを簡単に口にして良いのだろうか。

高校の時、友人が筆箱に「Fuck You」と書いてあったのを、イギリス人の教師が見つけ

「お前!この意味が分ってんのか~!!」と激怒し、その言葉の効果の程を目の当たりにした。


そこいくと日本語で、この言葉を言えば喧嘩になる、という強い言葉が見当たらない。

「バカ」「アホ」はぜんぜん。愛情すら感じる。「死ね」はさすがにかちんとくるか。

昔台湾の方にこれを言ったら喧嘩になる、という言葉を教わった。

何と言うか今になっては覚えてないが、意味としては「お前の母さん、犬に喰われろ!」だった。

母親を侮辱する、というのは全国共通なのかもしれない。

ガルシア・マルケスのルポで、コロンビアのギャング団の少年達は、キリスト信仰はないがマリア崇拝がある、

というのを読んだことがある。なにせ男達は四六時中戦争しているし、父親でさえ敵になることがある。

裏切られないのは、母親だけ、ということからきているらしい。

敵の母親だけは狙わない。だから男たちの寿命は短く、街には女たちばかりが溢れる。

それほどマザーは、侮辱されてはならない存在なのだ。


よ~し、新しいアルバムのタイトルの候補ができたぞ。十代の頃のアイドルだった

ジョニー・サンダースのL.A.M.F(Like A Mother Fucker)に対抗して

O.K.D(Omaeno Kaasan Debeso)

けんか言葉はさびしい人間たちのコミュニケーションだ。

熱歌~セプコン

9/7天窓での「熱歌」ライブ、私にとっちゃ夢のような夜でした。

リアルタイム、国分寺エクスペリエンス、ともに結成18年らしいけれども

それぞれとの付き合いも長く、慕ってきた両バンド。メンバーだけでなくお客さん、

今はつきあいのなくなってしまったかつての仲間などとのいろいろな思い出が巡る。

でも、ノスタルジックになることなく、皆今の音を作り続けている。新しい関係をつくり続けている。

苔が生えることなく転がり続けているよ。ほんと歳を重ねるごとに瑞々しくなっていく皆は妖怪っす!


そして昨日9/11は全く雰囲気の違う四谷「石響」でのセプテンバーコンサート。

会場は字の如く四方が石の壁で、自然の響きが心地良い。当然音響を使わず生声、生ギターで。

だからゴマカシの効かない真っ向勝負だ。そしてお客さん参加型のワークショップ的な企画もあったので

いつになくお客さんとの距離も短い。なかなかありそうでないユニークな会になったのでは?

とにかく9・11のニューヨークテロに因んだコンサートだったので

出演者の俳優飯原さん、舞踊家のうすいさんと事前に方向性を探るも、

うまくまとまらずぎりぎりまでプログラムを置かざるを得なかった。ところがどっこい本番2日前になって

飯原(めし)さんとあれよあれよという間にプログラム完成、そこにうすいさんのアイデアも加わって

「これはいけるかも!」という気に。

とにかく「戦争」という人を殺し屋に仕立てるそのパワーに逆らう流れを作るのに「平和」という空虚な

言葉を羅列したところでかなうわけがない。そこには今まで犠牲となった死者の「声なき声」を

一同に集めるぐらいの思いが必要、とどこかで思い始めていた。

とは云え、なにか大げさなことをやるのでなく、言葉と言葉の間にあるのりしろの部分でなにか

持ち帰ってはくれまいか。そんな偉そうなことを今言えるのも、

踊りのうすいさんあってのことだ。うすいさんがそれを体現してくれた。

そしてそんな全体の流れを、時にユニークにお客さんをリラックスさせ運んでいっためし。

この二人の堂々としたパフォーマンスに、ただただ必死についていく私・・・。

面食らった方もいたかも知れないけど、本人たちには意図してか、しないでか

何かストーリーのようなものが仕上がったのでは?なんて思ってます。


もうひとつよかったのは、シリア帰りの西くんにカルダモンコーヒーを休憩時間に振舞ってもらって

おおむね好評だったこと。司会を務めてくれたさとみっちくん、皆様おつかれさまでした!

来週のコンサートに答えなし!

世の中が不安な時代だからでしょうか(不安でない時代など逆にないのかもしれぬが)。

啓蒙書のたぐい、答を知らしめてくれる実用書の類に群がる人の多いこと。

もちろん興味が無い訳ではないし、素晴らしい本にめぐり合ったときは

閉ざされた思考が開かれていくことを何度も経験したことがある。


でも「~の法則」とか「成せば成る」的な教示には、

ありがたくその言葉を胸に温め、どこかで捨てさせて頂く。

とかくそれらの「答」を信じて実行したところでつまらない人生が待っている、

大事なのはその答に向かうプロセスなのであって、それは十人十色、

無駄と思われるほど遠回りしたっていい、と思ってる。

人生に起・承があってもあとは転々するばかり、

音楽や文学に「結」がなくたっていい、

どんどん迷宮入りする作品が溢れたっていいやん、と思う。

ついつい結びたがってしまうけどね。

おちのない長新太の漫画や絵本のように、「起承転」だけで楽しませるものもいい。

答えをあらかじめ用意しておくと、その時点から

その答えに導かれないものは自分の中から排除してしまう

排他的な人間になる可能性もある、とね!


来週木曜日、セプテンバーコンサートというものに出演します。

2001年、ニューヨークで起きた同時多発テロをきっかけに、翌年ニューヨークで生まれたものです。

「平和」を願う人たちが思いをひとつにして創りあげるコンサート。それぞれの場所から

メッセージを発信する平和市民コンサート・・・


と言っても何をやるか未だはっきりせず。ぎりぎりまで悩んでそれこそ空中分解するやも!?

あまりにもテーマが漠然としているからね。でも最初にその話を聞いたとき、ふと「アジア」

というテーマが浮かんだよ。我々が住んでいるアジアという範囲でなら

何かパフォーマンスができるかもと。フィリピンの歌、琉球の歌、韓国の踊り・・・

そこで我々が何か仕掛けるけど、会場の皆さんとなにかが生まれるのを期待してます。


9/11(木) 会場:四谷コア石響

        http://www.syakkyo.com

開場:19時  開演19時30分

        出演:愛染恭介(G&Vo)、飯原道代(俳優)、うすいゆうこ(舞踊)

        司会:高光里美


入場無料!です。ある種の緊張感はあるけど絶対面白いものにするよ!


そして間近に迫る!

9/7(日)四谷天窓ライブ!!

Start19:00 \1500+1drinnk

出演:シュマリズ/愛染恭介&大西英雄/国分寺エクスペリエンス/リアルタイム

http://www.otonami.com